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ローデンシュアの魔女?ハロウィンの夜に魔法のキスを (一迅社文庫アイリス)

デビュー作以来久しぶりのオリジナル作品。待ってたよ!

ローデンシュア6番地にある屋敷を15歳の魔女リジィが相続して引っ越してきた。
この屋敷には先住人がいた。魔力に囚われて屋敷から出られない幽霊が6人、大量の魔導具。
幽霊屋敷と呼ばれるヴィットリーニ家での奇妙な同居生活が始まる。

昔NHK教育で18:30からやってた海外のドラマ1っぽい匂いがした。ウルキエルはいつになったら出てくるんだろうと思ってた。後「ええ、この上にまだ学校へ行ったりするのかい!?」って思った2。あのプディング作りすぎたからうちに来ない? のシーンとかが私の中では海外ドラマっぽい感じなのだ……

仄明るい月光に、フレッドの体は白く透けていた。ゆらりと、まるで蜃気楼のように。
リジィの指先の、絆創膏のわずかな面積。彼が触れられる、わずかな部分。その上をさらりと撫でていく彼の指は、あまりに頼りない。瞬きをしている間に消えてしまいそうなほど。
なんとなく離れていくその指をつかみたいと思った。つかんで、まだここに「在る」ということをたしかめたい。

(P150)
  1. フルハウスとかアルフとかドギーハウザーとかやってた枠。翻訳ものの小説を読まず洋画もほとんど見なかった私が10代前半で触れていたほぼ唯一のもの。 []
  2. お屋敷の中だけで話が展開するものと思った []

トッカン—特別国税徴収官—

税金滞納者から問答無用で取立てを行う徴収官、なかでも特に悪質な事案を担当するのが特別国税徴収官(略してトッカン)だ。
舞台は東京国税局京橋地区税務署、言いたいことをうまく言えず「ぐ」と言い淀む鈴宮深樹とその上司である特官鏡雅愛の話である。税務署と聞いて「税務調査官 窓際太郎の事件簿」を思い出した私である。

がっつり呑み込まれた。特に3章4章。面白いんだけどなんか超刺さりました。ハリセンボンみたいになってるので誰かちょっとこれ抜いてください、という感じです。やめて私のHPはもうマイナスよ!

生きていくのって大変だ。
お金はあるに越したことはないけど怖い。

あわせて読みたい、で出てきたのは山本幸久「ある日、アヒルバス」と宮木あや子「野良女」1
colorful - ある日、アヒルバス/山本幸久
colorful - 野良女/宮木あや子

ある日、アヒルバス野良女

「安定したいんです。じゃないと、いつもぐにゃぐにゃした上にいたら、自分までぐにゃぐにゃしているように思えてくる。本当は、女として正しい道に行けたらよかったのかもしれない。もう二十五歳だし。だけどわたしはいつも詰めが甘いんです。最後の最後で結婚も失って、保険も失って、だったらわたしもうなんにも——」
いいながら、惚けた。目の前が真っ白になる。
「何にも、持ってないんだもの」

(P325)
  1. ただし下ネタを笑い飛ばせる人に限る []

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット (GA文庫)

これでおしまいとか超残念である。もっと読みたかった。
スランプになったサリエル先生超わらった。XJAPANもどきになったかと思えば一人称に著しい変動が出る程度に自信喪失。しかし62ページ付近はぐっじょぶだな。

子守り魔王と姫騎士団長 ?緑眼の咎人? (B’s‐LOG文庫)

1巻のときも書いたけど南米である。つまりイルマリアは若干スペインなのである。
最近スペイン萌えがやばい。ていうか1巻よりずっと面白いなあ。
前巻よりもっと直球にコンキスタドーレスで笑った。? コルテス将軍に続けー! / である。
コルテス将軍とケツアルコアトルが出てきたぜ……そして表紙の魔王がやっぱりシャイタンに見える。
トラロックは黒髪なのにもう病気レベル。

「ひめぎみはーいただいたー」は名台詞だと思う。トラロックかわいいなー。

そしてクレアが急速にレンタルマギカのアディリシアと同じカテゴリに……入ってきたような……。
ツンデレという意味ではなく「血」とか「誇り」とか的に。

空の彼方 (メディアワークス文庫)

王都レーギス・トラマンテ通り、細い路地に隠れるようにある防具屋「シャイニーテラス」。
そこの女主人であるソラは客に3つのルールを課している。
ひとつめ、レーギスの住人であり、帰ってくる場所もレーギスだと決めていること
ふたつめ、生きて帰る為に最大限の努力をすること
みっつめ、帰ってきたらソラに旅の話をすること

で、話のメインはこの「あっちこっちへ出かける傭兵などがレーギスへ帰ってからのソラへの話」
物語の形態が独白だったり話を聞かせるところとか、連作短編だったりするところで湊かなえの「告白」を思い出す。ただし方向としては告白とはまったくの正反対、「善意」とか「人とのつながり」とかの心温まるちょっとええ話系。

アルビオンの夜の女王 -銀弾の君と炎の呪縛- (B’s‐LOG文庫)

シリーズ開始前は3冊完の予定だったけどもうちょっと続けられることになりました1ということらしい。3巻のあの終わりそうなムードはそれか。段々面白くなっているなあ。

そんな感じに第2部スタートな趣。フリーデルはツンデレだよね。
それはさておき今回のメインはセシア兄! シスコン兄! この兄はいい兄。
上に兄がいますが兄萌えは割とします。「こんなお兄ちゃんがほしい」とはさらさら思っていない、可愛がる/可愛がられる対象として自分を置いていないゆえの萌え。ひとことでいうなら「それはそれ、これはこれ」

何より漫才ちっくだったセシアとラゼリオンの仲が地味に進展しているのが驚きだ。
ていうかP231の最後ら辺な。ビズログさんまじパねえっす! っておもった。

  1. あとがきより []

海が愛したボニー・ブランシェ (B’s‐LOG文庫)

ボニーは両親が亡くなるとほぼ同時期に王命で「ロランの乙女修道会」に放り込まれることとなる。
修道院ではほぼ監禁状態であったが父の遺作、軍船メレアグリナ号の進水式のため1ヶ月ぶりに故郷へ戻ることになった。進水式の場でボニーは両親を殺したとされる海賊ファド・ディアス一行に遭遇する。
濡れ衣だと主張するファド、ボニーは真実を求めてファド一行に同行することを決めた。

ビズログの新人賞受賞作品。色々とすごい。
そろそろビズログはビズログさんまじパねえっす! とか言われてもいいんじゃないだろうか。
そんな序盤からイヤボーンである。パンチラならぬドロ1チラである。いやモロだけど。
ほんのりBAD×BUDDYを思い出した……(ドロワーズ的に

海はいい。海賊はロマンだ。老海賊はまじときめく。
ナイフ口にくわえてマストを駆け上がるヒロインってなにそれかっこいい。
ラスト付近力ガ欲シイカ?のあとのボニーはFF6のトランスティナっぽいよね。あとボニパンという響きはゴマパン2を思い出す。

「幸運はいつだって前向きな人間に味方する。運ってのは、その場にいる面子、気概、ものの配置、天候、気温、風の向き、自然の摂理……ほかにもいろいろ、無数の条件が奇跡的に揃わないと起きない一瞬のことだろ。ところがこの船にはこんだけ多くの前向きな奴が集まってるんだ。そういう人間が乗った船は、誰かがいい風を呼び込めば、絶対に沈んだりしないのさ」

(P76)
  1. ドロワーズ []
  2. 良かったり悪かったりする魔女、ポムグラニット []

春狂い

とても美しい少女がいた。彼女を見た男は皆狂ってしまう。
彼女は幼い頃から男の欲望と暴力にさらされていた。幼稚園の昼寝時間には隣で寝ていた男児から。家ではお風呂に一緒に入る父親から。学校では教師から、クラスメイトから。成長してもずっと続く。
出口はない。

もうマジグロいの領域です。殴る蹴るだけで済むならどれだけ救われるものか。
死んだほうがマシというのはこういうことをいうのだろうなあ。何よりもウワァアアアアと思ったのは使用済みナプキン(数日経過)が現れたときのことです。あれはまさしくドン引きというにふさわしい。

ものすごいんだけど、えぐさ半端ないので人には薦められないし読む人も多分すごく選びそうな……。

うっかり「TOY JOY POP」(浅井ラボ)を初めて読んだ時をおもいだす。
これに比べればあれはまだ可愛いものだ。

天涯のパシュルーナ (3) (新書館ウィングス文庫) (新書館ウィングス文庫 155)

あとがき曰く全5巻予定の折り返しポイント。2巻は半年ぐらい積んだので今回はすぐ読んだ。
今日も災厄が寄ってくるトゥラルクは国王主催の夜会に招かれ、夜風に当たるべく外に出た。どこにいっても人ごみでなるべく人が少ないほうへ歩いていったところ貴族暗殺計画を耳にする。

ヴァイラはじまったな、という感じ。
基本的にトゥラルクさんまじなむいっす! ていう感じなんだけど1今回はうお、かっけーと思いました。ローリング運命。

「無実の人間を陥れなきゃ守れないちゃちなプライドなんてくそくらえ! おまえたち、恥を知れよ。恥を! 自分たちが何をしているのか、何をしなきゃいけないのか、てめぇの頭で考えてみろ!」

(P240)
  1. 主にヒルクイット的に []

日曜日のアイスが溶けるまで (小学館文庫)

なんかすごいものを読んだ感はある。
現実と幻想の境界を認識できていない類の言動を繰り返し言動にも以下略である。
26歳OL、彼氏とは3年目、自分のことは後回しにしがちであるという性格の京子が主人公です。

テレビでふと見た競馬中継で「10歳の時初恋の人と出会ったこと」を思い出す。訪れた競馬場にある児童公園で、京子は「思い出のままの10歳の初恋の人」と出会う。

「日々の雑事の疲れの中(主人公)はふと初恋の人を思いだす。色々あった末、思い出は思い出として私はここで頑張ろう」みたいな癒しと再生の物語では一切ありません。
あらすじほどロマンチックでもないです。現実離れはしていますが幻想的というには痛々しい感じがする。
どこか別の世界に引きずり込まれそうで、現実に戻ってこられておめでとうっていう風の。

思い出と虚構が徐々に現実を呑み込んでいくというか。
悲惨な過去があるわけではないのに過去を思い出したことにより緩やかに狂っていく過程というか。
ここ4行が断定形じゃなくてふわっとしてますが、作品がふわっとしているのでこうだ! とは言いにくい。

うっかり私まで呑まれそうになった。吸引力がすごい。

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