アルカトラズの聖夜—妄想少女と無口な少佐 (コバルト文庫)

コバルトの新人さん。普通の高校が舞台のラブコメ寄り? サブタイトルにある少佐とか帯にある軍師は通称です。某フルメタのように普通の高校にやってきた軍関係の人ではありません。

宮古が通う海邦大付属高校は広い湾内に浮かぶ小島の一つのすべてが敷地。学校までの交通手段は船オンリー。島には学校以外遊べるようなところはなく、学校がやっている時間帯に船に乗るには早退届が必要。授業をサボって遊びに行きたい生徒にとっては脱出不可能の監獄のようなもの。そのため歴代の生徒からはこの島は正式名称である転島ではなくアルカトラズと呼ばれていた。

全体の感想としては普通。
こういう立地条件が特殊な高校っていいよねって思った。でも同時にそれなんていう某大学?っていう冷静なツッコミが脳内でした。
あとがきには「お約束満載の楽しい学園もの」とあって、確かに話の展開はお約束だけどキャラ設定のほうはそうでも……?と思った。あと宮古の「きれいなもの」を観察しまくってる辺りは「笑うかのこ様」のかのこっぽい感じだ。
表題作の「妄想少女と無口の少佐」(←こっちのほうが好きだ。イヴの夜に船に乗り損ねて学校に取り残される)と「妄想少女と美しき来訪者」(←こっちのほうが長い。宝探し。)の2編入り。

前述のN大学ですが、県内のとある大学のことです。さすがに交通機関が船だけっていうことはありませんがまじで島。卒業生たる友人曰く「アパートの家賃安いけど遊ぶところない。他におらんけん学内カップルめっちゃ多い。どんな不細工でも彼女できる」

絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)

あらすじを見てたら何か「お前これ読めよ」って言われた気がしたので……
恋愛小説です。あらすじだけ見ると大学生女子の話なんですが、前半は彼氏視点後半は彼女視点の話です。
私はそれを知らずに読んだので、あれ大学生男子主人公?……(あらすじ見返してる)やっぱり女子主人公っぽいけど……(とりあえず読み進める)あ時間巻き戻った女子視点きたとか微妙に混乱を。

大野(彼氏)と彼女(名前出てきてない気がする)より木戸さんのほうが好きだなあ。

「木戸さん」と、僕は問うた。坂本にも聞こえるよう、大きな声を出した。
「義理とか人情とかも大切ですけど、目の前の食い物は最優先事項ですよね?」
「何言ってんだよ」と、木戸さんは言った。
「そんなのは当たり前だろう」

(P59)

ここらへんとか、男3人で鍋してるところが好きなのだ。
とか思ってたらいきなり時間が巻き戻って女子パートになるからびびった。
木戸さんは偉そうにふんぞり返ってて、それが嫌味でなく当たり前なところが好きだと思うー。他の作品にも出ているらしいので要チェック。

オンライン小説@水晶庭園さん
ブラウザのお気に入りから発掘。(自分で見つけた覚えがない×巡回範囲でオンライン小説に手を出しているのは3つ4つぐらいなので手当たり次第にあたってみると、影響元はなまくらどもの記録さんかなと)
現代で高校生でラブコメです。堅物彼氏×ぽややんかつ最強彼女です。
雛がとても可愛いですとても可愛いです。強調したいことなので2回言いました。
1話完結ですが次が読みたい欲が止まらなくなるので大変です(一昨日3話まで読んで頑張って止めました。そしてさっき残り17話読みました。一気でした。
夏祭りと冬の休日と音楽室が素晴らしいですねころがりました。もだもだしました。
ごちそうさまですごちそうさまです。

回帰祭 (ハヤカワ文庫 JA コ 4-1)

地球からの避難船ダナルーが不時着して300年。宇宙船をそのまま都市化して閉鎖された世界で人々は暮らしている。人口受胎が当たり前だが男女の誕生比は9:1といういびつなもの。16歳で結婚相手ができない(というか女子に指名されない)男子は宇宙船に乗せられて地球に回帰し、残った1:1の男女が誕生センターから割り当てられる10人の子どもを育て、ダナルーの運営に携わる。

地球に回帰したいヒマリと、ヒマリに一目惚れしたアツ、ダナルーの謎を探るライカとウナギの話。
男2女1の組み合わせが必殺お捜し人をちょっと思い出したー。
under16な人たちのパートにはとてもときめきますが、大人パートは超乾いてる。寿命が50年とか恋は結婚してから夫以外の人とするもの的なあれとか、子育てといっても機械的だなあとか。

ウナギ教授が好きですウナギ。全体的にウナギウナギした話ですが。あと「え。ここで終わるんだ?」って思った。
何回かイナフをふつうにイルダーナフて読んだ。そんな卵王子の呪い。

ファミリーポートレイト

これは凄く好きだー。
桜庭作品のあれこれの匂いがする(読書日記込みで)。冒頭は推定少女(逃げようぜ巣篭カナ!)と私の男(淳悟と花)ぽいなあと思った。帯とか宣伝とか本文とかあっちこっちにある

あなたとは、この世の果てまで一緒よ。呪いのように。親子、だもの。

これはマコのセリフだと思ったらコマコだったんだなあ。

「犬の心」で語る駒子はシェーラザードみたいだ。(だからボクシング・マイ・ブラザーの ラストで首を狩られたーとおもった。

原初の記憶とボクシング・ユア・ドーターと文字に眠ると愛の、発見?が特にとても好きー。
第1部のコマコと各所での本の出会い、第2部の駒子と小説(特に語るところ)が好きで自分の読書体験を思い返す。
長い物語でとても読み甲斐がありました。ごちそうさまでした。

「自分がものを表現するのは、世間から賞賛されたいわけでも、なにが欲しいわけでもなくて、たったひとりで孤独に震えてる、誰かの、夜にやさしく滑り込みたいからだ、と言っていたやつがいた。ぼくはそれ、わかんないけど、わかるなぁと思ってね。だからいま、君が、ぼくのつくった本を無心に読んでる横顔を見てちょっとだけ幸せな気持ちになれたよ。それを書いた作家はとっくに野垂れ死んでるけど、ま、死にがいもあったってもんだ」

(P286)

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)
最初は葉月さんが京都が舞台なのでって言ってて、これは読まないといけない気がする!と思ってたら読んだ人がざくざく出てきて、しかも基本皆褒めてるので早く読まないと!(期待値が上がりすぎるとしょんぼりする気がする!)→読む。

面白かったー。
京都を襲った大地震をきっかけに口を開けた迷宮。
自衛隊に掃討させようとするも有効ではなく、一般の志願者に探索と討伐をゆだねた。怪物を倒し死体の一部を持ち帰り換金する。死と隣り合わせの一攫千金。
帯に「ここでは人間が簡単に死ぬらしい」ってあったけど本当に軽快に人が死ぬ。ごろごろしてる。
あまりに軽快に死ぬので期間限定ダイスバトルPBC(死亡あり)っぽいよなと思ってたら(KYダイスwwwって言ってるところがよぎったのだ)Amazonレビューによれば本当にダイスで死亡者を決めてたとか? すげー。

他視点なので、こいつが誰でっていう脳内認識が忙しい。ここまでくるくる変わるのはほとんど読まないので面白い。日記パートが好きだ。ちゃんと中巻下巻が出ますように。

レギ伯爵の末娘—よかったり悪かったりする魔女 (コバルト文庫)

久しく読んでないのに紹介とか紹介とかで名前をあげることが多かったせいか再読の波がざばーんとやってきた。

前のときはマダーとアザーとか、ポムグラとピーターとか、ポムグラとカイとか、そんな組み合わせでしか読んでなかったのですが、今回はポムグラとマダーの組み合わせが前より相当好きな感じがした。
ていうか思ったよりポムグラがよく泣いている。こんなに泣いてたっけって感じだ。ポムグラは格好いい。

三連休ですね! 行楽シーズンですね! 旅立ってますか家でごろりごろりしますか。
私は来週京都に行ってきます。平日ですが超観光シーズンの京都なので人ごみにもまれてきます。
旅エッセイ特集です。
書いてから思ったことですが、以下に挙げた本は食べ物の描写ががっつりあるのばっかりですね(とるこ日記のぞく)いかに食に傾いているかがよく分かります。


チェンマイ アパート日記。

チェンマイ アパート日記。/k.m.p(ムラマツエリコ・なかがわみどり)
タイ北部のチェンマイでアパートを借りて1ヶ月暮らしてみる。
主にイラストと漫画と写真と、女の子っぽい丸い手書き文字。
アパートで暮らしていくための買い物とか、屋台でごはんを食べる(←凄くおいしそう)とか、チェンマイでの暮らしのあれこれ。
コームローイの写真が写真サイズ小さいのに空いっぱいに広がってて綺麗でとても好き。
k.m.pの旅行本ではエジプト・ベトナムの辺りは怒りだったり愚痴的なものだったりするのが多いのですがこれはそういうのがほとんどないです(あるにはあります。
ページ数の割にいい値段してて、半端にでかいので置き場所に困るのですが文庫落ちはしないだろうし、図書館にもないし、万が一文庫になることがあってもこのレイアウトでっていうことはないと思うので買いました……。


とるこ日記—“ダメ人間”作家トリオの脱力旅行記

とるこ日記/定金伸治・乙一・松原真琴

k.m.pが異文化コミュニケーションを超楽しむ旅だとすればとるこ日記はその真逆。

この本には、これからトルコ旅行へ行こうと思われている方に役立つような耳より情報や、海外旅行をして見識を広めようかなと思われている方々の参考になるような文章は、まったく何も一切合切書いておりません。むしろこれ以降の文章は、引きこもりが海外に連れて行かれたらどんなふうに引きこもりが悪化するのかという興味深い実験の結果発表なのです。

(P27)

もともとWEB連載だったものを本にしたもの。飛んでもらえるとポップアップでツッコミがあったりして変則的です。それを本にしているので読み方も変則的な感じになります。
メインの日記本文(左ページ)を定金さんが書き、他の2人は注釈(右ページ)で突っ込み入れ。読むところがあっちこっちに飛ぶので、最初はとても読みにくいです。慣れても結構読みにくいです。
お互いの罵りあいっぷりが妙にツボにはまる。
一番ツボにはまったのはカッパドキアの章。


旅ボン~イタリア編~

旅ボン イタリア編/ボンボヤージュ
「引きこもり作家、海外旅行へ行く」その2。イタリア10日間の旅。
引きこもりなので担当さん(同行者)に言われてパスポートを取りに行ったりスーツケースを買いに行ったりするところから始まる。観光先は「イタリアの観光地といえば」誰もが知ってるような有名どころがほとんどです。王道っぽい。
基本的に漫画です。「ガイドブックになったりはしないけど笑える系」旅行記。
超描き込まれてます。


フランス日記—日々ごはん特別編
フランス日記/高山なおみ
料理家高山さんが新しい本(じゃがいも料理)のためフランスへ旅立つ。
日々ごはんは元々高山さんのWEB日記を書籍化しているシリーズなので、普通に日記です。料理家ゆえか、出てくる食べ物が基本どれも美味しそうでよだれがでます。

桜庭一樹 ~物語る少女と野獣~

Q61 これまでの全作品で、特に愛着のあるキャラクターはいますか?
●海野藻屑=腐野花 同じ人なので。

っていってるのがずっと謎で(???ってなってた)小説新潮の豊島ミホのエッセイを見てしょんぼりした後、その隣にあった小説現代をぺらぺらしてみた。
桜庭さんのロングインタビューが載ってたので読んでみる。ちょうど↑の疑問に答えてくれる文があったのでそこだけ5回ぐらい読んだ。砂糖菓子でお父さんに殺されずに藻屑が育ってたらどうなるかっていうのを書いてみたのが「私の男」の花らしいです。で、「私の男」の後の花の話がファミリーポートレイトだとかなんとか。同じ人がこういう世界で育っていたらどうなるかーっていう話だと思うんだけどもおおおうっておもった。ちょっとあのインタビューは来月になったら図書館へいってコピーしてくる……

今朝のブックレビューちゃんと見れた。他の2人の話はなんかキリっとしてる感じだったんだけど桜庭さんのは面白かった。川上弘美さんとの対談の話を今日2回見てしまったので(テレビで1回、↑のエッセイで1回)原文を当たらねば……と思う次第。

明日22日発売の「小説新潮」12月号、特集「作家になる道 Part2」に「休業の理由」というエッセイを書かせていただきました。
(略)
このブログでは一切触れてきませんでしたが、来年の一定期間、休業を予定しております。しかし休業までまだ刊行予定が単行本4、文庫2、確実にありますしその準備が終わるまで「休業」とはいかないので今ここで詳細を語ることは控えさせていただきます。というか、スムーズに休みを終えれば読み手側への影響は一切出ません。来年は今年と同じペースで本が出ます。

しょんぼりしつつ、その6冊が何かを探してみる。

その確実な文庫の2冊(発行年月日はAmazon参考
ブルースノウ・ワルツ(2004年5月)
陽の子雨の子(2006年3月)
夜の朝顔(2006年4月)
エバーグリーン(2006年7月)
この次は神田川デイズ(2007年5月)なのでこの辺だと……

単行本4になりそうな、連載作品を探してみる。(ブログをがさーっと遡ってみる。
純情ポルノシリーズ(小説新潮でやってたやつ。書き下ろし&修正を加えた上で来年本になるらしい。)
廃墟の女王(週刊アスキーで連載してたやつ。全20回。今年10月頭に終了)

「Feel Love」に連載しているらしい幼馴染みシリーズ
あとあっちこっちのアンソロジーに載ってたやつを1冊にまとめるとか……(ももいろのおはかがぎゃふんだったなあ
リテイク・シックスティーン(星星峡連載中)はまだかな。

とりあえず明日(月曜日になるかも?)小説新潮を見てくる。

<追記>
「豊島ミホ 休業」で検索してこられる方が大変多いので告知板としま(豊島ミホ公式)の休業関連エントリのリンクを置いておきます。
器(1/14)-告知板としま
書き置き(11/21)

PAGE TOP