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うちのトコでは

都道府県擬人化漫画です。
以前Pixvで47都道府県擬人化がありましたがあれではなく四国四兄弟が本になりました。
書籍化を機に47都道府県扱うことになったので四国の影はとても薄くなりました……(特に徳島

前半は都道府県あるあるです。
ケンミンSHOWやヘタリアとは大きいカテゴリでは同じですが方向は違います。

神奈川と福島と京都が一押しです。カップリング的には広島×愛媛……!
福島可愛いよ福島。あとこの本では萩と会津は仲がいいことになってます。
萩と会津の間に何があったのか知りたい方は菅野彰の女に生まれてみたものの。を読むといいと思います。エッセイです。面白い本です。ちなみにジェンダー論の本ではありませんよ。

後半は夢の架け橋という長編漫画が載っています。神戸と四国4県が主人公です。
夢の架け橋はつまり四国と本州の間に橋を作る計画ができたときのこと、そして阪神大震災の話。
わたし地震発生時の淡々とした事実の羅列でぶわわわっと泣いてしまった。何で泣いたのかがわからないけどとにかくめそめそしていた。
地震で目が覚めたことや倒壊した高速道路のことは覚えてます。
ですがそれ以上に神戸の街が燃えていたニュース映像は自分でも驚くほど鮮明に覚えています。

そのせいか神戸讃歌を見ると涙腺が超やばいです。
ヴィッセル神戸のサポーターどころかサッカー好きでなく、また神戸好きでもないのに関わらず。
すごい歌です。

しかし徳島の「いや僕は四国っていうか関西やし」の発言に超ウケた。
※徳島は近畿ブロック知事会に席が用意されており、関西広域連合に一枚噛みたいと思っています。
※実際高松(香川)以外の四国各地へのアクセスは非常に不便であり京阪神のほうがよほど近いです。

ちなみに分厚いですがそこそこいいお値段しますので、金額にひるむ方はサイト上で雰囲気を確かめた上でお買い求めください。

吉祥寺の朝日奈くん

短編集。
交換日記の話が好きだ。「交換日記」ていう響きが懐かしい。「文通」に似た響きだ。
交換日記とうるさいおなかが好きだ。しかし

たとえば、天使がステッキをふりまわしているかのような「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー」という音。

(P190)

それ本当にステッキかい。撲殺されてないかい。

交換日記がしたいと思いながら読んだ。

レンタルマギカ  銀の騎士と魔法使い (角川スニーカー文庫)

なんかちょうおもろかった気がする。
妖精眼モードはないにしろそれに近いものはあって桜を咲かすシーンとか超好きだ。
地道に地道に成長を続けているいつきはよいなあと思います。
銀の騎士団とのフェーデにはウヒョー(゚∀゚)となるんですがそれ以上にあれだけページ数少ないのにごりっともっていく終章。アディリシアは可愛いわ超重要人物出てくるわこの引きはやばい、と思った。

難民探偵

いい意味で西尾維新風ではなかったなあ。驚きだ。
西尾維新作品の登場人物なのに証子が普通の子だった。
「おいやめろそこに鏡置くな」「私のHPはもうわずかよ!」と思えるぐらいに同じ穴の狢感があった。

就職活動に失敗し教授に留年を薦められるも就職先未定のまま卒業、今日も書類選考や面接に落ちる。
そんな生活がもう数年続いている。
証子は本当ならもっと簡単に就職できたはずなのだ。大学時代の就活では内定も何社か出た、卒業後の先の見えない就職活動をはじめたころにはバイト先で「うちの正社員にならないか」とも言われたこともあった。しかしどこも蹴った。どこでもいいと思いつつもハードルをあげている。「もっと自分向きの仕事があるんじゃないか」と高望みしている。往生際の悪さがどんどん首を絞めている。

最近もなんかそういうの読んだなと思ったらあれか。増田か。→わたし、こんなところで埋もれたくない。
あと豊島ミホのエッセイやさぐれるには、まだ早い! に「向いてる仕事なんてないんだよ」とかそんな感じのがあったような。

そうして証子が辿り着いたのは叔父で作家をしている窓居京樹のところだ。
この叔父、お金の使い方が非常に雑であった。雑と言ってもけっして浪費家ではない。切り詰めどころは締め上げるのだが初対面時には「半年程度面倒を見よう。就職活動でもなんでもしてください。合間に家の片付けとか雑用をしてくれたら給料も出すよ、1日1万の月30万ぐらい? とりあえず300万渡すから引越しの準備とかしといて」というのである。

証子はこの人の元にいたら駄目になる、と今日も就職活動に精を出す。
そしてひょんなことから叔父の友人・根深陽義と出会い殺人事件に首を突っ込むこととなる。

ところで

「根深さん。働くってなんなんでしょう」
「生きる手段だよ。自己実現の手段でもあるし、世界をよくするための手段かもしれない。まあ色々あるけれど、詰まるところは——手段だ」

(P220)

犀川助教授と萌絵を思い出した。

「先生、現実ってなんでしょう?」
萌絵は小さな顔を少し傾げて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」
犀川はすぐ答えた。
「普段はそんなものは存在しない」

(すべてがFになる 森博嗣)

V.T.R. (講談社ノベルス)

代々社新人作品である。これがデビュー作ということだ。

というのはさておきスロウハイツの神様作中人物の作家チヨダコーキのデビュー作が出版された。
スロウハイツの神様とはまた別の独立した物語なので未読でも問題ない。

カバーの裏側は別のイラストで名義がチヨダコーキになっていたりあらすじも違ったり作者コメントがついてたり代々社ノベルスの文字とか奥付の日付とか細部までちゃんとコウちゃんの本になっている。
可愛らしい辻村深月ペーパーがついてたりする講談社GJの一品。

読んでいると今までの辻村作品とはどれとも違うからチヨダコーキが実在するような気がしてくる不思議。
つかわたしはスロウハイツとコウちゃんが好きすぎるのでこういう本が出た時点で既に相当満足です。
環とか狩野の気分である。ふっふっふ。あとP68のSがとてもスーである。

もし万が一次があるとしたらあの惨劇の引き金となった「この町が死ぬ時」が読みたいなあと思います。

「よく言われているキーワードだけど、チヨダ・コーキは『絶望』を書くのが巧いんだよね、きっと」

スロウハイツの神様(上) P65

嘗めないでね、俺はこう見えて、意外に執念深いんだ。絶対に、逃がさない。

(P176)

もいちどあなたにあいたいな

その日は澪湖(みおこ)が「やまとばちゃん」と呼び慕う叔母、和(やまと)の娘が亡くなった日だった。
澪湖は父・大介とともに徒歩1分のところに住む恭一・和夫妻の家へ行った。

やまとばちゃんは強い。いや強い人だと皆に思われてる。子どもの時から様々な不幸に見舞われてきた。
しかしまるで泣かないし立ち直るまでの期間がとても短かった。それが和最強伝説の裏づけとなっていったのだが、今度は不妊治療を続けてきた上でようやく生まれた愛娘の死だ。
父子は今度こそ和を支えねばと思ったのだ。

しかし澪湖は違和感に襲われる。このやまとばちゃんは私が知ってるやまとばちゃんなのか?
澪湖・大介(父)・陽湖(母)と視点が移り変わりつつ話は進んでいく。

途中なんとも言えない静かな恐ろしさがあった。和どころかお父さんさえも得体の知れない不気味さがあったのだ。お母さんもこわいこわい。「オタクの基礎教養」という木塚くんが癒しスポットだった。

作中では「盗まれた町だね」っていってたけどわたしは盗まれた町は未読なので月の裏側とタイムリープと薄めたおしまいの日がミックスされた。よいSFでホラーだった。

しかしなんだ、やまとばちゃんはいいが和とでるとなごみとしか読めない1し、澪湖はれいことしか読めない2

  1. 友人に和と書いてなごみと読む子がいるのだ []
  2. どうみても澪音の世界である。 []

うちのなかでも地味ーに人気があるエントリであるところの最近の胸キュンマンガの第2弾です(゚д゚)ノ

12歳からの読書案内とれたて!ベストセレクション 12歳からの読書案内

この本すごくね?
タイトルは12歳?ですが中高生が読むと楽しいかもしれないよブックガイドです。
それより上の年代でも十分楽しめるのではないでしょうか(わたしはがっつり読みたい本が増えました)
同じく中高生向けのブックガイドといえばcolorful - 勝てる読書/豊崎由美とかもあるんですけど、こちらは翻訳メインで「え、この本を10代で?」っていう本が結構多いです。

わたし中学生ぐらいでこんな本あったら丸呑みする勢いで読んでいったと思う。今の子いいなあ!
ていうかこのラノ読んでるあたりの「ラノベ好きなんだけどラノベ以外もちょっと読みたくて、でも何が面白いの」っていう10代20代は読めばいいんじゃねと思った。

1冊目が発行されたのが2005年、2冊目が発行されたのが2009年。1冊目はこんな感じではじまる。

YA物は売れなかったのだ。それがこの10年ほどでがらっと変わった。(略)とくに国内では、江國香織、佐藤多佳子、あさのあつこ、梨木香歩、上橋菜穂子、荻原規子、伊藤たかみ、乙一、嶽本野ばら、などなど、あげればきりがないしこれにライトノベルを加えると、その数はさらに増える。

そしてセンスのよい本読みに自分の好きな本を紹介してもらった、というのがこの本である。
さらに2冊目は2000年以降に発行された本に限定されている。太宰治とか文豪作品とかはまったく載っていない。古典は古典で素晴らしいものだけど、読めばいいなと思ってくれるかもしれないけどこの本はあえて「新しいもの」「若々しくて新鮮なもの」を選んでもらったということだ。

絵本・YA作品・ノンフィクション・ライトノベル・短歌・10代にもオススメの一般文芸色々掲載されている。

いやもう1冊目「調理場という戦場」からはじまるし2冊目「夜市」とかもあってさあ!
ハッピーアイスクリームと笹公人が一緒にいる!とかさあ! 
一言で言うと「あの本とこの本が一緒にブックガイドに載ってるってすごくね?」っていう話だと思う。

あとラノベのセレクトもすごい。
禁書とかとらドラとかBBBとかシャナとか戯言・化物語とかラノベ的にメジャー作品はあまりない。
何が載っているかというと1冊目は「キノ」「君にしか聞こえない」「吉永さんちのガーゴイル」「霧の日にはラノンが見える」「銃姫」「Missing」「りすか」「イリヤの空」「ムシウタ」
2冊目は「人類は衰退しました」「魔女の結婚」「バカテス」「狂乱家族日記」「いちごタルト事件」「砂糖菓子」「ミミズク」「オペラ・エテルニタ」「七姫物語」「狼と香辛料」「円環少女」「ぼくらは虚空に夜を視る」
あと新書レーベルから「煌夜祭」「ドラゴンキラーあります」 

このカオスっぷりすげえ!

ていうか2冊目は随分とラノベレーベルが幅を利かせていた気がするな。ちなみにこのラノベリスト選んだの誰や! すごいな! と思って巻末の書評者プロフィールを見たらLNF実行委員の人が2人いました。
2冊目が既読率が高いこともあり読みたい本チェックが多かったのは1冊目。
このリストやべえ! とより思ったのは2冊目。

この本はふらふらと児童室@図書館に入った時に目にしたものですがすごくときめいた。
児童室は宝庫だな! あっちにも足を運ばねばなるまい!

ていうかわたしこういう本作りたい。作りたいといっても同人ではなくもちろん商業でもなく自分で製本1。ブログからいくつか抜き出してだな! タイトルはクマーだな!

ちなみに既読率は1冊目17/100 2冊目30/100 でした。

  1. 最近また高まっている製本熱 []

ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫)

現代で女子高生4人組それぞれの視点による4つの物語。
「少女」の物語というとよく桜庭一樹を連想するんだけどこれは三浦しをんの秘密の花園を思い出した。

好きなのは1章エカの話「春の繭」・4章シバの話「ガーデン・ロスト」
春の繭は読みながらだれかと文通したいと思った。エカの文通相手の話はなんかで読んだことあるなあ。桜庭一樹のエッセイだった気はする。そっちは筆跡変えてたようだけど。そういうのは割とあることなんだろうか。わたしもかつては文通相手を探してよく手紙を送ったりしたものです。でも大抵はほとんど続かなかったなあ。

ガーデン・ロストはシバ母の怒り方がとてもうちの母似で……。
いや進路とかそういう人生レベルで重大なことじゃなくてもっと心の底からどうでもいいことなんですが。

地の文は痛い+切ない感じですが会話は明るい方向なのでそんなに重くない話だなあと思います。

犯罪でもいい。病気だっていい。
笑わないで。いじめないで。軽蔑しないで。そのどれも構わないけれど、壊さないで。消さないで。せめて私達の意識の中から。
そして、ただ、愛させて。

(P66)

夜の虹 (コバルト文庫)

19世紀帝政ロシアという触れ込みが気になって読んでみた。
ロシアが舞台の作品は凄く縁がないのだ。なのでこれを機に……
知ってるけどロシアの人名はすごく独特で中々覚えにくい。メインどころはオリガ・ロジオン・レオニードとすっきりしているけど「フィルサーノフ」とか「ミハイル・イワノーヴィチ」とかすごくロシアだ。
わたしのロシア人名の引き出しはアレクセイ・ズヴォリンスキーとエイレーネとミーチャぐらいなのでむむむとなる。

表紙の左側にいるのがオリガ(主人公・父の死をきっかけに死者の姿が見えるようになった)で
右側にいるのがロジオン(近衛連隊の新米で中尉だったが色々あって警察署の副署長に就任する)です。
甘味はあんまりありません。死者の謎とかはあります。食べ物の描写は結構あります。おいしそうです。

オリガは死者が見えるその能力で子どもの遺体を発見する。そしてなしくずしのままに別件の失踪事件に関わることとなる。名前はよく見ていたけど毛利作品を読むのはこれが初めてです。おもしろいなあ。

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