ある日、月の夜に。 ? わがままな魔女と人狼の騎士

通常の魔法士の5倍の魔力をもつ金銀の眼を持つ魔法士セレスティナと半人狼ルーファスの物語。
セレスティナが今よりずっと子供の頃にはじめて使い魔にしたのがルーファスだ。それからふたりはずっと傍に寄り添っている。
王国騎士団を率いているが、17歳になってもまるで子供のような外見を隠すために魔法でごまかしている。ある日訪れたかつての学友アストラルにまるごと魔力を奪われ、小さな炎ひとつ宿すのにも苦労する有様である。
王に許可を得、セレスは自らの魔力を取り戻す旅に出る。

セレスの傲慢な女王様ぶりと、「孤高の強者」としてそうならざるを得なかった理由がじわりじわりと語られていく過程がたまらんのよ。この契約がどこにも居場所がなかったこどもに生きる目的を与えたのだ!(ばーん!みたいな展開が非常に好きです。非常に好きです。月も太陽も手に入れたとかなーもうなー! あのへんはもうごほうびでしかない。なんだあの罵りあいに似たなにか。
主従も好きなんだけどセレスとルーファスの「お互いの大事さ」加減がもうたまらんわーたまらんわーという。

アリー/アレイスターが大変美味しい。ひとりで二度美味しい。P208・209の威力よ!

「ずっとずっと、あたしの傍にいて。一緒にいて。この先はあたしがあんたを守るから、だからあんたもあたしを守って。それが契約。あたしとあんたが交わす契約よ。……いい?」
「うん。いいよ」
少年が頷く。やはり教えた文言無視の、格式も威厳もない答え方で、でも誠実に。
「傍にいる。きみを守る。ずっと、ずっと」

(P10)