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文芸あねもねが初出だった「私にふさわしいホテル」がついに1冊におさまる。文芸あねもねは今度豪華声優陣をむかえたチャリティー朗読企画が控えているそうで、文豪コールが朗読されるのが大変楽しみです。
中島加代子、PN相田大樹は実用書メインの出版社の文学賞で無事デビューが決まった……はずなのだが未だに本も出ず鳴かず飛ばずである。山の上ホテルに年1回泊まり作家感を味わうこと数度、上の階にベテラン作家東十条宗典が泊まっていることを知る。
加代子は機会には恵まれなかったけどなんせ語り部の才能がある。作家になるべき人材なのだ。
コメディな部分もあるんだけど、時々加代子の内面の深淵を覗くようなシーンがあっていい感じにどろっとしている。私の中で大和田浪江は某シャチョーにみえてくる。作中は作家が実名で登場したりもするんですが、朝井リョウ氏がツボにはまった。
「俺の処女作のアマゾンレビュー読んだことあんのか!?」
「え……」
「さんざんぶっ叩かれたわ! いろんな人間に面と向かって超ディスられたわ! 有森光来さんだってそこは同じだよ!」(P116)
私は思わず、紙袋の中を覗き込み、一番ぶ厚い京極夏彦の新刊『ルー=ガルー2』を抜き取った。京極先生、すみません、後で絶対買いますんで、と心の中で唱えながら、円盤投げの要領で本を掴むと、その場でぐるぐると回転した。
「おんどりゃー!」(P161)
爆笑したところ。いや書店さん的にすげー笑いどころではないとおもうんだけど。
そのへんでうおーとなっていたから私にふさわしいトロフィーラストからのダンスがすげえなと思った。
びっくりするほど気が遠くなるような復讐譚。
「作家を救うことができるのは作家だけだ」お、おうとなる。
おこぼれ姫5巻。
ソルヴュールのはるか東の大陸の国よりシェランという姫が供を連れて来訪した。東西の情報が更新されるのは海が穏やかな年1回のみ、東の王族にシェランがいるのは知らず、ソルヴュールの次期王位継承者が兄2名のどちらでもなくレティであるということはお互いに知らないことだった。
思えば優秀な兄が二人もいて、しかし王になるのはレティーツィアであると生まれてきたときには決まっているということは「レティーツィアでなくてはいけない理由」が発生するのだった。そこはご都合主義でもたなぼたでもなく、兄ふたりを押しのける才覚があるか王位継承者がレティのみになるかの二択。
はじめから王になりたかったわけではなく、お姫様でいたかった時期もあったと、そういう話である。
運命に大事な人を殺されてしまう前にわたくしはなんとしてでも優秀な王にならなくてはいけないというのは子どもに課すのは困難な道のりであるなあ。
デビュー作だけは読んでいて、しばらく読んでなかったんですが年末のタイムラインでよく見かけた。
いつものところじゃなくて、編集さんとか書評家さんとか(そのRTを含む)だった気がする……。
中学校2年生で転校生である「僕」、黒田慎平は横浜市内北端の町へ引っ越してきた。
転勤族の父をもつ僕にとってこの転校はすでに4回目、転校生に対する洗礼やクラスから浮かないためにはどうすればいいか分かっている。僕は「片親のこども」に興味を引かれることが多かった。このクラスの「キヨコ」はその傾向が今まで出会ってきた人の誰よりも強かった。美しい彼女はクラス中から無視されていた。
キヨコは「年金世代の祖母との2人暮らし」で家庭に問題のある要するに「貧乏人の子」といわれているが通学に使っているものはブランド物だったり休みのたびに渋谷で目撃されたり、そんなことが重なったりして援助交際をしているといわれ、それで僕と転校生の高野はキヨコを尾行するという。
実際のところキヨコは援助交際はしてなくて、お金の使いところ・締めところを分かっていて、「知りたいことがたくさんあるから進学したい」「普通に暮らして生きたい」という気持ちが強い。
キヨコの家のヒマワリがすごく印象的で(表紙にもあるしね)わたしとしてはOver the Rainbow - 一十木音也(寺島拓篤) - 歌詞 : 歌ネットこの歌を! おもいだすしかなかった! 音也さん片親からの施設だったし!
おばあちゃんのひまわりがっていってるとことか、掃除機が動かなくなったっていってるシーンとか。
キヨコ的に掃除機とおばあちゃんと重ねちゃったんじゃないかとかそういうのを思ってしまうわけですよ。どうなんですかね。いや答えなんていらねーですけど。
壇上のシーンとか、僕とキヨコがヒマワリの種を収穫してるところとか、僕と父がラーメン食べてるシーンとか、ちらちら影はしてたけどやっぱりそういうことだったねっていうあれらがほんとうにいい。
朝倉かすみ、中島たい子、瀧波ユカリ、平松洋子、室井滋、中野翠、西加奈子、山崎ナオコーラ、三浦しをん、大道珠貴、角田光代(敬称略)による酒にまつわるエッセイ。
お母さん。何度も申していますが、ジョッキ2杯のビールなんて、大半の酒飲みにとっては、本当に水みたいなものなんですよ。酔っ払ったり記憶をなくしたりといった体に悪影響が出るような酒量じゃ、全然無いんですよ。
(P136)
そして未だに、私は自分が酒飲みのどの位置にいるのか、わからない。つまり、私の飲む量が、多いのか少ないのかふつうなのか、分からない。
(P169)
これに激しく同意する程度の酒飲みです。
わたし自己認識では並程度に飲める口と思ってたけど割と飲めるほうだと思ってたんですがどうやら割と飲めるほうらしいと。え、カクテル上から順にとか果実酒5種類あるから全部飲むとかやらないですかやらないですか。今の職場の飲み会は20台前半〜半ばが多いので「大学生よりひどい」やかましい飲み会です。
ビール飲んでると大抵誰かが注いでくれるので最近は何杯飲んでいるのかいまいち分かりませんが2時間ぐらいは飲んでます。
三浦しをんさんのエッセイが祖母が亡くなった当時の弔い酒の話でした。弟さんすごかった。
泥沼してる本編とは変わって、気持ちさわやか系。いや割とどろどろしてるけど。
表題にもなってる「百年後の夏もあたしたちは笑ってる」がすげーすきで、あの香子さんと岡ちゃんが友情しててすげえ! とおもった。こーこさん友達できてよかったね……ととてもしみじみした喜びがあった。
いやまばゆいビーチにそそり立つフレンチ土管のあたりで無言で死ぬほど肩を震わせながら(JRの中で)読んでいた。
全体的に重いのはずっと変わらないんだけど、時々ふっと軽くなって、また死ぬほど重くなるよねー。
百年後〜は未来に何が待ち受けてるんだろうとか、幸せにはなってないんじゃないかとか、想像せざるを得ない。
皆ある程度は失っても幸せになれるといいのに。
年末年始はいっぱいSMAPを見てよさを再確認してたら図書館でこんな本を見つけたので……。
書いた方は中居担のようです。社会学的SMAPの分析本というあれですね。理屈っぽいアイドル本です。
その出来事は突然起こった。もともと芸能界に興味が無かったわけではなかった。テレビは人並み以上に見ていたと思う。しかしスマップとの出会いによって、私は、送られてくる画像を消化する受動的オーディエンスの立場から引き剥がされて、五人の若者の芸能活動の情報収集にいそしむ活動家ファンへと変身したのである。
スマップとともに過ごすようになった私の生活は一変した。テレビでスマップのメンバーが出演する番組を追い、ラジオから語られる言葉から、彼らの日常や人間関係に思いを馳せる。(P17)
スマップをST☆RISHに置き換えてもこの違和感のなさ……。
まあそれを主として読みましたが。
内容としては2003年のSMAPです。世界にひとつだけの花、吾郎さんの検挙による活動停止と4人のSMAP。
その辺の話です。びっくりしたのは吾郎さんイメージカラーがピンクということですよ、
そうか翔ちゃんと一緒か……