カテゴリー「 単行本 」の記事

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k.m.p.の 南の島ぐるぐる。

南の島を旅行してみた。行き先はバリ島の隣、ロンボク島。
ロンボク島はバリから飛行機で20分・船で4時間ぐらいのすぐ隣の島で、よく似てそうだけど植生が違ったり宗教が違ったりするところ。主にはロンボク。

チェンマイアパート日記は割と手書き文字とか手書き文字風フォントとかが多かったに比べて、こっちはゴシック系のフォントが多い。というか9割文字のページもたまにある。写真は小さめなのがいっぱいある。
愚痴のターン!とかは少ない。

お湯が出るシャワーがある宿がないとか、塩水のシャワーとか、そもそも水・電気を自由に使える宿がないとかそういうのが多かった。ホットシャワーの顛末は「その発想はなかった(゚д゚)」という感じだった。

海の写真が綺麗だわー。

アザーン(お祈りの呼びかけ/イスラム教)ってでてきて、最近この単語どっかで見た!と思って脳内を検索した。バベルの歌姫だった。そうかあれはこのへんからとってきてるのか……とかおもった。

少年少女飛行倶楽部

中学生+弱小部活動+青春=もえるよかんしかしない。
これは今中学生の人もかつて中学生だった人も読むといいと思います。

佐田海月(みづき/あだなはくーちゃん)は、幼馴染みの大森樹絵里(じゅえり)に誘われて樹絵里好きな人が兼部しているという「飛行クラブ」に入部することになる。この学校は部活は必修でなにかひとつに入らなくてはならないのだ。
元来の性格が災いし、なしくずしのままに入った海月が一番精力的に働くこととなるのだった。
ちなみに物語は海月一人称単視点である。

「ひこうクラブ」と聞けば大抵の人が「非行クラブ」と脳内で変換する飛行クラブの活動内容は飛ぶことだ。
「自分自身が」「何の力も借りず」「自由に飛行する」ピーターパン型の飛行がベスト。
しかし特別な能力も魔法のほうきも豊富な財布も持っていないので、普通の中学生ができる範囲でクラブ規定の飛行をさぐっていくところからはじめよう、というクラブだ。ちなみにペットボトルロケット・飛行機を飛ばす・飛行機に乗る・遊園地のアトラクション・バンジージャンプなどは規定外である。

ただその飛行クラブはまだ正式な部活ではなかった。部として認められるには部員5人と顧問が必要で、現在の部員は2人。部長は先生にも「一言で言えば変人」と言われる斉藤神(ジン)。そして副部長で樹絵里の好きな人である中村海星(かいせい)。とりあえず正式な部に昇格するため部員を集めた結果、仲居朋(るなるな)、餅田球児が入部する。

部員はとても珍名さんいらっしゃいである。
名前って、親からもらう最初のプレゼントであるけど箱の中に入ってるのは祝いあり呪いありだよね……
あとわたしは海月の母が好き過ぎる。

この「目からビーム」だって元をただせば母のウソ話なのである。小学校低学年の頃、テレビでドラゴンボールの再放送を見ていて、カメハメ波はホントに出せるかという話になった。すると母は真剣な面持ちで言ったのだ。
「うーん、カメハメ波はもともとの才能と大変な修行が必要だけど、目からビーム出すくらいなら、普通の人でも少し頑張ればできるんじゃないかな」と。

(P193)

爆笑した。おかあさんは名案を授けてくれるも、基本的にはボケの人(そして海月がツッコミの人)なのでとても面白い。

「くーちゃんはさ、<二人組>の怖さなんて知らないでしょ」

(P249)

もう見た瞬間にひやっとした。じゃ適当に二人組みになれー。
ふだんつるんでるのが3人とか5人とかだったらもう目も当てられない。

世の中で一番馬鹿な生き物は、中二男子なのだと聞いたことがある。銀魂で銀さんも言ってたし。
幸か不幸か私は中学に入るまで、中二男子と知り合いになる機会はなかった。だから、先の説(?)についても、そんなもんかなー、小学生男子だって充分馬鹿だよなーとか考えていた。
だけど確信した。やっぱり世界で一番馬鹿なのは中二男子だって。

(P110?P111)

パリ砂糖漬けの日々—ル・コルドン・ブルーで学んで

新聞社を辞めてパリに製菓留学した人のパリ滞在記。
パリでアパートを買ったりしているので最初はこのままずっとパリで暮らすのかと思ったら最終的には帰国して京都の町家暮らしをはじめる(らしい。賃貸契約を交わしたところでこの本は終わる

製菓留学といってもメインとなるのは日常生活なのでお菓子の写真が載っているとかレシピが載っているとかそういう方向ではない。筆者多田さんはル・コルドン・ブルーという創立110年の料理学校に入学した。

ダイヤモンドという意味の真ん丸いサブレ「ディヤマン」も習った。

(P100)

タラントゥカラットディアマンルゥゥゥジュ(゚д゚)!
レーヌ・ミシェルはピジョンブラッドのイメージが強いんだけど赤いダイヤなんだよなあ。赤色金剛石。
ピジョンブラッドの説明見てたらなおのことそう思う。

フランス人は思ってたより四角四面の上大ざっぱだった。紙命。

アインシュタインは早口で生徒全員に「あなたのフランス語の最終目標は」と聞き始めた。
 カスマンは「上司である医師の指示が理解できるようになること。今は私のフランス語が通じない」と答えた。「通じないのはあなたが弱気だからだろう」と教師が応じた。何気ない一言が緊張の糸を切ったのだろう。「ノン、私は内気なんかじゃない」と震える声が響いた。彼女は両手で口を覆い、涙ぐんだ。
 つられて私も涙ぐんだ。そう三十代。そこそこ経験だってある。でも言葉が足らない異国では半人前でしかない。通じないのは泣くほどせつないことなのだ。

(P83)

格闘する者に○

再読オブ三浦しをんのデビュー作。
可南子は出版社希望の絶賛就活生である。内定はまだ無い。そもそも就職戦線にもあまり出ない。
エントリーシート! とか 圧迫面接! とかそんな感じなので今大学4年生とかのひとにぜひとも渡してみたい1冊。面接必勝本みたいな方向ではないのでその辺は注意あれー。

可南子の一族は政治家の家系なのだった。入り婿の父、亡き母、義母、可南子と半分血が繋がった弟。
親族会議とか跡継ぎとかごたごたしてるけど、その辺の家族の話もとてもすきだー。

「藤崎」の家に住んでいる人間の中で「藤崎」の血を引いているのは、私一人だ。そして明らかにその私の存在こそが、この「家族」を家族たらしめない要因、異物だ。その事実を突き付けられたくないから、私はいつもの生活を崩されるのを嫌う。父がこの家に帰ってきて、家族の構成要因が揃ってしまうことを恐れるのだ。

(P91)

「きっとどこかにありますよ。可南子ちゃんも気に入り、相手も可南子ちゃんにぜひ来てほしいというところが。ちょうど今の可南子ちゃんとわしのように、相思相愛になる会社があるはずじゃ」
心のどこかで、そんな甘いものじゃない、西園寺さんみたいに私を気に入ってくれる会社なんて……という声がずっとしているのだが、あえて聞こえない振りをした。たとえ最悪の事態に直面しても、まだ事実から目をそらそうとしうるのが私だ。

(P197)

「だいたい会社、それがひいては『社会』なんだと思うけど、会社が求めるような能力が、そもそも私たちに備わっていないのよ」(略)
「覇気があって、うだつがあがってて、初対面の人とも明るく打ち解けて。そういうのを面接という限られた時間内でアピールできる、か」
「そうそう。そういうことができる人間を、社会人というのよ」

(P205)

海馬が耳から駆けてゆく〈3〉

エッセイ3冊目。このシリーズはすごく飛び飛びで読んでいるのが分かったので間を埋め中。
ウリナリがやっててケディがでたところですごく時代を感じた。毎週見てたよー。

スペイン旅行の章で、スペイン人に英語で話しかけて、英語が通じず(今は知らないけどスペインではつたない英語は異国語らしい。)スペイン語で返されてなんだか分からない!とか言ってるのに段々聞き取れるようになってるのがすごい。「?とスペイン語だが言われた気がした」でその通りになってるのでびっくりした。スパルタ英会話教室。

深夜に、ふと続き物の漫画を読み始めてしまった。弟の所有物だ。だがどうしても最終巻だけがない。きっと弟の部屋だ。彼は爆睡している。明日を待つのが理性だ。でもどうしても最終巻が読みたい!!
 と私は懐中電灯が無かったので蝋燭の火を灯し、弟の部屋でそっと最終巻を捜索していた。
 しかし、丑三つ時、彼は捜索の気配に気付いてか目覚めてしまった。
「ひっ……っ!」
目覚めると深夜の暗闇に蝋燭の火がぼうっと浮かび、誰ともわからぬ人影が。
「起こしたら悪いと思って」
と言い訳すると、
「夜中に目が覚めて蝋燭もった人が立ってるの見たこっちの身にもなれ!」

(P260)

英雄の書 上英雄の書 下

序盤がとてもとても長いです。
ファンタジーで小学5年生の女の子が主人公です。本とか物語とかそんな感じの方向で。
友理子はある日突然早退するように言われ家に帰ると兄の大樹(中学2年)が同じクラスの男子を2人刺して逃げたという。ひとりはもう死んでしまった。
あらすじを書こうとすると序盤だけでもすごく長くなるので適当に省略して書くと、大樹は大叔父の書斎から持ってきた、英雄について書かれた本「エルムの書」の器として選ばれ黄衣の王に成り果てた。友理子は兄を救うため旅立つことを決めた、という感じ。

小学生が背負う割に過酷な運命でしょんぼりした。
ラストは「ある意味この上下巻は長い長いプロローグなのかも……」と続きを思わせるようなものでした。

「なるほど、紡ぐ者たちは己の書きたいだけの話を書いたら、そこで筆をおく。だが、彼がこしらえた"領域"はそこにある。存在し続けるんだ。そのなかの生き物たちは、たとえ創作物であろうとも生き続ける」

(下巻P32)

ヨーロッパ食堂旅行

ヨーロッパ旅とごはんと酒。読みやすかった。
ヨーロッパ各地で食べる飲む。ヴェネツィアにときめきを覚える。(何度目かの。
あと紅の豚の話を読む直前に見ていたのでアドリア海の真珠にごろごろした。

「調理場という戦場」にもでてきたフランス料理店「コートドール」がでてきたのでびっくりした。

「クロアチア語では乾杯をジベリと言うんだ。英語では"living long"。長生きしようということ。戦争が始まった頃、オレたちはワインでよく乾杯した。ジベリ、明日も絶対生きていようと」

(P79)

なにかベルリンだけの食べ物はないのか?
 そうして見つけたのがカリーヴルストだ。ティアガルテン周辺の広場、動物園駅の広場、クーダムのあちらこちらといったところにある屋台の大半はヴルストというソーセージを売る店である。なかでも人気が高いのはカリーヴルスト。これはソーセージのなかにカレーが練りこんであるものではない。焼いたソーセージにカレー粉をまぶし、ケチャップがかけまわしてある。食べる時は付け合せのフライドポテトと一緒に頬張る。なんとなく妙な味のものだが、癖になる。

(P115)

純情エレジー

デビュー作は読んでないのでR-18な豊島ミホを読むのはこれが初めてです
性描写ががっつりあります。エロス&郷愁。帰りたいとか帰れないとか帰ってしまったとか。
エロありというてもなんか乾いてるイメージがした。湿気とか粘度とかとは無縁な感じの。

「あなたを沈める海」「避行」「結晶」のあたりが好き。

「あなたを沈める海」「避行」の照は肩書きが「ライトノベル作家」で、この辺りがわたしの中でとても新しい。
というか田舎に残った遙が他人事じゃないです。

——わたしこの町でひとりで死ぬんだ。
小さな町。今は合併して、県庁所在地の市の端にくっついているけれど、海と山しかない、なんの娯楽もない場所だ。
東京がどんな場所なのか、わたしはきちんと知らない。修学旅行で行ったディズニーランドは千葉だというし、テレビで見る東京は、ただ大きな真新しいビルが並ぶくらいのイメージしかない。

(P57)

このあたりがね。うちもこんな感じなのだ。海と山しかない。
ちなみにわたしは「最初から上京という選択肢を持たず田舎で暮らすことを選んだ」人です。
東京はなんでもあるしオフ会はたまにすごく羨ましいしライブもすごく行きやすいけど、そこで住みたいとは思わないんだよなー妄想の中で「家とか就職とか生活の基盤不問でどこに住みたいか」とか考えても東京は明らかに圏外だった。

「おれ、東京に行く。別に、行かなくても小説は書けるんだろうけど、でも今じゃなきゃここを出られない気がするから」

(P43)

お正月にやってた一読永劫の桜庭さんの回の、ダブリンの駅のところで、「田舎は呪縛が強い」とかあの辺を思い出した。

ネタバレになるので作品名はあげませんが、ひとつ乙一の「失はれる物語」みたいなのがあって「あばばばばば」ってなった。とても怖い。(わたしは乙一作品の中では「失はれる物語」が物凄く怖いのだ)

絲的サバイバル

ひとり、時々複数人で関東甲信越やセネガルでキャンプをしてみた。
サバイバルというかアウトドアです。読んでる途中豚汁がとても食べたくなりました。
神奈川県三浦市でキャンプの章もありました。

名前を出すわけにもいかないので便宜上彼のことを「宇宙人」と呼ぶことにする。

ふーんと思いながら次のページ、「宇宙人が懇意にしているという魚屋『まるいち』」
どう考えても宇宙人=いしいしんじじゃないかああああああああと思った。意外なところでの邂逅。

日頃霊感なんかはない。怖い思いなんてしたことがない。けれどここは、びんびん感じるのだ。
出た、なんてもんじゃない。気がついたらそこかしこに出ている、という感覚。(略)
見えないんだけど本当に聞こえるのだ。
具体的にどんな音かというと、正面からはものすごくスローで暗いディキシーランドジャズみたいなの、男の声、四人か五人歌っている、楽隊もいる、右からは鳩笛、これは女三人ぐらい、後ろからは、ざざ、ざざ、という引きずるような不規則な足音ですよ。

(P132)

氷の海のガレオン

氷の海のガレオン/オルタの前身。こっちにしか入ってない短編が読みたくて読んだ。
2回目ともなるとガレオンも冷静に読めます。死ぬ死ぬ言いながら転がらなくても読めます。
たまにひりひりはするけどわたしは元気です。

天上の大陸がよかった。微妙にガレオンと繋がっていた。日本が舞台だと思うけど日本じゃないみたいだった。

もうだめだよう、わたしには耐えられないよう、助けに来てよう、と叫んでいても、もっと深い所では出口が見えている、という事が。
そういう時は、どんなに頼んでも、出て来てくれなきゃ死ぬと言おうとも、絶対ソーマは来てはくれないのだ。
そういう状況に陥ったなら、まず、泣き寝入りでもいいからひとねむりして、こころを落ち着けて、『自分がどっっこも嘘ついてないか、自分のことをひとっっっつも偽ってないか』を探さなくちゃならない。
すると、何となく、見えてくる。

(P124-125)

うれしくて、うれしくて、涙があふれ出した時、先のほうに、ぽつんと強い光の入り口が見えた。
あの光の所まで行ったら、絶対に、何かを疑ったりしてはいけない。

(P165)
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