カテゴリー「 一般文庫 」の記事

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GOSICKVII‐ゴシック・薔薇色の人生‐ (角川文庫)

面白かったです。あとヴィクトリカが可愛かったです。
久城がベルゼブブ以降のヒーロー的な、ちゃんと成長した子でとてもたくましい。
コルデリア・ギャロの出番が多くてキャッキャウフフしていた。ヴィクトリカ出生の秘密、というか当時の事情である。
ヴィクトリカが生まれた頃のコルデリアの話はなんだかアナザー七竈のような気分で読んだ。
ていうかブライアン・ロスコーはふたりいるにとても動揺した。なんだかよくわからないが動揺した。

物語の舞台は王都ソヴレムでいまだ根強い人気を誇る10年前に亡くなった王妃ココ。彼女の死の真相である。
リヴィングチェスは今度出るGOSICKsのことだなあと思い、セシルとゾフィはなんかよくわからない女性になったなあと思い、ドリルはなんだか可愛くなった。

たびたび鳩が登場するので、うらら・こんこんに続きついに私も二次元に飛び込んだかと思った。

「ぼくは、君が巻き込まれるすべてのことにこれからかかわっていくんだ。君の父、ブロワ伯爵とも、海水に覆われていく<ベルゼブブの頭蓋>で話したし、灰色狼のブライアン・ロスコーとも学園の時計塔で対峙した。ぼくという男はもうとっくに、君という非凡な存在を巡る世界の因果の輪に囚われているし、そのことを怖がってもいない。ぼくはなによりも君が大事だから」
「でも、でもだめなのだ……」
「君は優しいね。それに、案外、臆病なんだ。毎日、ああやって書物の海を自在に泳いでみせるくせに、実際の出来事に身近な人を巻き込むのをすごく怖がっている」

(P100)

アニメ化してからこっち、GOSICK関連記事がとても火を噴いています。
どれもこれも1年とか結構前に書いたエントリばかりです。ビーンズ文庫版も週末には出ます。

GOSICK ‐ゴシック‐ (角川ビーンズ文庫)GOSICKII ‐ゴシック・その罪は名もなき‐ (角川ビーンズ文庫)

読むぜ読むぜ。

おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)

もし四畳半神話大系の登場人物がリア充だったら。新釈 走れメロスでもいい。

元馬鹿者今怠惰な大学生である名雪小次郎のもとに腐れ縁の魔王1がやってきた。
もうすぐ夏祭りがやってくる。鳴鼓宮祭がはじまるまでに魔王は多くの人から借金を作る。金を貸した人は債鬼となって祭の間に魔王を追いかける。無事魔王を捕まえることが出来たなら借金清算、魔王が逃げ切ったなら借金は持ち越し。これに参加するためにわざと金を貸すものもいるぐらいの定着したイベントとなりつつある。
名雪は魔王に巻き込まれて祭りの間中ひたすら逃げ惑うことになった。
この祭りはなんだか妹もやってくるとかいう。おいどうなってるんだ! っていう。

一言で言うなら「森見登美彦氏っぽいよね」っていう。最近はあちらも普通に異能所持の人もいるので余計にだ。
\ おい魔王遊ぼうぜー / \ いいとも! / とかそんな仲のくっだらなくて最高の悪友がいてアホなんだか賢いんだかよくわからない可愛い妹がいてあれがあれなんだぜ。ダルガリアとかいってるけどなんだただのリア充じゃないか。大学は卒業できなそうだけど。
P313で妹ちゃんがもらったあの玉は要するにラピュタの飛行石だよね。\ 親方ー空から女の子がー! / 
次はモリミー風なにかじゃなければ読んでみたい。

  1. 通称。人間である []

真夏の日の夢 (メディアワークス文庫)

目次が既におかしい感じだったけど一枚めくったらもっと直球が来て非常にふいた。
演劇サークルの活動費捻出のために7人は心理学の教授の奇妙な実験に参加した。1ヶ月間外界と遮断されてひとつ屋根の下で暮らす。部屋の壁が薄いやら空気が薄いやら文句をこぼしながらそれなりに楽しみつつ日々を過ごす。実験開始から6日目、サークルの一員の雪姫が忽然と姿を消した。
帯に「青春ミステリ」って書いていたけどここまでの展開は予想外だった。すごい切れ味だった。
実になんと言うことでしょうだった。

カミングアウト (徳間文庫)

心の中に秘密と悩みを抱えて生きる人の連作短編な1冊。
引いて終わる引いて終わる引いて終わるで最後にまとめてどーん(゚д゚)という感じで。
援助交際をしている女子高生、女しかいない職場で普段はロリ趣味を隠しているOL、母として妻としての今後が見えなくなったある専業主婦、独身婚歴なしのサラリーマン、定年間近で亭主関白の夫を持つ妻。

女子高生さちみの話は鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈1〉の1話、キズナの話をもっと深刻にした感じだなあと思って読みすすめる。キズナはいかに本番に行かないように引きつけるかが目的だけどさちみはそれ以降にも進行している。コインロッカーをクローゼット代わりに何人もの自分を使い分けている。さちみはいろんなところで顔を出す。すごく心配になる感じの子だ。
そして他人事じゃねえ! と思うのがリョウコ。すごくいい子だ。

「神話」の話とか、いいなあ。

解説には銃姫とかパルメニアにもがっつり言及されている。

ミステリマガジン 2010年 08月号 [雑誌]

高殿円特集が組まれているのはこの号か……。

(でも、好きなんだもの。なにも悪いことをしているわけじゃない。自分の働いたお金でやりくりしているのに、ただ好きでいることだけで、どうしてこんなに後ろめたさを感じなきゃいけないの。どうして!)

(P129)

スイート スイーツ ショコラ (徳間文庫)

タイトルはスイートですが内容はビタービターですよ!
毎日学校を抜け出して外でお昼を食べている佐々木愛子と石焼いも「スイーツインゴット」
数年で離婚することとなった松戸正綱の元妻との出会いと結婚と別れにいたるまでの顛末「にほひ」
智代とショコラティエになる夢と留学を諦めざるをえなかった事情、就職した洋菓子店「スイート スウィーツ ショコラ」

それぞれゆるくリンクしている作品で、「人生、思い通りにはなんねーぞ!」という事態にいる人々である。
まだ高校生の佐々木愛子でも「来年は受験」という閉塞感へ突き進んでいる。
「あの時諦めなかった」という事実が欲しい、みたいな「3月のライオン」の1シーンを思い出す。
にほひはP121で短編終了してたらまじ黒めだなあ。嫁を失った原因の肉がやっぱりこんなにも美味い。スイートスイーツショコラは本当にどっか深刻に悪いとかじゃないよなあ。

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)

「シアターフラッグ」に新たな危機。
まあ小競り合いとか、もし300万耳を揃えて返済できたとして、そのあとも劇団としてやっていくためのあれこれとか、元劇団員からのあれこれとか。
前の巻は割と劇に関してと兄弟愛! という感じだったけど2巻は恋愛寄りである。とても。
読んでて楽しいのはゆかりと小宮山なんだけど、好きなのはスズと茅原。特に茅原。
一気に時間が流れている。
次が完結か。また来年かその辺に出てくれるといいなあと思った。

楽園まで (徳間文庫)

静かにゆっくりと雪に埋め尽くされていく世界。
ハルカとユキジ、双子のきょうだいはふたりだけで旅を続けていた。ある出来事からユキジは心を閉ざし感情と言葉を手放し、ハルカは焦燥と不安を浮かべて手をつないで楽園を探して一路スプラドへ向かっていた。

こないだの吹雪の日にあわせて読んでいました。容赦のない話というのは面白いなあ。
悪魔の印であるオッドアイの持ち主は見つけ次第殺される。庇い立てした者も無事では済まされない。
それがこの白銀に沈む世界の正義なのだ。

ー楽園では誰も泣かないの?

(P296)

エルの楽園きたこれと思ってすみません。幼い筆跡の署名妙に歪な題名が 楽園にて いや黙ります。
いやでも後半は各所からエリ組っぽい匂いがして美味いです。\ 嗚呼、悪魔とはお前たちのことだ! /

置き去りになんてできるはずがなかった。
たったひとりの家族だから。
守るものを失って身軽になったところで、いったいどこまで歩いていけるというのだろう。手を繋ぐ相手もいなくなったら、ハルカはきっと人間でいられなくなるような気がした。

(P269)

19?ナインティーン (メディアワークス文庫)

19歳を描くアンソロジー。
2Bの黒髪がよかった。こういう「実体験をもとにしました!」と言われてもまったく不思議ではないような内容は、心の中のやらかいところを握りつぶしていくんだぜ。わたしは浪人してないし漫画も書いてないけど。
7と嘘吐きオンラインの人の絵柄にあとがきを放り込んで脳内コミカライズが開催されていた。

その次が「向日葵ラプソディ」で新刊出るたびに「よく出してるなあ」と思いつつ横を通り過ぎているので今回初めて読む。悠馬さんが好きです線の細くて芯の太そうな人はよいですね。某青い人も美味しいよ!

「19歳だった」はなんという「秋の牢獄」ならぬ「聖夜の牢獄」

大人のための残酷童話 (新潮文庫)

「大人のための」と断ったのは、子供には毒性がいささか強すぎるのと、話の性質上思わずエロティックに傾くことがあったのとで、大人の方により一層喜ばれそうだからです。子供読むべからず、というわけではありません。

(あとがきより)

Marchenをループするだけのかんたんなおしごとを遂行する今日この頃ですが、新刊棚で見つけたのでイドに呼ばれてお買い上げ。
白雪姫や一寸法師や青髭や人魚姫やかちかち山などなど世界中の名作童話を縦横無尽にアレンジ。
「ハッピーエンド」というものがあまり存在しない。「残酷」というよりは「悲惨」「グロい」「救いのない」話が多いです。冒頭の人魚姫が「上半身が魚、おへそから下が人間」で想像して笑った。

思えば倉橋由美子作品はこれがはじめてかな……1

  1. 聖少女はとりあえず解説だけ読んで積んでいる…… []

神田川デイズ (角川文庫)

大学生挫折物語。高校2年ぐらいの子に竹宮ゆゆこのゴールデンタイム〈1〉とあわせてそっと渡したい本。
やっぱり「リベンジリトルガール」が好きででも2番は「雨にとびこめ」が昇格してて3番が「花束になんかなりたくない」
変わらず華麗にえぐっていく本だなあ。「今すぐにでも死にたい」級の黒歴史が蘇ってぶるぶるした。
でも「部屋の隅っこで膝を抱える」ほどでなかった。

その言葉にマルちゃんと一緒にうなずいたことは、これから長い時間をかけて、「ただの思い出」とか「若気の至り」とかそういうものになってくれるんだろうか。今の私はそんな未来信じられそうにないのに。

(P171)

こうなってくれたんであろう。

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