カテゴリー「 小説 」の記事

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うつ恋

すんげー乙女ちっくな装丁だ。

男性向け月刊誌マッスル編集部の柿崎乙子は「特集:こだわりの男たち」の取材のため、かつて一世を風靡して4年で消えた芸人ツーテン権太のもとを訪れた。取材記事を書き直せと言い、直したら直したでお前に記者としてのプライドはないのかと難癖をつけられる。乙子が原稿を2種類(修正前、修正後)置いて帰った日に乙子は権太の弟子、戸田から電話を貰う。
師匠はうつ病を患っている。今は通院しないでいいレベルになっている、乙子から取材の申し込みがあってからはがらりと元気になったが、修正後の原稿をもらってとても悲しそうな顔をしていた。乙子が帰ってからなお症状が重くなった。師匠は乙子が気に入っているのでカウンセラー(のようなこと)をしてもらえないかと。そういう電話だった。

メインは乙子(←ちなみにおとこと読む。おつこではない)の心理描写だ。憧れの編集部には行きたいし、なんか権太は自分のことを恋人だといってるし、でもそれもなんだかまんざらではないし、いろいろ大変なんだよ30代女も!という感じだった。読みやすかったなー。

流星の絆

帯がちょっと書きすぎだと思う。
真相がずいぶんとあっさりしている。

「俺たち三人は繋がってる。いつだって絆で結ばれてる。だから何も怖がるな」

(P68)

これだけで星屑の革紐がばんと連想されるんだからちゅうどくすぎる。

別冊 図書館戦争〈2〉
手塚×柴崎を含む別冊図書館戦争2。これにてラスト。別冊1のような死ぬほど甘い展開はないので(つかあれ以上のものがきたら死ぬ)

しかし広瀬の「作り天然」ということばは素晴らしいな。属性詐称な天然である。

にっこり小首を傾げて答える。負けてたまるか。ただ怯えて守られるだけの女にはならない。
同期で唯一自分と互角。自分がそう認めたあの男が守るに値する女でいてみせる。

(P191)

柴崎はカッコイイヨー。

事件の顛末はかなり最初のほうから想像付いてました。水島はなんかカワイソメダルをつけたがっている子に見えたのだ。この子が犯人だったらおいしいなと。

昔の話を聞かせての堂上はいいむっつりですね。あまいわー。

カイシャデイズ

設計から施工その後のアフターサービスまでなとある建築会社の日常。
視点が変わる長編なのかと思ったらどっちかというと連作短編的な?
途中からなんか読みにくくなったなあ。

ところで

それにしても八王子は遠い。東中野から総武線に乗って、となりの中野で中央線に乗り換えねばならないのがまず面倒だ。しかもなんだか知らないが、八王子まで辿り着く列車がなかなか来ない場合がある。

(P79)

うららさんがよくついったーで「中央線また遅延してる爆発しろーーーー」と言っているのでこのことか……?とおもってたらちょっと違うらしい。都会のほうはいろいろと大変そうである。

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そんなうららさんに聞いてみた「中央線爆発しろ!」の例

酔郷譚

おそらく現代が舞台なんだろうけど凄く幻想的で官能的な短編集。
あの世とこの世の話+酒。

戸村飯店青春100連発

家族(主に兄弟)もの。
Re-born はじまりの一歩収録のゴーストライターを加筆修正したものを第1章にして、どーんと長編にしましたという。

ゴーストライターの段階ではなんか完璧超人のような感じであった兄ちゃんは意外とあほのこだった。ていうか超モラトリアムなひとだった。

「うん。元気があればなんでもできるって、ニーチェもゲーテも言ってるもんな。哲学者のいうことは時々すごく的を射ている」
きっとそれはゲーテやニーチェではなく、アントニオ猪木の言葉だ。

(P273~274)

これは兄ちゃんの台詞ではないけどとてもつぼったので。
古嶋はあほのこではなくただのアホです。

ラブコメ今昔

程よい甘さです。

「軍事とオタクと彼」の光隆が可愛すぎる件について。これとラブコメ今昔は野性時代で既読だったのですが、可愛すぎる件について(大事なことなので2回言いました。たまに「軍事オタクと彼」で検索してくる人がいますが、そこの「と」があるのとないのでは意味合いが大きく変わってくるので注意が必要だ!

青い衝撃が結構すきなのです。
なんか新しい感じだ……とおもった。昼ドラちっくな展開だった。

ジャージの二人

北軽井沢(堺雅人がいいともで言ってたことには群馬県の嬬恋あたりらしい)の別荘で過ごす父と息子の話。
脳内では30歳過ぎぐらいの父と10代か年齢一桁の息子の話を想像してたら息子が30代ぐらいのような雰囲気。特に何かするわけではなくってだらだらと過ごす日々。

荒野

出ると思わなかったなあ。
その昔ファミ通文庫で出版された荒野の恋が完結編をつけて合本で単行本になりました。1部と2部は内容は変わってないはずなのにパッケージが違うだけでなんだか別物の雰囲気だ。

義母・蓉子と荒野の会話はエッセイでよく読む桜庭さんとお母さんのあれみたいだ。

図書館の水脈 (ダ・ヴィンチ・ブックス)

本が作る縁の話。もしくは「海辺のカフカ」@村上春樹ツアーをする3人の話。私は村上春樹は未読なんですが、これを読み終わった後本屋にいって「新潮夏の100冊 本店オススメNo1は海辺のカフカ」とか見てしまいうっかり買いそうになりました。
大歩危小歩危とか鳴門とか地元がどこどこ出てきたのでびっくりしました。
「地元が出てくる小説」というのはめったに見ないのでそれだけでも甘くなるものです。いや地元といっても鳴門も大歩危も私のホームではありませんが。

 ナズナの方からワタルに教えたことといえば、もっぱら本のことだった。
 子どもの時から読書好きだったナズナは、一人の作家を好きになると全ての著作を読まないと気が済まない。自分と会うまでは村上春樹も読んだことのなかったようなワタルには、読ませてやりたい本が山ほどあった。
 ワタルと会う時には、何冊もの文庫本を持っていくのが習慣になった。それを貸しておくと、ワタルは次に会うときまでにはみんな読んできてくれる。電話やメールでその本について語り合うのが毎日の楽しみになっていった。

(P87)
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