カテゴリー「 一般文庫 」の記事

219件の投稿

夜の朝顔 (集英社文庫)

田舎の小学校に通うセンリ。6年間クラス替えのないクラスでの毎日。連作短編。
ちゃんと月日が流れている。最初の話は1年生だけど最後の話は6年生になる。
1年でひとつの話というわけではないし入学ではじまって卒業で終わる話でもない。

「ビニールの下の女の子」の夜の不吉さ不安さとか暗闇の得体の知れない怖さとか「ヒナを落とす」のシノのポジションとか「だって星はめぐるから」のなんで一緒にいるんだろうと思うあの感じ、なんで知ってるんだと思うぐらい懐かしい生々しい感覚がそこにある。

五月の虫歯はHERO(冷たい校舎の時は止まる)方向に走るのか砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない方向に走るのか読んでてすごくどきどきした。

初めて見る真夜中の世界は真っ暗じゃなくて少し驚いた。道沿いにぽつぽつとくすんだ街灯が並んでいて、その間の空気は青みがかかった深緑だったり、また、カラスの羽根より濃い黒をしていたりした。窓ガラスにおでこを近づけると、ひんやりとした外の空気が伝わってくる。

(P55)

夏の階段 (ピュアフル文庫)

夏休み?2学期(人によっては中学の卒業式以降)の高校生連作短編。
「マイナークラブハウスへようこそ」と「初恋素描帖」を混ぜて文学少女の千愛とエリ組のバロ子を追加投入して煮込んだのちヤンデレ成分を抜いたみたいな。ハチクロみたいな片想いスパイラルが発生したりしていた。
恋の話が含まれるけどそれが叶ったり崩れたりするまでの話ではないです。すごい本を読んだ気がした。

視点が変わってそれまでの脇役が主役になる。視点変更による雰囲気とか印象の違いようがすごい。
好きなのは雨の屋上・月の望潮。遠藤さんすごく好きだ。

あとがきがすごかった。小説の中では今まであんまり読んだことがない感じ。
すごくはじけてる。方向的に近いのは種村ありなっちの柱コメントではないだろうか……

また同じ日常がはじまるのだな、と諦念を覚える。疎ましいような安堵するような、甘い樹液みたいな日常。
いったんその粘性にからまるとなかなか抜け出せず、心も麻痺して、だけど時々腹がゴロゴロするような、しかし同じ場所にはとどまっていられない。ゆるくて厳しい高校生活。

(P86?P87)

あの頃の貴輿ちゃんは、大学のサークルの先輩に片思いをしているとかで、恋の相手は生身の男性だったはずなのに、今ではすっかりBL好きの腐女子です。この1年半のあいだにいったいどんな心境の変化があったのか、気になりますが、訊けません。

(P169)

善き人は、すべてを愛し、恋なんてしないと思っていたからです。恋こそ、不平等で不合理な感情の始まりだと思うからです。

(P189?190)

どうにかして性格を変えたいと思っていましたが、おそらくわたしはわたしのようにしか生きられないのです。だとしたら変えることではなく、気をつけることで、精一杯わたしらしく生きてみたほうがいいのかもしれません。
少々嫌われたって、命がとられることはないのです。誤解なら誤解をとけばいいのです。怖がることはありません、毒草だって毒虫だって、何かの役に立っているのです。

(P193)
    ひかりをすくう (光文社文庫)

    帯とかあらすじとかか全力で「ぼく癒し系の本です」って言っててそんなんに騙されないんだからなとか思いながら読んで、読み終わった後妙にホッとしている自分に気付く。術中なのかー

    パニック障害を患っている智子は仕事を辞めることにした。上司に引きとめられたし「智子の名前で仕事が取れている」ともいわれたけど、とりあえず今は仕事はしない、仕事に戻ることがあってもグラフィックデザインの仕事にはもう戻らないことにした。
    同居人で主夫の哲ちゃんと一緒に都心を離れ郊外で暮らすことになり、不動産屋でマンションを探しているうちに築20年を超える安い1戸建てを借りることにした。近所の不登校の子どもに英語を教えたりして日々の暮らしをしていく。

    パニック障害発動!なシーンが無駄にリアルだった。色々思い出してしまった。指の先が冷たくなる。

    橋本紡作品の男の人は料理関係の仕事についているわけでもないのに当たり前のごとく料理の主導権を握っている(しかも上手い美味い)。恋人同士でも不倫の関係でもまるでがっついてなかったりして色気の匂いがしない。草食系ってこんな感じなのかと思う。
    これに当てはまりそうなのは既読の中では「月光スイッチ」「9つの、物語」「ひかりをすくう」だけど、私の中ではもうそういうイメージで固定されてる。

    けれど迫ってくる納期と、評価にたいする恐れと、評価を得たいという欲望に急かされ、わたしは仕事を続けた。なにより、もうひとりの自分を見つめるのが怖かった。彼女の存在を認めたくなかったのだ。そんな焦りがますます自分を追い詰めていくことにさえ思い至らぬまま、土日も会社に泊まりこみ、朝夜関係なしに働き続けた。
    破滅に向かう列車に、わたしは乗っていたのだ。そのことを知りつつ、知らない振りをした。なぜなら列車に乗っていたかったから。どこか違う場所へ、光に満ちた世界へ列車なのだと信じたかったから。

    (P108~109)

    「ロールキャベツ。わりと手が込んでるんだぜ。肉とスパイスを混ぜて、ぎゅっぎゅっと捏ねるんだ。粘りが出てくるまで、しっかり捏ねるのがコツかな。それから飴色になるまで炒めたタマネギを入れるわけ。この順番も大切でさ、捏ねる前にタマネギを入れちゃ駄目なんだ。スパイスを三種類きかせてあるから、普通とは違う味がすると思う」

    (P174)

エバーグリーン (双葉文庫)

文庫化したので3人か4人ぐらいに布教した。思春期の約束、その10年後。
田舎在住のミュージシャン志望男子と漫画家志望女子が中学校卒業式に、「10年後夢を叶えてこのあぜ道で会おう」と約束してその9年10ヵ月後の話。
豊島ミホ作品のなかではこれと檸檬のころが私の中で鉄板です。大好き。
夢叶えた方も挫折したほうもちょーぐるぐるしてるなー。甘酸っぱくて滅びそうになった。

静まり返った部屋は、本当に何ひとつ物音が聞こえなくて、耳鳴りがしそうだった。
あけすけに恋バナのできる友だちも、彼氏も居ない二十四歳の私は、ただ十年かけて腐っていってるだけなのかもしれない。濡れた毛布のような思い出にくるまって、身体じゅうにカビを生やしながら。

(P145)

自分の感想読み返したらなんか今とは思ったこと違うんだけど、初読のときの感想もおいとく。
エバーグリーン/豊島ミホ

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

ハードカバーのほう買ってるけど文庫版も買った。
違いは野性時代に載った乃木坂れなの短編「ゴージャス」とあと古川日出男による解説がついてくる。
ハードカバーの時は七竈と雪風とあと後輩緒方みすずに重点おいてたけど、今回は七竈と優奈、雪風母、ビショップだった。ビショップはあきらかにきゅうり@マイナークラブハウスの影響だな。ビショップも見守ってる系だった。
脳内で時々七竈がドラマ化されたりコミカライズされたりしていた。ちなみに栗山千明と君に届けの爽子(外見だけ拝借)だった。なんか時々篠原一のゴージャスを思い出したりした。この余分なBGMがなんもない昔の映画みたいな古びた世界観は酔うなあ。

一週間ほど経つとむくむくはおれと一緒に縁側でまどろむようになった。ときどきはいっしょに外に散歩にも行くようになった。むくむくはほとんど鳴かなかった。いつも静かだった。おれはこのちいさな幼いものを自分のいもうと分だと判断した。弱く、幼く、物静かなるむくむくよ。

(P58)

マイナークラブハウスの森林生活—minor club house〈2〉 (ピュアフル文庫)

お金持ち学園の、変人が集まる弱小文化部の集まり「マイナークラブハウス」の住人の話2巻。
短編集なのと話ごとに語り手が変わるのは変わらないけど、1巻よりもうちょっと各話の結びつきが強い。
奈緒志郎んちはまるで「悦楽の園」の真琴んちじゃないか(゚д゚)<とおもうなど。ごろごろする。
猫・きゅうりの一人称はすごくハードボイルドだった。あの話が一番ぴりかの内面に迫ってた。すごい。
読むのに体力を使うなー。読んでたら時々とてもそわそわする。

ほんとうに、とてもおいしかった。茹でただけのじゃがいもやパンに、溶けたチーズを塗りたくって食べるだけ、という、一見乱暴なしろもの。『ラクレット』という、サヴォア地方の伝統料理だそうだ。

(P95)

「ありがと。しっかりやれ、二人とも。Happy Valentine!(地獄で会おうぜ!)」
「Happy Valentine!(地獄で会おうぜ!)」
「なんすかその、カッコ閉じるってのは! わけわかんねー!」

(P163)

(影ども! これは、おれのニンゲンだ。たとえ、お前たちに馴染む部分がいくらかあるとしても、もしゃもしゃの本質は、健やかな生だ。この娘はおれが、立派な野良に仕込むのだ! 以後、手出しをするな!)

(P262)

今朝子の晩ごはん—忙中馬あり篇 (ポプラ文庫)

日記本。
縦書きなのと行間字間の詰まり具合が文庫のほうが読みやすい、ということでブログでは読まず文庫化したのちにちまちま読んでいる。08年1月?6月まで。すごく忙しそうだった。

ランちゃんと私は同い年なので(だからなんだ!と怒られそうだが)、要はこちらも青春まっただ中で聞いてたグループだったせいか、ほとんどの曲を歌えてしまうのが我ながらスゴイと思ってしまった(これまた、だからどうした!と言われそうだが)

(P156)

わたしでいうところのSPEEDとか初期寄りのモーニング娘とかか……

PAGE TOP