タグ「 新潮文庫 」の記事

27件の投稿

「今日も旦那の帰りが遅い」話。日記と狂気と人妻と。
妻・坂田三津子30歳、世田谷区の一戸建て(借家・マッチ箱程度の広さ)に住む専業主婦。
夫・坂田忠春34歳、一流と呼ばれる企業に勤め出世もしている1が残業休出が度重なっている

三津子は今日もごはんを作って春さんの帰りを待つ。23時を過ぎたけどまだ帰らない。日記を書く。
世界は自分と春さんでほぼ閉じている。ある時は通い猫がいたけどいなくなってしまった。
日記と現実の描写が交互に来る。徐々に精神面に変調をきたしていることは日記の記述で窺える。
再会した友人の紹介で春さんの薦めもありラジオ局へバイトに出る。2
「孤独」と「バイト先に届く読者はがき」で人知れず育つ狂気。

237ページがうわぁぁぁあああ(゚д゚;)となった。ページめくってさらに怖くなった。
全面的に文字が塗りつぶされている。機械的にべたっと塗りつぶすんじゃなくて書き損じをぐちゃぐちゃっと塗りつぶしたみたいに。不吉な微妙に文字が見える。うわぁあああ((((((゚д゚;)))))となる。

正直、9/21喧嘩後春さんは死亡しているものだと思った。
狂気と電波に彩られた三津子の地雷を春さんが踏む。三津子、春さんを殺す。
三津子はそのことを忘れて今日もごはんを作って帰ってくるはずのない春さんを待つ。
9/28の「下ごしらえの段階の夕食」は春さんバラしてる((チャイニーズスープの影響))。
おしまいの日は「殺したことを認識した日」「主に春さんでできている三津子の世界終了のお知らせ」
だからもう1枚めくって10/1に春さん視点があることにとても驚く。え! 何で生きてるの? みたいな。

にゃおんの体に群がる白い虫を想像して脳が死ぬかと思った。読み返してみたら確かににゃおんはここで死んだんだろう&死体回収という描写はあったけど半泣きでねずみを始末しているもんだと思っていた。

  1. 最年少課長 []
  2. この時点で相当病んでる []

しあわせのねだん (新潮文庫)

2回目。軽いエッセイが読みたいときに備えた。
お買い物エッセイというかお金を使うことに関するエッセイ。昼ご飯代とかかばんとか理想の財布の中身とか。

同い年の友人に、何か買う予定のもとくべつないふつうのとき、財布もお金をいくら入れるのが常識か、訊いてみた。彼は、年齢を四捨五入した数×1000と明快な答えを返した。27歳なら四捨五入して1000をかけて30000円。21歳なら20000円。

(P68)

むりだーーー!とおもった。多い時で1万ぐらいだな。
ちょっと多めに入れてると本屋に落としてくるからな。たまに小銭しかなくて焦る。

そうして三十代も後半に近づいた今、思うのは二十代のときに使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである。(略)二十代すべて、私と正反対に、装飾系にお金を使った人がいるとすると、その人は確実に装飾選びがうまいはずである。(略)装飾や映画や美食に比べて、安居酒屋で飲むという行為は、まったく無為である。センスがよくなるわけでも舌が肥えるわけでもない。でもこの無為な時間が、今の私を助けたりもする。そのことをときどき実感する。

(P175)

私本にばっかばっか使ってるけどいつか助けられる日が来るんだろうか。なんかの足しになる日がくればいい……

さがしもの (新潮文庫 (か-38-4))

単行本のときは「この本が、世界に存在するということに」でしたがそれが改題されて文庫落ちしたものです。本がテーマになってる短編集。読むのはこれが3回目ぐらい? 「彼と私の本棚」と「ミツザワ書店」が好きだー。

子どものころのぼくにとって、ミツザワ書店は世界図書館みたいなものだった。世界じゅうのありとあらゆる本がここにはあるんだと信じていた。本という本はそもそも分類や整理がされておらず、育児辞典とベストセラーと海外名作全集と古典文学とがごっちゃになって積み上げられ、その隙間にビニールに入ったエロ本があったりした。

(P147)

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)

認知症をわずらったほぼ寝たきりなおばあちゃん(さわこ)と孫コウコと熱帯魚と深夜の話。
おばあちゃんは深夜になるとモーターの音にひかれたかおしゃべりな娘さんのようになる。それがもうひとりのコウコのようで。

エンゼルフィッシュってこんなに凶悪ーな魚なのか?(熱帯魚とか未知の世界だ。それこそディスパレイトぐらいしか。



単行本版で何度か読んでたエッセイの文庫落ち。三浦弟の話ににやにやしていた。久しぶりにジロウくんネタを読んだためである。

東京夜話 (新潮文庫)

ぶらんこ乗りよりこっちが好きかも、と思ういしいしんじデビュー作。短編集。
「正直袋の神経衰弱」「クロマグロとシロザケ」「お面法廷」「クラブ化する日本」「クリスマス追跡」が好きだ。
正直袋?は一行目から吹いた。ヘタレ池袋(擬人化)がツボにはまった。池袋(擬人化)の田舎はどこでしょうか。
クロマグロとシロザケはマグロとサケの恋の話です。想像したらとてもシュールなんだけど、台詞だけ見てれば純愛だ……

解説(だと思われる)のところで、えいしいさんてそんな人なんだ!?て思った。びっくり。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

最近なんか疲れているので西魔女を読んで癒される必要があると思いました。

その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」

(P162)

映画は結局こっちでは上映されずじまいでした。
映画館で見る情熱はあってもわざわざ借りてまで見る気はしないんだよなあ。

夜のピクニック (新潮文庫)

この前っゃさんが読んでたので読みたくなったフラグ。そして音声変換される罠。ふぉおお。
映画版の高見が背が高くてなんか違和感があったのだけどその訳が分かった。

高見という男、体は小さいのに声はでかい。
(中略)
高見は華奢な首を回した。色白で、女の子みたいに結構可愛い顔をしているのは認めるが、やはりうるさい。

(P132~P133)

映画版の高見はこれの真逆だと思うのだ。

そして映画地上波放送まだー。(邦画は1年2年ぐらいでやるからそろそろやってもおかしくないと思うんだ

夢のような幸福 (新潮文庫 み 34-6)

エッセイ。再読ドドド。



「少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語」ってあらすじに書いてあるから梨木香歩か森絵都か瀬尾まいこか桜庭一樹かと思って読んでみた。
実際は姉弟の話でした。
ぶらんこ乗り@いしいしんじを西の魔女が死んだ@梨木香歩で割ったような感じだー。

おまえの前で今、この世でいちばんおそろしいものに生まれ変わってやる……!(P206)

PAGE TOP