学園大奥 (実業之日本社文庫)

和美は小学校5年生のときに「あたし共学は向いてない」と思った。
夢はマリア像の前で素敵なお姉さまに「タイが曲がっていてよ」と直されたり可愛がられることだ。中学受験用の予備校に通ってとにかく勉強した。オールAを撮り続け、通える範囲に唯一あった「中の丸学園」を受験し無事合格した。そして驚愕の事実が入学式のときに明かされることになる。
まず限りなく女子が多いだけで女子校ではなかった。マリア像の代わりに観音様が、十字架の代わりに曼荼羅が掲げられていた。あたしはマリみてを夢見て入学した先は釈迦みてだった。お姉さまに可愛がられたかったのにことあるごとに「外部進学の方はごめんなさいね」と浮いた存在でしかなかった。
それからもうひとつ、この学園の生徒会は「薔薇様とつぼみ」ではなく「上様と大奥」でできていた。

少女向け学園ラノベあるあるを踏襲しつつ、幼馴染みがイケメンだったり学園1の美女に見初められたりとかそういう王道展開をひっくり返していく感じで、雰囲気は懐かしい。丘の家のミッキー旧装版で育ったような世代の人1が読んだらドツボなんじゃないだろうか。

マリみてパロが楽しい2。「ロサキネンシスアンブゥトンプティスールのそのまたプティスール」が死ぬほどつぼにはまった。わたしは先代白薔薇様が好きだわー。

  1. わたしは新装版世代です []
  2. 初出一覧のところに謝辞も載っている []