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ヴァンピーア—オルデンベルク探偵事務所録 (C・NOVELSファンタジア)

今回の事件はミュンヘンの先の田舎町で起きた遺体消失事件。
主人公は前巻より変わってオルデンベルク探偵事務所所員のフェルディナント・クロイツェル(フェル)と依頼人の一人娘イザベル・アイゼンシュタット。
依頼人ディーデリヒ・アイゼンシュタットはフェルのよく知った人ということで初の遠方出張をすることとなる。

おてんばなご令嬢は可愛いです。登場人物紹介のページからなんか胡散臭そうな笑顔のリヒャルトがとても気になってたのですが、実際出てきたら出てきたで、このタイプのキャラは好きだわーとおもうなど。

ラストすげええとおもった。予想外でした。

どれほど共に生きたいと望んでも祈りは届かず、大切な者の命は、いつも無慈悲に摘み取られてしまう。その都度、心を痛め、消えない傷となって積み重なるのだ。
そして私の体に流れる血を人は恐れる。愛するものの口からあの忌まわしい言葉が漏れたら、きっと私は平静ではいられないだろう。
——"化け物"
どうして。
ただそばにいたいだけなのに。

(P161)
    ひかりをすくう (光文社文庫)

    帯とかあらすじとかか全力で「ぼく癒し系の本です」って言っててそんなんに騙されないんだからなとか思いながら読んで、読み終わった後妙にホッとしている自分に気付く。術中なのかー

    パニック障害を患っている智子は仕事を辞めることにした。上司に引きとめられたし「智子の名前で仕事が取れている」ともいわれたけど、とりあえず今は仕事はしない、仕事に戻ることがあってもグラフィックデザインの仕事にはもう戻らないことにした。
    同居人で主夫の哲ちゃんと一緒に都心を離れ郊外で暮らすことになり、不動産屋でマンションを探しているうちに築20年を超える安い1戸建てを借りることにした。近所の不登校の子どもに英語を教えたりして日々の暮らしをしていく。

    パニック障害発動!なシーンが無駄にリアルだった。色々思い出してしまった。指の先が冷たくなる。

    橋本紡作品の男の人は料理関係の仕事についているわけでもないのに当たり前のごとく料理の主導権を握っている(しかも上手い美味い)。恋人同士でも不倫の関係でもまるでがっついてなかったりして色気の匂いがしない。草食系ってこんな感じなのかと思う。
    これに当てはまりそうなのは既読の中では「月光スイッチ」「9つの、物語」「ひかりをすくう」だけど、私の中ではもうそういうイメージで固定されてる。

    けれど迫ってくる納期と、評価にたいする恐れと、評価を得たいという欲望に急かされ、わたしは仕事を続けた。なにより、もうひとりの自分を見つめるのが怖かった。彼女の存在を認めたくなかったのだ。そんな焦りがますます自分を追い詰めていくことにさえ思い至らぬまま、土日も会社に泊まりこみ、朝夜関係なしに働き続けた。
    破滅に向かう列車に、わたしは乗っていたのだ。そのことを知りつつ、知らない振りをした。なぜなら列車に乗っていたかったから。どこか違う場所へ、光に満ちた世界へ列車なのだと信じたかったから。

    (P108~109)

    「ロールキャベツ。わりと手が込んでるんだぜ。肉とスパイスを混ぜて、ぎゅっぎゅっと捏ねるんだ。粘りが出てくるまで、しっかり捏ねるのがコツかな。それから飴色になるまで炒めたタマネギを入れるわけ。この順番も大切でさ、捏ねる前にタマネギを入れちゃ駄目なんだ。スパイスを三種類きかせてあるから、普通とは違う味がすると思う」

    (P174)

チクタク食卓〈上〉

毎日の食卓を写真(時々ピンボケ)や絵で。あと時々レシピ付だったり文字はフォントだったりガチで手書きだったり。
食卓拝見は面白いんですが、時々写真もっと大きくならんかなあって思いました。(クリックして拡大的な
この本は基本写真メインなんですが、日々ごはん(エッセイ)と合本したものがでたら最強だなあと思いました。ちなみにこの本と対応する日々ごはんは6・7・フランス日記です。

SH@PPLE(6)  —しゃっぷる— (富士見ファンタジア文庫)

蝶間林典子のための1冊。
舞姫(のふりをした雪国)のところに胡蝶の宮がお願いがあるとやってきた。
「婚約解消のため恋人(雪国)がいると言った、先方は『恋人がいるというなら会わせろ』と言っている。本当なら雪国に頼みたいが色々障害も多いので事情を知っている舞姫に男装して一緒に来てほしい」

720度回転してみたって感じですね。ぐるっと回りまわって元通り。
胡蝶の宮とデートする舞姫外見雪国(実態は中身も外見も雪国)を見て蜜が自分が好きなのはどっちか悩んでいるところにとてもきゅんとしたよ。

舞姫が男前過ぎる。

雪国(のふりをした舞姫)とSECがりぼんと待ち合わせをしていた図書館併設の喫茶店の名前が「おるたんしあ」でとてもふいた。多分近所にカフェ・ヴィオレットがあるに違いない。

不穏な空気を残しつつ終わってページをめくればあとがき……のはずがはじまる「新異装戦士SH@PPLE」。
あとがきという文字を3回ぐらい見た。

ヤンキー巫女逢桜伝 (B’s‐LOG文庫)

ヤンキーで巫女ってなんだと気になって買ってみたらなんだか普通に面白かったです。よいコメディ。
帯のあおりがはぐれ巫女&チェリーな神様が大暴走!で下ネタ方向に想像した。

穂倉梓は生まれ持っての不幸体質で、一家まるごと不幸に見舞われているうちになしくずしにグレていた。
両親が交通事故で亡くなり母方の祖母である穂倉神社宮司の梅に引き取られる。
梓は見た目はヤンキーのまま巫女となり、転校初日に同じクラス染井良信(ヨシノ)に声をかけられる。
梓は喧嘩を売られるものだと思ったがヨシノはその場で土下座をした。
「僕の父親を一緒に探してください」「僕(梓の)神社の神様なんです」
ヨシノは自分が半人半神であり、今は父の代役で神様を勤めているが本当になりたいものは科学者だ。
迷信の極地みたいな立場は父に突き返してやりたい、そのために穂倉神社の巫女の梓に協力してほしいと(梓の不幸体質の理由を述べながら脅し半分に)頼み込んだ。

ヨシノ父を探すために村の伝承を辿ったり7年に一度の奉納舞のことについて調べたり、話の題材的には民俗学方向でそれだけで私としては大変おいしくいただけるのですが、1人称の地の文と笑いのセンスがとてもツボでした。やおろず2のマレビト周辺を思い出します。
神様と巫女の組み合わせですが、神様的万能な能力とか禊とかが武器ではなく「化学と釘バットは正義。トイレのスッポンは恐ろしい拷問道具」です。コメディな部分とシリアスな部分のバランスが絶妙。
ちなみに恋愛方面はないです。男女ですが「俺の背中はお前に預けるぜ!」方向です。

というか私はヒサギが好きすぎます。ルー語使用のとても軽い感じの神さまです。とても笑える。

鞄にはる赤いテープは「喧嘩買います」としるしだということをぐぐって初めて知りました。

リンゴの丘のベッツィー

1917年にアメリカで出版されて戦後日本でも出版された本の新装版で、1999年版の翻訳らしい。
児童書です。

10歳のベッツィー(エリザベス・アン)は赤ちゃんのころに両親を亡くし、父方のおばであるハリエット大おばさんのところで暮らしていた。ハリエット大おばのところには父のいとこのフランシスおばさんも住んでいて、ベッツィーは過保護に育てられていた。

そんななかハリエットが病気になり転地療養をすることになった。フランシスはそちらへ同行することに、病気がうつらないようにベッツィーはよその親戚の家に預けられることになった。同じ町のラスロップ家に預けられるはずが、ハリエットの夫側の親戚バーモント州で農場をしているパットニー家(ベッツィーを引き取る際ハリエットがこの家にだけは渡してはなるものかと嫌っていた)に行くことに。

パットニー家での生活や学校で見るものすること聞くこと、食事の仕方も勉強の仕方もほとんどが初めてのことで、怖がっていたひ弱なベッツィーがたくましく成長していくすがたが描かれていた。すごくよかった。

ベッツィーは、鍋つかみを持って、ストーブに近づきました。心臓がどっくんどっくん打っています。これまで、熱いものを持てといわれたことなど、一度もありません。助けをもとめるように大おばさんのほうを見て見ましたが、大おばさんは、テーブルの上でなにかやっているらしく、こちらに背をむけて立っています。しかたがないので注意しながら、そうっと鍋の柄をにぎると、ゆっくりゆっくりストーブの奥のほうへずらしていきました。
やったっ……できた!

(P123)

告白

すごい本。少女よりはこっちが好きだな。後味はすんごく悪いけどそれを求めて読むのです。
人は白い本だけで生きてちゃ駄目だ。

悪意とか歪んだものとかよかれとおもって……とかが最悪のタイミングで交差している。
それはあーあーあーとかやっちゃだめだーとかいいながら読んでた(主に2章で)。
ちなみにわたしのなかではウェルテルは章の最後で殺されるかと思ってたのになんだ生きてるのか……とおもったなど。自分大好き陶酔系の教師ははじかれるとおもうんだ。

コールドハンド 電脳幽戯 (講談社X文庫—ホワイトハート)

鷺浦は元同僚三好の葬式に参列していた。自殺だという。
しかし鷺浦はいま関わっている殺人ゲーム「Foolish Children」でマスター・メイザースの死亡と、本編で三善の名前を発見する。三善は自殺ではなくゲームの結果屍鬼に殺された。
鷺浦と緋真は事件を調べ始める。

三谷のマンション捜索時がウヒョー(゚∀゚)となった。
一ページがあれあそぼうで埋め尽くされるのももうそんなに珍しくないけどああいうのは好きだ。

レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士 (B’s‐LOG文庫)

人間と生きて動く人形の恋の話2巻。
2巻といっても同じ世界観の別の恋の話なのでこれ単品でも読めます。前巻とのリンクもあります。
廃墟とか主従とか鳥篭はロマン。

15年間円環都市の館から出ずに従者のヴィリと図書館の本とともに過ごすクリステルのもとに、墓守を自称するルカがやってきた。彼が告げたのは30年前に円環都市は滅びて今は廃園都市と呼ばれていることと、ヴィリは人形であること、ヴィリを作った人形師が死期を迎えたためヴィリの破壊を依頼されたこと。
クリステルは滅びの鍵によって壊れかけているヴィリを直せる人を探して水葬都市へ向かう

倒れる→ベッドで目が覚めるののち、「ボタンが掛け違えている! しかしクリステル様の前でボタンを外したり背を向けたりできない! どうすればいいんだ!」とかやってるところにまずきゅんとしました。

コルテーゼの屋敷でのクリステルとヴィリの扱いにファミリーポートレイトを思い出す。

<隠遁者>というのは、十八世紀から十九世紀にかけて、イギリスの若い貴族のあいだで流行したものなんだそうだ。ママとふたりで面接に赴いたとき、主がそう話していた。
そのころ古典的な理想郷を夢見て、自分の庭をちょっとばかり古風な庭園に造りかえる貴族が増えた。庭園を完成させるためには、昔風の<隠遁者>が必要だった。人生の儚さや富のむなしさを瞑想する苦行者たちこそが、風景を完成させるんだそうだ。
だけど本物の隠遁者なんてなかなかみつからない。だから貴族たちは、食い詰めた労働者や、奇人や、詩人を雇っては自分の庭園をうろうろさせたらしい。

ファミリーポートレイト 桜庭一樹 (P214)

この辺。
コルテーゼの屋敷のターンは全体的にときめきの塊。

アーセルは苦労人。(だがそれがいい!

あとがきのネタにもなっていたオートミール、わたしは食べたことないのですが(そしてやっぱり海外児童文学の象徴)脳内検索では大体においてお母さんではなくおばさんが作るもののようです。
だいたい10歳ぐらいの金髪の癖っ毛の女の子が出てきて
「嫌よ! ○○おばさまの作るオートミールは美味しくないわ!」とか言いよるのです。
おまえは どっから はいってきた (゚д゚)

f植物園の巣穴

幻想度が高い。読んでるとぼうっとする。現実と幻想の境界がよく分からない本だった。
○章とか区切りがないのでずっとどっかに連れて行かれてる気分だった。
ぺらぺらしてたときは家守っぽいなあと思ってたけどちょっと違う。
沼地っぽいというのをよく聞くので沼地を読んだらまた挑戦したい。

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