難民探偵

いい意味で西尾維新風ではなかったなあ。驚きだ。
西尾維新作品の登場人物なのに証子が普通の子だった。
「おいやめろそこに鏡置くな」「私のHPはもうわずかよ!」と思えるぐらいに同じ穴の狢感があった。

就職活動に失敗し教授に留年を薦められるも就職先未定のまま卒業、今日も書類選考や面接に落ちる。
そんな生活がもう数年続いている。
証子は本当ならもっと簡単に就職できたはずなのだ。大学時代の就活では内定も何社か出た、卒業後の先の見えない就職活動をはじめたころにはバイト先で「うちの正社員にならないか」とも言われたこともあった。しかしどこも蹴った。どこでもいいと思いつつもハードルをあげている。「もっと自分向きの仕事があるんじゃないか」と高望みしている。往生際の悪さがどんどん首を絞めている。

最近もなんかそういうの読んだなと思ったらあれか。増田か。→わたし、こんなところで埋もれたくない。
あと豊島ミホのエッセイやさぐれるには、まだ早い! に「向いてる仕事なんてないんだよ」とかそんな感じのがあったような。

そうして証子が辿り着いたのは叔父で作家をしている窓居京樹のところだ。
この叔父、お金の使い方が非常に雑であった。雑と言ってもけっして浪費家ではない。切り詰めどころは締め上げるのだが初対面時には「半年程度面倒を見よう。就職活動でもなんでもしてください。合間に家の片付けとか雑用をしてくれたら給料も出すよ、1日1万の月30万ぐらい? とりあえず300万渡すから引越しの準備とかしといて」というのである。

証子はこの人の元にいたら駄目になる、と今日も就職活動に精を出す。
そしてひょんなことから叔父の友人・根深陽義と出会い殺人事件に首を突っ込むこととなる。

ところで

「根深さん。働くってなんなんでしょう」
「生きる手段だよ。自己実現の手段でもあるし、世界をよくするための手段かもしれない。まあ色々あるけれど、詰まるところは——手段だ」

(P220)

犀川助教授と萌絵を思い出した。

「先生、現実ってなんでしょう?」
萌絵は小さな顔を少し傾げて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」
犀川はすぐ答えた。
「普段はそんなものは存在しない」

(すべてがFになる 森博嗣)

V.T.R. (講談社ノベルス)

代々社新人作品である。これがデビュー作ということだ。

というのはさておきスロウハイツの神様作中人物の作家チヨダコーキのデビュー作が出版された。
スロウハイツの神様とはまた別の独立した物語なので未読でも問題ない。

カバーの裏側は別のイラストで名義がチヨダコーキになっていたりあらすじも違ったり作者コメントがついてたり代々社ノベルスの文字とか奥付の日付とか細部までちゃんとコウちゃんの本になっている。
可愛らしい辻村深月ペーパーがついてたりする講談社GJの一品。

読んでいると今までの辻村作品とはどれとも違うからチヨダコーキが実在するような気がしてくる不思議。
つかわたしはスロウハイツとコウちゃんが好きすぎるのでこういう本が出た時点で既に相当満足です。
環とか狩野の気分である。ふっふっふ。あとP68のSがとてもスーである。

もし万が一次があるとしたらあの惨劇の引き金となった「この町が死ぬ時」が読みたいなあと思います。

「よく言われているキーワードだけど、チヨダ・コーキは『絶望』を書くのが巧いんだよね、きっと」

スロウハイツの神様(上) P65

嘗めないでね、俺はこう見えて、意外に執念深いんだ。絶対に、逃がさない。

(P176)

今年も聖誕祭がやってくるよ。今度は平日じゃないよ休日だよ。

2010年6月19日(土) 開場17:30 開演18:30
2010年6月20日(日) 開場17:00 開演18:00

会場:東京・国立代々木競技場第一体育館(※全席指定)/チケット代金:1枚¥6,800(税込)

第1体育館て名前は超聞くけど実態は……と思いつつ収容人数見たら収容人員:13,291名にびびる。
いくら聖誕祭当夜祭である6/19は激戦が予想されるとしても、これだけの収容人数をもってすれば少なくとも去年の聖誕祭みたいなことにはならないと思うんだ。
とりあえず行く方向で考えています。FC先行は3月上旬告知のようです。

メモ:
45日以上前に予約することで飛行機1万程度に。(飛行機+ホテルのみのツアーも考える。)
春からANAが就航するのでそっちも見る。
アリーナ ×

積み本を崩したまえという思し召しらしい。

もいちどあなたにあいたいな

その日は澪湖(みおこ)が「やまとばちゃん」と呼び慕う叔母、和(やまと)の娘が亡くなった日だった。
澪湖は父・大介とともに徒歩1分のところに住む恭一・和夫妻の家へ行った。

やまとばちゃんは強い。いや強い人だと皆に思われてる。子どもの時から様々な不幸に見舞われてきた。
しかしまるで泣かないし立ち直るまでの期間がとても短かった。それが和最強伝説の裏づけとなっていったのだが、今度は不妊治療を続けてきた上でようやく生まれた愛娘の死だ。
父子は今度こそ和を支えねばと思ったのだ。

しかし澪湖は違和感に襲われる。このやまとばちゃんは私が知ってるやまとばちゃんなのか?
澪湖・大介(父)・陽湖(母)と視点が移り変わりつつ話は進んでいく。

途中なんとも言えない静かな恐ろしさがあった。和どころかお父さんさえも得体の知れない不気味さがあったのだ。お母さんもこわいこわい。「オタクの基礎教養」という木塚くんが癒しスポットだった。

作中では「盗まれた町だね」っていってたけどわたしは盗まれた町は未読なので月の裏側とタイムリープと薄めたおしまいの日がミックスされた。よいSFでホラーだった。

しかしなんだ、やまとばちゃんはいいが和とでるとなごみとしか読めない1し、澪湖はれいことしか読めない2

  1. 友人に和と書いてなごみと読む子がいるのだ []
  2. どうみても澪音の世界である。 []

VTR買ったらなんかすごくラノベめいたチラシが入っていたので更新。

4月上旬から講談社ノベルスと電撃文庫がなんかすごいことをやるようです。

「謎の覆面作家 越前魔太郎が闇を駆ける!!」
ということで2010年4月より講談社ノベルスと電撃文庫の両レーベルから新作をリリースとのこと。
とりあえず現在告知されているもので

4月上旬 魔界探偵 冥王星0 ヴァイオリンのV (講談社ノベルス)
4月上旬 魔界探偵 冥王星0 ウォーキングのW (電撃文庫)

6月上旬 魔界探偵 冥王星0 ミッキーのM (講談社ノベルス)
6月下旬 魔界探偵 冥王星0 シリーズ新作 (電撃文庫)
8月上旬 and more.....

私読んでないんですがオイレン・スプライトシュピーゲルを思い出しました。

ていうか「越前魔太郎」って最初ふつうに舞城王太郎のことだと思いました。だめだこいつ。
なんか今のジャンプ本誌バクマンの新妻エイジみたいですね。エイジ可愛いよエイジ。でも今週のエイジは格好良かったよ。

2010/4/8追記:

GWに講談社ノベルス・電撃文庫双方の担当編集によるトークイベントがあるんですがそれの告知によれば
>芥川賞候補作家・舞城王太郎より生まれた、小説レーベルのコラボ企画『冥王星O』シリーズ。
だそうです。

メフィスト賞と日日日

あと43回メフィスト賞受賞作
キョウカンカクは上遠野浩平が帯推薦文を書いているようです。

あと日日日の「私の優しくない先輩」の川島海荷・はんにゃ金田の写真がどんとありました。
川島海荷はあの表紙の女の子みたいな髪型でした。

新装版については「新装版単行本 奇跡の復活!」とあるだけでいつ発売されるのかは不明ですが、映画が夏公開なのでまあ夏ぐらいには出るんでしょう。ていうか監督ってハルヒとからきすたの人なんですね。

私の優しくない先輩

コラボコラボ

そして裏面ひっくり返してみたらなんか超格好いい表紙がいっぱい載ってました。
豪華著者×人気絵師強力コラボということらしいです。

幻人ダンテ 三田誠×副島成樹
V.T.R 辻村深月×倉花千夏
幻獣坐 三雲岳人×片岡人生・近藤一馬

辻村深月新作のV.T.Rですがこれに「辻村深月の本」と称して超可愛いペーパーもついてきました。
この可愛さはやばい。

V.T.R. (講談社ノベルス ツI- 10)

3/7追記

公式を見たら刊行予定が変更されていた。

4月上旬
『魔界探偵 冥王星O ヴァイオリンのV』(講談社ノベルス)
『魔界探偵 冥王星O ウォーキングのW』(電撃文庫)

6月上旬
『魔界探偵 冥王星O ホーマーのH』(講談社ノベルス)
『魔界探偵 冥王星O フィータスのF』(電撃文庫MAGAZINE)

6月下旬
『魔界探偵 冥王星O ペインのP』(メディアワークス文庫)
『魔界探偵 冥王星O ジャンクションのJ(仮)』(講談社ノベルス)

8月上旬 『魔界探偵 冥王星O トイボックスのT』(メディアワークス文庫)

うちのなかでも地味ーに人気があるエントリであるところの最近の胸キュンマンガの第2弾です(゚д゚)ノ

投票エントリです。文字リンクは過去の感想に繋がってますが、既存作品分についてはネタバレ注意ということでご注意ください。

新規

クロノ×セクス×コンプレックス 1 (電撃文庫 か 10-17)キスからはじまる契約魔法 少年魔法人形 (一迅社文庫 アイリス わ 1-1)白と黒のバイレ  白き、時の流れにのせて (角川ビーンズ文庫)夜の虹 (コバルト文庫)

クロノ×セクス×コンプレックス(1)(司書!)
少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法(ツンデレ×ツンデレ!)
白と黒のバイレ 白き、時の流れにのせて (有能侍女と幼馴染みもえ)
夜の虹(帝政ロシアより)

既存

銃姫 10 (MF文庫J た 4-10)SH@PPLE—しゃっぷる—(7) (富士見ファンタジア文庫)さよならピアノソナタ—encore pieces (電撃文庫)バカとテストと召喚獣 6.5 (ファミ通文庫)死神姫の再婚—孤高なる悪食大公 (B’s‐LOG文庫)

銃姫 (10) Little Recurring circle(エル姉ちゃん!)
SH@PPLE —しゃっぷる— (7) (そろそろ完結の予感)
バカとテストと召喚獣6.5 (6.5のヒロインは雄二でいい)
さよならピアノソナタ encore pieces(はじめて親世代以上にときめいた記念に)
死神姫の再婚 —孤高なる悪食大公—(めろめろだ)

12歳からの読書案内とれたて!ベストセレクション 12歳からの読書案内

この本すごくね?
タイトルは12歳?ですが中高生が読むと楽しいかもしれないよブックガイドです。
それより上の年代でも十分楽しめるのではないでしょうか(わたしはがっつり読みたい本が増えました)
同じく中高生向けのブックガイドといえばcolorful - 勝てる読書/豊崎由美とかもあるんですけど、こちらは翻訳メインで「え、この本を10代で?」っていう本が結構多いです。

わたし中学生ぐらいでこんな本あったら丸呑みする勢いで読んでいったと思う。今の子いいなあ!
ていうかこのラノ読んでるあたりの「ラノベ好きなんだけどラノベ以外もちょっと読みたくて、でも何が面白いの」っていう10代20代は読めばいいんじゃねと思った。

1冊目が発行されたのが2005年、2冊目が発行されたのが2009年。1冊目はこんな感じではじまる。

YA物は売れなかったのだ。それがこの10年ほどでがらっと変わった。(略)とくに国内では、江國香織、佐藤多佳子、あさのあつこ、梨木香歩、上橋菜穂子、荻原規子、伊藤たかみ、乙一、嶽本野ばら、などなど、あげればきりがないしこれにライトノベルを加えると、その数はさらに増える。

そしてセンスのよい本読みに自分の好きな本を紹介してもらった、というのがこの本である。
さらに2冊目は2000年以降に発行された本に限定されている。太宰治とか文豪作品とかはまったく載っていない。古典は古典で素晴らしいものだけど、読めばいいなと思ってくれるかもしれないけどこの本はあえて「新しいもの」「若々しくて新鮮なもの」を選んでもらったということだ。

絵本・YA作品・ノンフィクション・ライトノベル・短歌・10代にもオススメの一般文芸色々掲載されている。

いやもう1冊目「調理場という戦場」からはじまるし2冊目「夜市」とかもあってさあ!
ハッピーアイスクリームと笹公人が一緒にいる!とかさあ! 
一言で言うと「あの本とこの本が一緒にブックガイドに載ってるってすごくね?」っていう話だと思う。

あとラノベのセレクトもすごい。
禁書とかとらドラとかBBBとかシャナとか戯言・化物語とかラノベ的にメジャー作品はあまりない。
何が載っているかというと1冊目は「キノ」「君にしか聞こえない」「吉永さんちのガーゴイル」「霧の日にはラノンが見える」「銃姫」「Missing」「りすか」「イリヤの空」「ムシウタ」
2冊目は「人類は衰退しました」「魔女の結婚」「バカテス」「狂乱家族日記」「いちごタルト事件」「砂糖菓子」「ミミズク」「オペラ・エテルニタ」「七姫物語」「狼と香辛料」「円環少女」「ぼくらは虚空に夜を視る」
あと新書レーベルから「煌夜祭」「ドラゴンキラーあります」 

このカオスっぷりすげえ!

ていうか2冊目は随分とラノベレーベルが幅を利かせていた気がするな。ちなみにこのラノベリスト選んだの誰や! すごいな! と思って巻末の書評者プロフィールを見たらLNF実行委員の人が2人いました。
2冊目が既読率が高いこともあり読みたい本チェックが多かったのは1冊目。
このリストやべえ! とより思ったのは2冊目。

この本はふらふらと児童室@図書館に入った時に目にしたものですがすごくときめいた。
児童室は宝庫だな! あっちにも足を運ばねばなるまい!

ていうかわたしこういう本作りたい。作りたいといっても同人ではなくもちろん商業でもなく自分で製本1。ブログからいくつか抜き出してだな! タイトルはクマーだな!

ちなみに既読率は1冊目17/100 2冊目30/100 でした。

  1. 最近また高まっている製本熱 []

ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫)

現代で女子高生4人組それぞれの視点による4つの物語。
「少女」の物語というとよく桜庭一樹を連想するんだけどこれは三浦しをんの秘密の花園を思い出した。

好きなのは1章エカの話「春の繭」・4章シバの話「ガーデン・ロスト」
春の繭は読みながらだれかと文通したいと思った。エカの文通相手の話はなんかで読んだことあるなあ。桜庭一樹のエッセイだった気はする。そっちは筆跡変えてたようだけど。そういうのは割とあることなんだろうか。わたしもかつては文通相手を探してよく手紙を送ったりしたものです。でも大抵はほとんど続かなかったなあ。

ガーデン・ロストはシバ母の怒り方がとてもうちの母似で……。
いや進路とかそういう人生レベルで重大なことじゃなくてもっと心の底からどうでもいいことなんですが。

地の文は痛い+切ない感じですが会話は明るい方向なのでそんなに重くない話だなあと思います。

犯罪でもいい。病気だっていい。
笑わないで。いじめないで。軽蔑しないで。そのどれも構わないけれど、壊さないで。消さないで。せめて私達の意識の中から。
そして、ただ、愛させて。

(P66)
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