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金星特急 5 (ウィングス文庫)

金星特急5巻。グラナダへ向かっています。
twiterでたびたび「鳩の子だよ!」って言ってたのは金星特急を読んでいたからです。
錆丸が本当に成長期だなあ。暁玲と揃ってがたがた震えていた頃とはわけがちがう。強くなってるなあ。

平和を願って作られた言葉が世界から平和を取り除いてしまったっていうあれがとてもいい。

233ページとかあのへんはやばい。砂鉄の癖に! ほらあとがきのほうのあれが来たら通帳出すわ。

「骨の砂漠を遥々と」のラストでうっかり三月に転びそうになった。転びそうになった!!!!!!
あのもえのかたまりぶりはやばい。血飛沫がぶしゅあっとかあれはやばい。とてもやばい。俺そいつ殺したいとか鼻血出るわ。そして錆丸の「俺、弟になるよ」にぶっころがった。ただでさえ夏草と三月はロマンがいっぱいなのになあ。そんな血を血で洗う展開なのにあの人に恋をする権利をくださいとかね! もうね! 

「こんにちは、世界の皆さん」
レンズに向かってにっこり微笑んだ。肩に、腰に、ふわりと赤い布が巻きつく、演出効果はばっちりだ。
「金星特急に乗り遅れた蝶の子でーす」
ばちんとウィンクをすると、辺りが一瞬静まりかえり--------凄まじいどよめきが起こった。

(P112)

おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! (富士見ファンタジア文庫)

竹岡葉月新作。ただ女の子のどっちかを選べばいいだけの話ではない気がするラブコメ。
野球部で朝昼夕土日と野球漬けの生活を送っていたのが、事故って入院をきっかけに「俺もう野球やらなくてもよくね?」ということで図書室でだらだらしている昴介(中学2年生)
図書室にいるからといってもぼーっとするだけだったのが蛍に「この本読んでみない? 最後まで読めたら同じことしてあげるよ」と「抱擁への道程」を渡されたのが読書人生まっしぐらとなるきっかけだったのだ。
その後蛍は昴介の前から消えるが、高校入学後蛍ととても似た彗と出会う。

実在する本が色々とできて、本をあれこれ薦めてるシーンが覚えがある……というかつい最近もこういうのがあったのだ。実在する繋がりでランガナタンって実在するんだというのを知った今日。図書館戦隊ビブリオンの登場人物という認識しかなかった。

妄想描写がいきなりぽーんとはじまるんですが、まあ10代半ばの青少年だしいいんじゃねーのと思ったりした。あとコースケ☆スターダストってそれなんていうDAIGO。

1冊まるごとプロローグっていう感じなので1冊ですっきりというのはないんですがこれからあるだろう修羅場を想像するととても楽しみでならない。でもこれってちゃんと「二人」出てくるのかなあ。
ちなみにこのエントリには続きがあってそれがこれ。

なりそこない (f-Clan文庫)

休暇を山中のコテージで過ごそうと、野菜やハムを買い込んで向かってみたらそこには既に先客がいた。
コテージには5人の男、1人の赤子、1匹のシェパード。自分の足で来られずはずもなく身元の知れない赤子はここにいる誰かが誘拐したのではないか? 最早終バスも行ってしまい疑心暗鬼の中5人は一晩を過ごすことになる。個人情報は明かしたくないとなるとさしあたっての名前をつけるのみ。25才から45歳まで5歳刻みで揃っていることから、それぞれ「ニコ」「ミレイ」「サンゴ」「シオ」「ヨソジ」と自称することにした。

疑心暗鬼にはじまるけどそれなりに打ち解けるのでそんなにギスギスした関係は続かない。
女はいない1けど不思議と「華がない」と感じることはなかったな。もともと華が不要な内容ではあるんだけど、この場に女キャラがいたらヒスるとかプライバシーの保護とか面倒だもんな。同性しかいない気安さがある。というか女がいたらニコが大変だ。
やがて5人はぽろりと心情を漏らすようになる、と。

高里さんが講談社以外で小説書いてるからびっくりした。漫画原作はしているけどデビュー作からずっと講談社だもんなあ。

  1. 強いていうなら赤子が女児なのですがニコが可愛いだけで特に影響はない []

妓楼には鍵の姫が住まう −死人視の男−

事前の想像では吉原夜伽帳とGOSCIKのヴィクトリカが仲良くしてる感じだったんだけど、読み終わってみればレンタルマギカとあまつきも足し算することになった。

黒船が来航し開国して文明開化はしたものの未だ幕府による治世が続いている日本。
一時は倒幕だの攘夷だの他国からの圧力だの、国は荒れに荒れたがある時から海外諸国の態度は急に軟化した。その理由について一般人に語られることはなかったが、異国人のもとに天狗や入道が現れたとか各地で百鬼夜行を見られたという話から「この国は今化け物に守られている」というのが多く聞かれた話だった。

妙に浮世離れした風貌の「死人視」誠二と吉原で暮らす「鍵姫」紅羽の物語。
誠二はその過去と現状から生きている実感を持てず、家では「守り神」扱いでなにもしなくていいと言われ美しいまがいものが揃っている吉原を好んでいたが、深夜の妓楼で美青年を従えた高慢な少女と出会う。その後紅羽は楼主を介して誠二に文を送りつけてきた。「やることがないなら仕事をくれてやろう。わらわの下僕となって働け」と。その頃街では殺人事件が起こっていた。

殺人事件です。方向的にはしゃばけとか吉原夜伽帳とかあまつきの最初のほうを連想するといいかと思う。
「守り神」という名前で腫れ物に触るようにして扱われる2人の男女。
誠二は赤子のころ1回死んだ。子どもの死を嘆いた母は稲荷神社に祈りを捧げた。その願いを聞いたのは何だったのか、通夜の晩に誠二は灰色にくすんだ目を持って黄泉がえった。以降三好屋は狐がついているのではいわれるぐらい幸運に恵まれあっという間に大店になった。紅羽は吉原に住んでいるけど花魁ではなくて、もともと禿だったけどその生まれの特殊さから今は天井裏に一室を与えられて本に囲まれて生活している。

あとな、知ってるけどわたし「生きることに対する偏差値」低い男好きすぎだろっていう。
しんみり切ない系と生きるってなんだーっていうのと殺人事件の謎。「この謎を解くにはまだ鍵が足りぬ」みたいなことをいってて混沌の再構成かよ! と脳内でヴィクトリカが走っていった。
f-clan11月刊の中で出るけどひとつ限定。選べるとしたらどれがいい? って言われたらこれかなあ。
とても好きです。

廃王国の六使徒

呪われた町で生きている人々の話。
でもそんな健気な感じじゃなくて「人間のクズ」レベルが高い人が多くて、基本呪われた人とか魔族の人が多くて死人も多くて、ノワールである。

悪人が集まって現状を維持するために色々頑張っちゃう感じでゴッスゴスである。
世界中の呪いが集まるこの街で育ったアレシュはその美貌と父が遺した魔香水を駆使しながら愛を謳歌していた。アレシュが引き渡した死体が不良品だったと、葬儀屋が訪ねてくる。

アレシュを愛人にしたい。
そんなただれた感想からはじまりますが生きることに対する偏差値が低そうな男子が好きなんですよ。
ミランは可愛い。あほのこは超可愛い。でもP209のミランの挿絵はな、「私の氷はちょっぴりコールド!」って脳内でブルーローズがしゃべり出しておいやめろ! っておもった。いやでもこの挿絵ちゃんとクレメンテの手があってすごい。
いやもう本当にふだんはそんなに挿絵はじっくり見ないんですけど今回はなめるように挿絵を見た。
細部までの描き込まれ感がやばい。二次元への扉が開く。

今回は全体的においやめろ! っていうぐらいもえのかたまりだった。
「もえしぬと思ったら本を閉じろ」にしたがって何回か閉じて色んな衝動と戦った。だからこの本はふつうに文庫本1冊読むのより2倍ぐらい時間かけてすごく贅沢に読みましたよ! いろんなものをごっそりもっていかれた。
もうエピローグだろうとたかをくくって読んでたら甘えさせてくれてもいいんじゃないかでぽぽぽぽーん! ってなった。その後のミランの返しもなんなのかあのひとたちほんとうになんなのか! 長髪の胸ありでお願いします! そしてクレメンテの顛末に本当しぬかとおもったなんだあれは!!!

カルラとハナが可愛くて、カルラは美人なところがハナはアレシュ好きなところが好きなんだ。
サーシャは補完された! とかおもった。もしくは人体練成された!

「ああ、貴様は基本的に人間のクズだ。いいのは顔だけ、あとは女遊びしか真面目にやらん! 大体貴様は俺を助けに来るのが遅すぎるのだ。一体俺を誰だと思っている」
「僕の下僕」
「違う! 俺は兄貴、貴様の兄貴分だ! 何度言ったら分かるのだ」
「僕はひとりで生まれたし、ひとりで死ぬよ。兄も弟も必要ない。それにしても今日も下僕は元気だねえ。ついさっきまで本気で死にかけてたのに、こりないの?」

(P18)

クレメンスはこの世界にいるからボスっぽいチートキャラだけど聖☆おにいさんの世界にいっても生きていけそうな気がするねえ。

相棒とわたし (f-Clan文庫)

広い意味で学園モノです。軍隊系学校。
海上のミスティアとかも軍な学校ですが、近く感じる作品としては富士見ファンタジアの東京レイヴンズ。
あっちは現代こっちは異世界ですがあんな感じです。だって大人組かっこいい。

スノリ準軍学校では人類が生み出した災厄「核獣」対策のための各専門職を養成する学校で、核獣から加工されるエネルギー資源「核石」を生み出す・利用する・過酷な状況でも生き残る術を学ぶところだ。約500人の入学生のうち卒業できるのは200人程度であとは留年や後遺症を伴う怪我・死亡・挫折などで退学していく。

冒頭がなんだかEGコンバットを思い出す懐かしい系で、教官が「身分も血筋も家柄も関係ない! 今私の目の前にいる諸君らは等しくウジ虫である!」とか言ってて思わず「アイ、サー!」って聞こえてきた。

金髪=旧貴族=偉大とされている世界で、旧貴族でありながら黒髪のエッドは幼馴染みで親友の相棒のラッセと一緒にスノリ準学校に入学した。エッドはラッセとずっと一緒にいたいと思ってて、依存や執着にも似た感情が自分の中にあると分かってて、今は硬く封して「相棒以外の関係なんて望まない」と言っている。
男女で幼馴染み! フラグ!

いい意味で超展開というか話の転がり方がすごい。派手にバトルしてる。
瑞山さんのはもうばりばりばりばりバトってるからわたしとても好き。
もうね、2人一組なあたりが大変もえます。漢字は「燃」8割「萌」2割でお願いします。
「俺の」邪魔するなじゃなくて「俺ら」の邪魔するななんですよ。相棒なんですよ。行くぜ相棒! なんですよ。大事なことなので2回書きました。

エッドとラッセだったらエッド(女子)のほうが背が高くて、いろいろ女の子らしくないことを気にしている。こうなっていれば自分はもっと「自分の性別」を受け入れられたんだろうけど、ラッセが相棒じゃないなら嫌だみたいな。カップルじゃないし家族でもないけど一番近いふたりだよね。しかしラッセは可愛い。かわいくて格好いい子だ。

エッドとマリアの女の子の友情美味しいです! バイレのブランカとリリアナは女の子同士である以前に主従なので、これはこれで!!! あとオールバックの眼鏡は反則だと思います。

王立魔法士アカデミー 〜ウィー・バレンタインと俺サマな竜〜 (コバルト文庫 し 8-81)

ハリポタみたいな魔法学園と銀の竜騎士団みたいな「少年少女とドラゴンが出会う」物語。
冒頭から「お前が俺のマスターか」とかいってて、あれ最近こんなの見たことがあるなとおもったらあれかFate/Zeroのアニメ1話のラスト。

「王立魔法士アカデミー」に入学したウィーは上級魔法士であるドラゴン乗りになることを夢見ている。
上級魔法士になるにはまずハイクラスを卒業すること、ハイクラスに在籍し続けるためにはまず入学の日に相棒であるコンパニオン・ドラゴンと出会う必要がある。ウィーの相棒となったのは傲慢な態度が目立つルドヴィッグで、ウィーはドラゴンに振り回され転科の危機に立たされる。

ウィンガーディアム・レビオーサみたいな感じでここ映画のハーマイオニーで再生される! っていうシーンがあったり封印された闇の魔法書をめぐる事件に巻き込まれたり。1巻はシリーズ開幕! ていう感じでまだそんなにちょうおもしろいっていう感じはないんですがこのウィーが将来的には「救国の英雄」と呼ばれるまでになるんだそうです。もう2・3冊読んでみることにする。

レディ・スカーレット 令嬢の危険な恋人 (コバルト文庫)

独立統治権をもっていたころのヴェネツィアっぽい街の話。

水の都ウェルベナで総督の地位にある父を持ちアルディアは好きな絵画を見ながら育った。
炎のように赤い髪がコンプレックスで今年から自分がやる「ウェルベナの娘」役が気重だった。
今年も無事「海との婚礼」の儀式が終わったが直後父が病で急死する。間もなく葬儀が執り行われることになったが、父が政府に対して裏切り行為が発覚したといわれ調査や裁判が行われた。結果財産はすべて没収されアルディアもまた見せしめ同然の使用人へと転落する。
アルディアは父の汚名を晴らそうと宮殿に残り調査をしようとするが周囲からの悪意がアルディアを苦しめた。
そんな中1人の青年が彼女に手を差し伸べた。

外堀を埋めるとかそんな単語を思い出しました。
トリクエテルの肖像とか、運河の街を行き来する物語というのはそれだけでときめくものです。
アルディアは代々家に伝えられている「守護者の鍵」を肌身離さず身に付けており鍵の守護者として他の人にはみえない獣がついている。これの正体がもうとてもヴェネツィアですね。行くゼリオンなライオン

たとえ許されない恋だとしても (コバルト文庫 み 12-2)

アファリーン王国の副将軍《明星》1メイア。メフル王国の《獅子》リギュロン。
メイアは密使として派遣される前の休日として、リギュロンは王に殺された小姓の故郷へ行った後の寄り道としてバルバトの祝祭に立ち寄っていた。
国から遠く離れた土地で出会った軍人ふたりは敵対する国の者と知らず、お互いの素性を明かさぬまま意気投合し惹かれあう。再会を約束して別れたあとも恋を育て、約束の期日より早くふたりは再会することになる。
場所は戦場、互いに将軍の地位で。

これでだいたい本の7割以上は占めている。でもこれぐらいは本のあらすじにもあるので、ネタバレとかでもないはず。コンプレックスとか好きなものが似ているとかそういうもので惹かれあっちゃうんですよ! その辺のシーンがとても好きです。
で、また戦争のシーンが熱いんですよ。冒頭から一騎打ちなのでもうこっちが殺される。格好いい。超熱い。
「彼方黒馬のゲーフェンバウアー」とか「勇者デミトリウスが仔レオンティウス」とか「はーくぎーんのかっちゅううううう」とか読みながら脳内で大変回転していた。安全圏からしか撃てぬ腰抜けどもめ!

女は、愛する男に剣を向けた。
男は、愛する女に剣を向けた。
愛する民を守る為に。

(P6)
  1. アーシュルティティ []

咲くや此の花〜誓いの巫女と異国の花婿〜 (一迅社文庫アイリス)

大正10年。魔物から帝都を守る《青龍の巫女》の家系に生まれた櫻子は本来継ぐはずではなかった巫女の座をつぐはめになり、継承の儀式には婚約者とともに行う必要があり、櫻子の前には今3人の候補がいる。
先々代巫女の母の遺言であるイギリスから来た「魔法使い」の悠人。
姉が死ななければ、櫻子が巫女にならなければ結婚相手になっただろう帝国軍人三島。
幼馴染みの修太。

誰を選びますか? っていう乙女ゲー的な選択肢が見えた。3人いるからって別にすごい四角関係にはならないし逆ハーにもならないです。すごくゲームっぽい書きかたをすると、「個別イベント」はあっても結構戦闘シーンが多いのでそういうのにまで割くページはないのかな。
大正時代設定なんですが、結構ファンタジー設定が幅を利かせているので「大正時代を下敷きにした和風ファンタジー」でもいいぐらいだと感じました。で、すぐに婚約するわけでもなく「巫女となるには水護神社地下の勾玉に眠る神と契約すること」ということで、それまでにすったもんだーがあるわけです。

ワルプルギスの夜は出てくるしでまどマギっぽいなあと思ってたら「○○だと思った? 残念! 僕でした!」っていうあれがあったので脳内には「残念! さやかちゃんでした!」でいっぱいになってお前絶対報われないなと思った。そら読了直後の感想は「僕を選んで青龍の巫女になってよ!」になりますよ。
ところでこの最後の手紙の不吉さは異常。何このフラグ。

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