タグ「 朱川湊人 」の記事

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あした咲く蕾

短編集。7編収録。
わくらば日記と似た感じの「普通とはちょっと違う異能の持ち主」が出てきたり「追憶する語り手」の話が多いです。時代設定はいくつは特定されており大体昭和30年代?60年代です。
最近ブギーポップ再読してるので「MPLSとわたし」とか思いました1

なかにはちょっとええ話で終わるのもありますが、しんみり物悲しい雰囲気の思い出話というのもあります。死別前提の話も含まれています。

好きなのは「カンカン軒怪異譚」「空のひと」
チャーハンおいしそうだった。空のひとはファミコンのシーンにときめいたので2

近くのボウルに入れてある卵を二つ取ると、彼女は片手で同時に割り、煙が立ち上り始めた油の中に放り込む。(略)油を吸った卵が膨れたところで刻みネギを入れ、さらに油を足して冷ゴハンを入れ、鉄のお玉で勢い欲炒め始めたのだが——そこからがまさしく彼女の独擅場だった。まるで片手に持った中華鍋が太鼓で、手にした鉄のお玉が撥であるかのように……あるいは中華鍋が親の仇で、お玉が復讐の棍棒でもあるかのように、カン! カン! カン! と打ち鳴らし始めたのだ。

(P82)

小学校低学年男子児童の腿くらいありそうな二の腕がブルンブルンと高速に上下し、火がつくほどの油は入ってないはずなのに、時おり中華鍋全体が炎に包まれる。

(P83)
  1. そしてわくらば日記はAlways 3丁目のMPLS []
  2. 接続部をフーッとするとか []

わくらば追慕抄

昭和30年代の人やものの記憶が見られる姉さま(鈴音)と私(和歌子)の話、2巻。
姉さまと同じ力を持つ薔薇姫こと御堂吹雪。怪しげな宗教団体。記憶喪失の女性。
薔薇姫は今回は主に登場の巻という感じで、姉さまとの繋がりが分かったりどういう人なのかとかそういうことが分からないのでそれは今後に期待。
わくらば日記のころから順調に年を重ねて最後の話では和歌子は高校生、姉さまは20歳を目前に控えている。物語の最後は姉さまが視る最後の事件になるのかもしれないと思った。

「夕凪に祈った日」は読むとだんだんへこんでくる。しょんぼりした。

「お母さんっ」
傾いた甲板を滑るように落ちていきながら、男の子は叫んだそうです。
「いい子になるよっ いい子になるから助けて!」
その声は激しい風にちぎれ、耳に届かなくなったそうですが……(略)

(P304)

わくらば日記 (角川文庫)

昭和30年代、人やものから記憶がよみとれるふしぎな能力を持っている姉さま(鈴音)と私(和歌子)の話を、それから数十年後の私が懐かしみながら語る話。語り部のほうの私はたぶんもう60は確実に越えている。
連作短編。
ある日クラスメイトがひき逃げ事件に遭い、姉さまは私の記憶と現場のあとから遡り犯人のすがたを見た。警察には届けるのは待ってと姉さまに言われていたが、私が恋心を抱いていたお巡りさん(秦野)の関心を引くべく事件の犯人と秘密にしておいてと言われた姉さまの能力をことを話してしまう。内緒にと頼んだけども秦野もまた上司に喋ってしまう。上司の神楽は姉さまのもとに強盗殺人事件の依頼を持ってくる。

姉のもとに持ち込まれる依頼をもとに透視、とかいう話ではなくメインは姉と妹の日常。
全体的に物悲しい感じ。

本日、サービスデー

本日、サービスデーのあらすじ印象がとても強かったので連作短編と思ってました。
ちなみに事前に想像していたあらすじというのは「『今日は神さまから与えられたあなたの人生で最良の1日です。』そう言われてぼくは(わたしは)その日の過ごし方を模索する×大体4人か5人分の話」というものだった。
実際は独立している、ちょっといい話系(明日からまた頑張るぞ!的な)の短編集。5作入ってる。
サービスデーは「サービスデー管理課 次席主任 第2級天使 ガブリエル」という響きがとてもツボだった。禁書を読んだ後にこれを読んだので……

びっくりしたのは「あおぞら怪談」でした。
何がびっくりしたって「妖怪アパートトリビュート るり子の話」なんかこれは?っていうぐらい似ていたのだ。
友人日下部が借りてるおんぼろアパート(月1万。広くて駅前のアパートから歩いて10分だった)には幽霊が出るという話を聞き、僕はそのアパートに行き不思議なものを見た。
手だけの幽霊だ。マニキュアもしている。日下部は手に普通に話しかけている。手はるり子と言うそうだ。(名前については筆談で聞いたそうだ。名前以外に本人に繋がるものをは教えてもらえなかったが味付けから察するに北方の人間のようだ)最初はびっくりしたが炊事掃除洗濯(主にアイロン)など家事をしてもらえるので、日下部は誰かに話すこともなく逃げ出すことも当然テレビ局に電話することもなく一緒に暮らしている。
コミカルな話だった。

東京しあわせクラブは収録作の中では唯一のダーク系。というか悪趣味系?
とりあえずそんな初朱川湊人。いまわくらば日記を積んでいるので早めに読みたい(気概だけは!

それから日下部さんと手首の奇妙な生活が始まった。
毎日掃除してもらえるのは当然として、たとえば適当な野菜や肉を買って冷蔵庫に入れておき、わざと一時間ほど外出すると、きちんと料理されてテーブルの上に並べられるようになった。比較的濃い目の味付けなので、どうやら手首の持ち主は北国の出身ではないかと思える。

(P208)
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