タグ「 コバルト文庫 」の記事

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還るマルドールの月 The Return of the Mardore Moon (コバルト文庫)

最近はいろんな方面で「2016年だよ!?」というようなことがあるんですが、野梨原花南の新刊がコバルトで出るというのもなかなかすごい。

没落貴族のダリアードは爵位と引き換えに元敵国の警部と結婚することになった。怪盗が犯行予告をしている宝石の警備のためだ。恋に落ちたらもうお祭り騒ぎだし情報を探すためにはいろんなところに行ってしまうぜという話。

わたしこれを読んで古い野梨原花南読者にこれどう? これどう? って言って回りました。というのもすごい雰囲気が懐かしいんですよ。これは確かにコバルトの野梨原花南だ! って思った。

「世の人があきれかえって、笑って、そしてあなたが泥まみれで死んだとしても、だとしても人がしたいように生きるというのは、人生を思うさま謳歌するというのは、とても素晴らしいことです。大切なのは、したいと思ってそれをする今であって、何も決まっていない未来ではないのです。けれど忘れないでダリアード様」
イズーデはダリアードの手を。両手で包んで強く握った。
「この手は、愛を掴んで抱き締める手です。糞で汚してはなりません」

(P57~58)

この辺がもう北でオニキスとクラスターが殴り合いしていたこととか、ポムグラとか比較的古い野梨原作品がぶわーと流れ出てきて猛烈に涙腺パンチされていた。最近火村さんのドラマやっているせいか10代の思春期女子が非常に活発です。yes10代のわたしにとって火村さんが結婚したい相手で野梨原花南作品は神だった。
恋って素敵だ!!! と10代のわたしがきらきらした目で叫ぶよ。ジオとダイヤの物語を読んだ日にはいつだってそうだったよ。
たくさんのいろいろをありがとうございます。

英国マザーグース物語 新聞広告には罠がある!? (英国マザーグース物語シリーズ) (コバルト文庫)

19世紀末ロンドン、子爵令嬢セシルは結婚まで1年の猶予をもぎ取った。
いまのセシルは性別を偽り新聞社で新米記者として働いている、の2巻。

マザーグースの見立てはそのまま、今回は新聞記事の個人向け広告欄に載せられた謎のメッセージからはじまる謎解き。ロンドンでは今「怪盗ブラックバード」の犯行と思われる宝飾品盗難事件が相次いでおり、被害総額は尋常ではないが傷害沙汰は起きていない分どこかお祭りの雰囲気が漂っている。
今回は日常系ミステリ連作短編な感じが強くて、セシルに新たな友人(押しが強くて有能そうな令嬢アメリア)とか、セシルのパートナーで絵師のジュリアンの過去が見え隠れしていた。
わたしクレアの若かりし日のころ恋の話が好きで、ここは謎解きの部分も含めて相棒の右京さんと共演者オンリーの告白劇としてありそうだなあとか思った。すごく映像的。

写楽あやかし草紙 月下のファントム (コバルト文庫)

コバルトの新人さん。大正設定。
さかのぼること120年、江戸時代の浮世絵師だった斉藤楽真(元・東洲斎写楽)は、火事に巻き込まれ死ぬところを妖の上総に救われ彼の眷属となった。今は上総の仕事(警察で仕事をしながら妖封じ)の手伝いをしながら絵を描いて画廊で暮らしている。
来栖劇場では謎の失踪が続いており、妖が絡んでいると見た上総は、とりあえず楽真を背景画家として潜入させる。来栖劇場ではハムレットをモチーフとしたオリジナル劇メルディーナ上演に向けての準備と練習が進められていた。来栖劇場はお嬢様「来栖月歌」を看板女優として動いていた。

主な登場人物は楽真と月歌と、楽真の兄貴分のうさぎの兎三郎。上総はもうちょっと出てくるんじゃないかと思っていた。劇場に潜む妖と看板女優ってすごいオペラ座の怪人っぽいなと思いました(そういう話ではない)

薔薇の純情 背徳の黒き貴公子 (コバルト文庫 ひ 5-92)

響野さんの新作。ヴァンパイアハンターの少女ふたり。
読み終わって気がついたんだけどわたしダブルヒロインってあんまり読んでないよなっておもった。
わたしのなかで検索してみたけどこのふたり(ジェーンとアニー)に近いのってちょーシリーズのダイヤとヴィアじゃねっておもった。

ジェーン(ユージェニア)とアニー(アンナ・マリア)は教皇庁所属のヴァンパイアハンターで、能力に恵まれた二人に回ってくる依頼は他のハンターには少々手におえないものと相場が決まっている。
此度の依頼はドルエイク伯レイエールの妹ナターリアがヴァンパイアに狙われているというところからはじまる。
ジェーンはひげ面の聖十二騎士マニアでアニーはイケメン好きの恋多き女という、毒も吐き会う女の友情がなかなかよいものです。ジェーンがたぶんかなり真祖に近いところにいるヴァンパイアであり、ヴァンパイアハンターなんだろうなあっておもう。とてもBBB。

秘密のお茶会のシーンがあって、「まるであの小説みたいね!」みたいなシーンがあって、課題図書……! っておもった。「皆知ってるのに私だけ仲間はずれ」感がなんとも。女の子がきゃっきゃうふふしているのはよい。耽美ーなのががよいと思います。153ページとかを見ながらこれだから銀髪ヒロインはよいのだと思った。

伏字上等な罵倒があって、コバルトのコード的にメンヘラはアウトなのかなと思った。
カタカナ4文字で最後がラで終わるのってメンヘラしか思いつかなかった。

わたしの嫌いなお兄様 (コバルト文庫)

「良妻賢母」が常識の大正時代、良家の令嬢であれば10歳そこそこで婚約、20歳を待たず嫁いでいくのは珍しいことではない。17歳になる橋本有栖も例にもれず結婚を決められてしまった。相手は5つ上の従兄の春日要だ。彼は春日家の嫡男であり頭も切れるが実に放蕩に、いつ勘当されてもおかしくない程度に自由に育った。
有栖は子どものときから彼に散々な目を合わせられつつも走りよっていくのをやめなかった。
だけど結婚といわれては話が別である。おてんば娘有栖は春日家に乗り込んでいった。

ちょっとミステリちょっとラブコメ大正ロマンという。
おてんばなお嬢様と軽口をたたいて従妹をからかうのが何より好きなイケメンという、そういう話です。
異能・異種族はなし。女学生に人気の少女小説や今をときめく帝劇でのオペラとか。

英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け! (コバルト文庫)

19世紀ロンドン、アッシュフォード子爵家令嬢セシルは当主で兄を言いくるめて男装して記者として働いていた。
結婚が決まっていて、子爵家の未来のために父の喪があける1年後に式を挙げる予定だ。
兄へ出した条件というのは「父の喪があけるまでは婚約者の話をしないこと・婚約者との席を設けないこと・新聞社に連れて行くこと」で、あれよあれよというまにセシルはアクロイド社にもぐりこんだ。

マザーグースの見立てで男装記者で、セシルの全部を知った上で黙っている婚約者とか出てきます
短編集っぽい感じになっていて、マザーグースの唄・婚約が絡んだ謎・父の死とかなんかそんな感じのものを解決しつつ男装記者セシルと絵師ジュリアンは絆を深めていきます。
ビブリア古書堂の事件手帖とか“文学少女”と恋する挿話集とかと同じカテゴリかなあと思います。

セシルは上にお兄さんが2人いるのですがわたしはこの2番目の兄が好きです。ただのアホ。だがそれがいい。
GOSICKを思い出すシーンがあったり1してミステリ風でもあります。

  1. あれを遡れば本格ミステリに行き当たる []

ショコラの錬金術師 2 ミルク色の秘薬 (ショコラの錬金術師シリーズ) (コバルト文庫)

「はじめまして。マリオン・ビュッセルといいます。歳は十八。趣味と特技は妹です」

(P35)

身代わり伯爵のフレッドをもうちょっとこじらせた感じのお兄ちゃん登場。
フレッドは男とはいえ一卵性の双子で基本男だけど、こっちは男かつnot双子(ただし年子)で妹スキーのあまり妹の外見をコピーしている。しかも偽乳戦隊である。

前巻に引き続きあっさりしている。恋心を自覚してみたり昔のルーウェンとクラウスを知る人が出てきたり、クラウスから腹黒さがちらちらしていたり、相変わらずイルゼとアニカのゆりゆりした女の友情が超可愛かったりするわけですが、そのラストでいいのか。次巻に続くのかと思ったらあっ終わった! っていう。イルゼとアニカは可愛い。

王立魔法士アカデミー 〜ウィー・バレンタインと俺サマな竜〜 (コバルト文庫 し 8-81)

ハリポタみたいな魔法学園と銀の竜騎士団みたいな「少年少女とドラゴンが出会う」物語。
冒頭から「お前が俺のマスターか」とかいってて、あれ最近こんなの見たことがあるなとおもったらあれかFate/Zeroのアニメ1話のラスト。

「王立魔法士アカデミー」に入学したウィーは上級魔法士であるドラゴン乗りになることを夢見ている。
上級魔法士になるにはまずハイクラスを卒業すること、ハイクラスに在籍し続けるためにはまず入学の日に相棒であるコンパニオン・ドラゴンと出会う必要がある。ウィーの相棒となったのは傲慢な態度が目立つルドヴィッグで、ウィーはドラゴンに振り回され転科の危機に立たされる。

ウィンガーディアム・レビオーサみたいな感じでここ映画のハーマイオニーで再生される! っていうシーンがあったり封印された闇の魔法書をめぐる事件に巻き込まれたり。1巻はシリーズ開幕! ていう感じでまだそんなにちょうおもしろいっていう感じはないんですがこのウィーが将来的には「救国の英雄」と呼ばれるまでになるんだそうです。もう2・3冊読んでみることにする。

レディ・スカーレット 令嬢の危険な恋人 (コバルト文庫)

独立統治権をもっていたころのヴェネツィアっぽい街の話。

水の都ウェルベナで総督の地位にある父を持ちアルディアは好きな絵画を見ながら育った。
炎のように赤い髪がコンプレックスで今年から自分がやる「ウェルベナの娘」役が気重だった。
今年も無事「海との婚礼」の儀式が終わったが直後父が病で急死する。間もなく葬儀が執り行われることになったが、父が政府に対して裏切り行為が発覚したといわれ調査や裁判が行われた。結果財産はすべて没収されアルディアもまた見せしめ同然の使用人へと転落する。
アルディアは父の汚名を晴らそうと宮殿に残り調査をしようとするが周囲からの悪意がアルディアを苦しめた。
そんな中1人の青年が彼女に手を差し伸べた。

外堀を埋めるとかそんな単語を思い出しました。
トリクエテルの肖像とか、運河の街を行き来する物語というのはそれだけでときめくものです。
アルディアは代々家に伝えられている「守護者の鍵」を肌身離さず身に付けており鍵の守護者として他の人にはみえない獣がついている。これの正体がもうとてもヴェネツィアですね。行くゼリオンなライオン

たとえ許されない恋だとしても (コバルト文庫 み 12-2)

アファリーン王国の副将軍《明星》1メイア。メフル王国の《獅子》リギュロン。
メイアは密使として派遣される前の休日として、リギュロンは王に殺された小姓の故郷へ行った後の寄り道としてバルバトの祝祭に立ち寄っていた。
国から遠く離れた土地で出会った軍人ふたりは敵対する国の者と知らず、お互いの素性を明かさぬまま意気投合し惹かれあう。再会を約束して別れたあとも恋を育て、約束の期日より早くふたりは再会することになる。
場所は戦場、互いに将軍の地位で。

これでだいたい本の7割以上は占めている。でもこれぐらいは本のあらすじにもあるので、ネタバレとかでもないはず。コンプレックスとか好きなものが似ているとかそういうもので惹かれあっちゃうんですよ! その辺のシーンがとても好きです。
で、また戦争のシーンが熱いんですよ。冒頭から一騎打ちなのでもうこっちが殺される。格好いい。超熱い。
「彼方黒馬のゲーフェンバウアー」とか「勇者デミトリウスが仔レオンティウス」とか「はーくぎーんのかっちゅううううう」とか読みながら脳内で大変回転していた。安全圏からしか撃てぬ腰抜けどもめ!

女は、愛する男に剣を向けた。
男は、愛する女に剣を向けた。
愛する民を守る為に。

(P6)
  1. アーシュルティティ []
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