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レッド・マスカラの秋 (ミステリーYA!)

カカオ80%の夏の続編です(この本からでも読めます

煽り文句はハードボイルドミステリーですが、内容的にはよい青春物語ではないでしょうか。

ミリがモデルをする東京ガールズフェスティバルにやってきた凪と雪絵。終わった後楽屋へ行くとミリの様子がおかしかった。印象的だった赤いアイメイクに触れると怒り出した。
ほかの男性モデルの一樹にきくと、出演予定のモデルがまぶたが腫れたことでコンタクトが入れられなくなり出られなくなった。その原因がミリが火の鳥マスカラという赤いマスカラを薦めたせいでは? と噂が立っているいうことだった。これがきっかけでミリはモデルをやめてしまうかもしれない。
凪はミリの疑いをはらすために調査に乗り出す。

東京ガールズフェスティバルは「モデルが着てる服をその場で携帯で買える」というあたり東京ガールズコレクションがモデルなのかなあと思った。2万4千円のライダーズジャケットを試着なし前提なのに「ちょっと高いけど射程範囲」と思うあたり金銭感覚がすごいな……とか恵まれた環境の子なんだな……などと自分が17歳だったときを思い出して、思わず遠い目をした。
親が「気に入った服は迷わず買いなさい。私のクレジットカード払いにしてくれていいから」といってるのもすげーなとおもう一端なのですが。

瀬菜さんはもうちょっと話に絡んで来るのかと思ったら、そうでもなかった。

赤いマスカラってそんなに普段使いに向くのか? とおもった。文化祭とか合コンとかイベント系ならしててもおかしくないと思うんだけど、とかでもこれだけ楽そうなマスカラで黒があるならちょっとほしいとおもった。
途中で出てきた「関西弁の司会者」と「おネエ系スタイリスト」が宮根さんとIKKOちゃんで再生されたりした。

花守の竜の叙情詩 (富士見ファンタジア文庫)

卵王子のあたりの冴木忍を思いだした。多分これは1冊完結。面白かったです。
オクトス国王エルンストの葬儀のため一族総出で地下に潜っていた。そこを隣国エッセウーナに狙われ、王女エパティークを残しオクトスの血は絶えた。
エパティークが生かされたのは捕虜でも政略結婚でもなく、願いを叶えてくれるという「オクトスの銀竜」伝説の生贄にするためだ。
エッセウーナの第二王子テオバルトは兄ラダーの命を受けて、エパティークとともに旅に出る。
物語はエパティーク(テオバルトにアマポーラと名づけられる)とテオバルトの2つの視点で進んでいく。
エパティークは自分の境遇を呪いながら「今まで何もしてこなかった罪」を思い知らされる。
テオバルトはこの任務が終われば妹を守るため一緒に城を出て暮らすことを決め淡々と任務をこなす。

「私の名はアマポーラ」の後からは地の文もアマポーラになってる……と思ったり。
ラストは何か意外だった。あと終盤がとても怒涛の展開だった。まさかの妹黒幕。
読み終わった後「意外だなあと思ったのは何故か」ということで「意外じゃないラスト」を考えた。

・予定通りアマポーラが飛び降りる、が命は助かる(竜は別に存在)
・両方飛び降りる。(竜は出現&生死不明。最後に竜を呼び出した人としてのちに詩人に謳われる)
・どっちかが飛び降りる→竜になった後片方がそれについていく(生死不明。最後に竜を呼び出した人として詩人に謳われる。詩人はエレンですねわかりますEND
・どっちかが飛び降りる→竜になった後片方がそれについていく(のちに大きくなったエレンのもとに2人が
そんなことを考えているうちにタイトルを見て「確かに花守の竜だなあ」と納得する

弟の名前がロランで「水面の月」にふいた。死せる乙女その手には美しきもの

アレグリアとは仕事はできない

2編収録されている。ひとつは「アレグリアとは仕事はできない」もうひとつは「地下鉄の叙事詩」

アレグリアのほうは原題が「コピー機が憎い!!」ちょー直球タイトルである。
アレグリアは人間ではなくミノベの職場にあるA1?A3まで対応のプリンタ・スキャナ・コピーの複合機である。品番YDP2020商品名アレグリア、高性能が売りのその機械は1分働いて2分休み、取説にないエラーコードを吐き、メンテの人が来れば治る。キスよりも早くのあとがきに出てくるような複合機だ。
これはアレグリアとミノベの戦いの話である。超リアルだった。
コピー機に紙が詰まって中開けてみたけどどこにも紙がなくて、電源切ってつけてみても相変わらず紙詰まりエラー表示のままで「何が気に入らんのや!」と心の中で叫んだ みたいなことを思い出した。

「地下鉄の叙事詩」は早朝の満員電車の中での物語です。視点変更と内面描写、人身事故や痴漢。
ミカミ氏に著しく共感を覚えた。

ミカミは人を殺したくなることがある。それも1時間ほどのうちに何人も。凶器はハンマーがいいと思う。大きく足を開いて座っている男の股間を金槌でぶん殴ってズボンの下にあるものを潰してやりたくなる。吊り革と吊り革の間にいるくせに肝心の吊り革を持たず、すました顔で二人分のスペースを占領している女の後頭部を殴りたくなる。聴いているとノイローゼになってしまうような音楽をイヤホンから漏らしている男の耳を、釘抜きの部分で抉りたくなる。車両の真ん中で、でかいリュックを背負って馬鹿面で立ち塞がっている高校生の膝の裏に一撃を加えたくなる。乗客が乗って来ているのにドア付近に溜まっている連中の頭を鉄琴を演奏するように叩いてやりたくなる。前に並んでいる人間の斜め裏を取って影になり、少しでも先に電車に入ろうとする卑怯者は、電車とホームの隙間に五寸釘よろしく叩き込んでやりたくなる。

(P147?P148)

鬼ヶ辻にあやかしあり (ポプラポケット文庫)鬼ヶ辻にあやかしあり〈2〉雨の日の迷子 (ポプラポケット文庫)

名前は文庫ですが大きさは新書なので新書カテゴリに。
葉月さんが「白蜜姫は人外ロリ!」と主張していたので何があったんだ……と思いつつ読む。
児童書です。たぶん舞台は江戸時代で妖怪が出たりする。方向的にはあまつきと同じカテゴリ。
児童書ですが黒いです。ざっくり人が死にます。とても妖怪です。ちなみに白蜜姫はよい人外ロリでした。

えげつない内容なのに読了感はさっぱりしてます。すごい。

少女の腰までのびた髪は、かがやくような雪白でした。目じりがつり上がった目は、とかしての金をおもわせる、濃い蜜色でした。小さなくちびるはさんごのように赤く、無邪気さと妖艶さがただよっています。
そしてその小さな体からは、うっすら青い焔のようなものが立ちのぼっていました。まるで全身が青く燃え立っているかのようです。その焔に包まれているため、少女はよりあでやかに、あやしく、力強く見えるのです。
それはおそろしくも、魂がふるえるほど美しい姿でした。

(鬼が辻にあやかしあり2 P136)

ミッキーたくまし

エッセイです。
何回も死にそうになった。もの食べてる時に笑いのツボにがたんとはまる。
深夜帯読みは真面目にやばい。

しかし、自転車ですれ違いざまに見てみると、なんとその女の子は、大爆笑していたのです。しかも、面白すぎて声が出ない状態。わかりますか? 私はそれを「笑いのミュート」と呼んでいるのですが、とにかく彼女は、もう何が何やら、楽しすぎて、動けねぇ! といった様子。

(P55?P56)

そうか笑いのミュートか……今度どっかで使おう……とか思った次第。

「卵」と「玉子」が混じって「卵子」。
私とマイティ、「卵子チェックしろって」「これセクハラやろ」と脱力。

(P166)

天然にはまじで勝てません。
どんだけおもろいこと言うたろうと思っても天然が全部もっていく。

とある魔術の禁書目録(インデックス)〈18〉 (電撃文庫)

英国編はこれで終わりだけど物語のラストはまだ見えない禁書目録20冊目。

上条さんの体の頑丈さは異常。
ゴスメイドとかこの世界にはメイド衣装はいくつあるというのか。
シスター暴飲暴食モードのシーンがとても癒しだった。

あと禁書ってこんなにオノマトペ多かったっけ……って思った。今巻は始終戦いっぱなしだったせいかな。
「○○!! という?」という表現が今回はすごく多く出てくる。○○にはザリザリでもゴッキィィンでもバタバタでも好きなものを。多用されすぎて読みにくいなあ……とおもうこと数回。

デュラララ!!×6 (電撃文庫)

5巻の続き。面白いなー。
この前がんがん再読してた時も思ったんだけど一番おもろいと思った頂点は3巻だったんですが、盛り返したなー。
シズちゃん無双過ぎる。そして粟楠会の人々がすごい。強い。やばい。あと折原双子が好きだ。
澱切陣内もっと小物キャラだと思ったんだけどつえーなー。
あと帝人がずぶずぶ埋まっていきつつある。今後が楽しみだ。
○○強いしか書いてない。語彙が少なすぎてとてもアホのようだ。しかし強いのは正義。強いのは格好いい。

デュラララ番外編として臨也静雄新羅世代が高校生だったときの話が読みたいなー。
今回ちらちら昔の話が出ていたので、とても気になった。とりあえず次巻の後日談が楽しみだ。主にモテ期到来が。

まとめは今度更新します……

婚礼、葬礼、その他

初津村記久子です。
ヨシノは仕事上のことでも部下が相手でも、呼びつけるのではなくこちらから出向く側で同僚に「腰が低い人ですね」とか言われていた。そして自分は呼ばないけどよく誰かに呼ばれる側であった。
旅行に行こうと屋久島ツアーを予約したその日に結婚式に呼ばれる。旅行はキャンセルし幹事やらスピーチやら2次会準備やらに徹する。そして結婚式に行ったかと思えば会社関係の人の葬式に呼ばれる。
淡々と進む話のなかあちらこちらで揉め事に巻き込まれたりごはんを食いっぱぐれたりとにかく振り回されるヨシノ。
後ろからそっと苦笑交じりに「頑張れ……」と言いたくなる話だった。おもしろい。
同時収録の「冷たい十字路」は視点がくるくる移り変わり話が繋がったりする。1回読んだぐらいではあんまり分からない話。

「わたしはね、やっぱりあんまりでかい葬式とかはいいから、誰も関係ない人を呼び出さずに済むようにしたいですね。あと、孫ができたらかわいがって、何もちらつかせずに誰かにお見舞いにきてもらえる人生を目指します」

(P79)

真紅の式使い (一迅社文庫アイリス)

かつての弟弟子で幼馴染み、今上の帝・基(もとい)に彰(あき)は求婚される。
帝になってからは初めてだが今まで何度も繰り返され、そして何度も拒否してきたことだ。
彰は基に競技(決闘のようなもの)を申し込む。式神を戦わせた勝負で彰が勝てば自分の好きなようにするし基が勝てば彰を娶るなりなんでもしていいとした。勝負は1ヵ月後だ。

しかし問題があった。彰は式使いではあるが式神を使役できないのである。既に戦いの結果は見えている。ある日危険な目に巻き込まれ彰はとっさに式神をおろすことに成功した。やってきたのは美形で強いが記憶を失っている式神の司だった。

この世界の式神は「人外との契約」ではなく「死んだ魂を呼び戻したもの」です。
勝負を申し込むのですがメインは彰と司の日常でした。彰が司に惹かれていく様子でもいいです。
基は基本的に蚊帳の外ですね。

全体的な雰囲気は暗めです。彰は苦労人なので色々過去を背負っています。あと蘭は良いツンデレでした。設定とかはわたしが好きーな感じであるのですが、ラストがいただけませんでした。
デザートまで食べ終わった後再度肉が登場した気分。
あそこで帰ってきたのは誰なのか(9割司だと思いますが)とか仮に司だとしても期間限定の間柄であり「昇華は式使いの絶対の義務」と言い、空へ帰るシーンがちゃんとあったにも関わらず何で生き返ることが出来たのかとかが消化不良。昇華したと見せかけて戻ってきたなら一時はハッピーエンドに見えても先に待つのはバッドエンドじゃないの? と思うのです。「帝パワーでなんとかしました」とか抜け道があるならその辺説明がほしかった。途中の軽いエピソードならともかくラストシーンだから。なのでエピローグは蛇足だなあと思いました。
 

夜の朝顔 (集英社文庫)

田舎の小学校に通うセンリ。6年間クラス替えのないクラスでの毎日。連作短編。
ちゃんと月日が流れている。最初の話は1年生だけど最後の話は6年生になる。
1年でひとつの話というわけではないし入学ではじまって卒業で終わる話でもない。

「ビニールの下の女の子」の夜の不吉さ不安さとか暗闇の得体の知れない怖さとか「ヒナを落とす」のシノのポジションとか「だって星はめぐるから」のなんで一緒にいるんだろうと思うあの感じ、なんで知ってるんだと思うぐらい懐かしい生々しい感覚がそこにある。

五月の虫歯はHERO(冷たい校舎の時は止まる)方向に走るのか砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない方向に走るのか読んでてすごくどきどきした。

初めて見る真夜中の世界は真っ暗じゃなくて少し驚いた。道沿いにぽつぽつとくすんだ街灯が並んでいて、その間の空気は青みがかかった深緑だったり、また、カラスの羽根より濃い黒をしていたりした。窓ガラスにおでこを近づけると、ひんやりとした外の空気が伝わってくる。

(P55)
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