カテゴリー「 読了 」の記事

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影の王の婚姻 (ビーズログ文庫)

ビズログの新人さん。

ディシベリア帝国皇帝の妹で継承権を持つフィグネリア18歳の誕生日のプレゼントは「小国から迎え入れる花婿」だった。イーゴル皇帝は「少々頭は悪いが、疑うより信じることを選ぶお人よし」で、君主としてはあまりよろしくはなかった。腐敗しきったこの国をなんとか安定させたのは先帝で未だ火種はくすぶっている。そそんな国の頭脳担当としてフィグネリアはいろんなことを取り仕切っている。
有能だし何でもできるけど、何でもできる分寄せられる期待、虎視眈々と狙われる命、片付かない内政問題。フィグネリアは慢性的に疲れている。
そこに婿としてやってきたのがクロードである。一応王子の位置にはあったけど特に知識は無い。読み書きはできる。笛が得意。でも物覚えがいいだけでなにもできない。フィグネリアはクロードのことは基本的に信用してないが3食昼寝つきで遊ばせるつもりは無いとはじまった新婚生活である。

本屋では特に思わなかったけど帰って一緒に買ってきた何冊かと並べてから手に取ると、
「あれ? Debut軍服音也の本とか買ったっけ?」とガチで考えるぐらいに音也だった。
ちなみにDebut軍服音也ってこれです→一十木音也(いっときおとや/OTOYA ITTOKI)|うたの☆プリンスさまっ♪Debut
まあ中身も中盤ぐらいまでは音也でした。
いやだってクロードって手をつないで歩くの拒否されたらしゅんとするわんこ系で「でもフィグが喜んでくれるから頑張る」とかフィグの無自覚の喜んでるところを見つけたりとか好きになって欲しいとか。
フィグはフィグで有能なツンデレで背負ってるものを誰にも知らせない持たせない気負ってる人ってわたしそれすごい知ってる!!!!!!!!! っていう。
でもまあ中盤以降はそうじゃないから。ていうかイゴさん妹が暗殺沙汰に巻き込まれてる気がつかなかったんだ!? っていう。皇帝一家はいろいろ抱えてるけど幸せな家庭でいいなあと思った。

死神姫のカシュヴァーン様が「俺の妻は世界一可愛い!!!」ならクロードは「俺の奥さん超可愛いんだけど」だよなあ。

勝手にふるえてろ

インストール以来久しぶりに読んだ。
お付き合い経験のない、中学生から延々と片思い継続中の江藤良香のもとにふってわいたある恋の話。
なんかこう、中学生か! っていう感じだった。全体的に「思春期か!」っておもった。
思い出はとことん美化して現実はけなす。そんな感じだった。め、めんどくせえ。

どうも私はおたく期間が長かったせいで現実世界で自分がどんな行動を起こせばどんな反応がかえってくるかが想像がつかない。仕事中はオフィシャルな場所だから気を引き締めていれば浮かないけど、オフの場面になったら途端にどういうのが普通か分からなくなる。

(P80)

やめろ! でも辻村深月作品ほどえぐられるものは少なかった。

デ・コスタ家の優雅な獣 3 (角川ビーンズ文庫)

自由を奪われて血を繋げる材料になるはずだったロザベラはいまや立派な「デ・コスタ家」の一員です。
カジノとデ・コスタをつなぐ顔役として縄張りを与えられていた。
リカルドとの対決はよかったねとてもよかったね。ロージーいい感じにそまってるね。悪い子だ。
ダリオに生きていて欲しいのあたりもなー、家族っぽくて、最初あんなんだったのに。とてもよかったとてもよかった。

早稲女、女、男

融通がきかない、男っぽい、闘志むき出し 冗談半分に言われる早稲田大学に通う女性、通称早稲女
そんな早稲女を地で行く早乙女香夏子と2人の男、5人の女と指輪の話。
立教・ポン女・学習院・慶応・青学、と言われたところで地方住まいの人間なので「あるあるw」とも「ないわー」とも言えずめんどくさいなあーと思いながら読む。とにかく情念の話だった。

「私にふさわしいホテル」を読んだ直後だったので有森樹季のたびたびの登場にお!? となった。
一人身のキャンパスが好きだな。

夢解きパティシエ    黒き医者の甘い誘惑 (角川ビーンズ文庫)

フランスっぽい感じの架空の国で菓子職人を目指す少年レンの物語。
ビーンズでお菓子作りっていうとシュガーアップルがありますが、ジャンル的にはまるで違ってこっちは退魔もの。退魔って書くとエクソシストの雰囲気が急に出てきますが魔は魔でも夢魔の魔です。

レンは半年前に母を亡くした身で、父は分からない。生死不明ではなく母は不特定多数と関係を持っていてレンは母譲りの顔をしていて、青い目なんていっぱいいたから分からないって言うそういう話。
今にも潰れそうだが元は食堂だったという家には立派な窯があり、そこで菓子を作って市場や警察に配達して売っている。大家が家賃を日払いで迫ってこようとも、少女と間違われる風貌の14歳が生きていくためには必要な場所だった。
警察に配達に行った際、“夢医師”ヴァレリーと出会ったことや夜道で“グラン・ギニョール通り”を見つけてしまったことが転機だったのだ。

少年主人公と変態もしくは陶酔系青年。基本的には男ばっかりで、このノリならおそらく恋愛は無い。
帯は「腹黒医師」なんですが、腹黒、腹黒か? っていう感じです。どっちかといえば変態。
夢占いとかそういうもんでもないです。雰囲気はリーディング同様落ち着いてる系。
その単語は使ってもセーフなのねとか思いながら読んでいた1
1冊で割と「俺たちの戦いはこれからだ!」的にまとまった感あるなあ。

  1. やり逃げとか []

ようこそ、古城ホテルへ(4) ここがあなたの帰る国 (角川つばさ文庫)

いやすごかったね! 葡萄踏みのピィ、変貌したジゼット、かーらーの若い女がはしたない! とお父さんしてるヘンリーちゃん。ヘンリーちゃんまじおとうさん。犬の癖に。
ジゼットは君を奪い取るできゃーきゃー転がってたらあの挿絵が来てヾ(:3ノシヾ)ノシ((└(:3」┌)┘))した。
ジゼットさんまじイケメンやでえ……。
リ・ルゥが離れるあたりはガーデンロストを読んだときの感覚とよく似ていた。こじらせている。
全員が、合格ですとか随所にぎゅっってつかまれた。よい本でした。

私にふさわしいホテル

文芸あねもねが初出だった「私にふさわしいホテル」がついに1冊におさまる。文芸あねもねは今度豪華声優陣をむかえたチャリティー朗読企画が控えているそうで、文豪コールが朗読されるのが大変楽しみです。

中島加代子、PN相田大樹は実用書メインの出版社の文学賞で無事デビューが決まった……はずなのだが未だに本も出ず鳴かず飛ばずである。山の上ホテルに年1回泊まり作家感を味わうこと数度、上の階にベテラン作家東十条宗典が泊まっていることを知る。
加代子は機会には恵まれなかったけどなんせ語り部の才能がある。作家になるべき人材なのだ。

コメディな部分もあるんだけど、時々加代子の内面の深淵を覗くようなシーンがあっていい感じにどろっとしている。私の中で大和田浪江は某シャチョーにみえてくる。作中は作家が実名で登場したりもするんですが、朝井リョウ氏がツボにはまった。

「俺の処女作のアマゾンレビュー読んだことあんのか!?」
「え……」
「さんざんぶっ叩かれたわ! いろんな人間に面と向かって超ディスられたわ! 有森光来さんだってそこは同じだよ!」

(P116)

私は思わず、紙袋の中を覗き込み、一番ぶ厚い京極夏彦の新刊『ルー=ガルー2』を抜き取った。京極先生、すみません、後で絶対買いますんで、と心の中で唱えながら、円盤投げの要領で本を掴むと、その場でぐるぐると回転した。
「おんどりゃー!」

(P161)

爆笑したところ。いや書店さん的にすげー笑いどころではないとおもうんだけど。

そのへんでうおーとなっていたから私にふさわしいトロフィーラストからのダンスがすげえなと思った。
びっくりするほど気が遠くなるような復讐譚。
「作家を救うことができるのは作家だけだ」お、おうとなる。

おこぼれ姫と円卓の騎士 皇子の決意 (ビーズログ文庫)

おこぼれ姫5巻。
ソルヴュールのはるか東の大陸の国よりシェランという姫が供を連れて来訪した。東西の情報が更新されるのは海が穏やかな年1回のみ、東の王族にシェランがいるのは知らず、ソルヴュールの次期王位継承者が兄2名のどちらでもなくレティであるということはお互いに知らないことだった。

思えば優秀な兄が二人もいて、しかし王になるのはレティーツィアであると生まれてきたときには決まっているということは「レティーツィアでなくてはいけない理由」が発生するのだった。そこはご都合主義でもたなぼたでもなく、兄ふたりを押しのける才覚があるか王位継承者がレティのみになるかの二択。
はじめから王になりたかったわけではなく、お姫様でいたかった時期もあったと、そういう話である。
運命に大事な人を殺されてしまう前にわたくしはなんとしてでも優秀な王にならなくてはいけないというのは子どもに課すのは困難な道のりであるなあ。

爛漫たる爛漫: クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮文庫)廻旋する夏空: クロニクル・アラウンド・ザ・クロックII (新潮文庫)

熱烈な支持を受けてきたロックバンド「爛漫」のボーカル新渡戸利夫が急逝した。
人気バンドを襲った嵐、その死に疑問を抱く音楽ライターの娘くれない。彼女を導く利夫の兄、それからギタリスト。ロックとミステリがいい感じに混ざった小説。
年内にすごく気になってて、でも明らか1冊で完結してないし続き出るの時間かかりそうだしなって買うの辞めたらつい先日2巻が出てるのを見てやべえってなって2冊一気に読んだよー。面白かった。
音楽はよいものです。

双界幻幽伝 三人で相思相愛? (ビーズログ文庫)

番外編。時間軸は割と不詳な気がする。1巻より前じゃないのだけは確実で。
「番外編は短編集」って言う謎の思い込みがあるんですが、これは1冊完結の話です。

天祥の依頼で朧月は蒼刻と一緒に寵姫1として後宮にあがることになった。
一緒に、だけあって蒼刻は護衛とかじゃなくて寵姫としてあがってます。男に己と書いて妃と並び立つような字を作ってやろうかといわれるようななにかです。まあ、でも女装はしてません。
天祥の依頼というのはやはり幽鬼がらみで、蒼刻の弟子の恋事情がからんだあれこれがあってすったもんだーをするわけですよ。要するに軽いラブコメです。バカップルの話です。ごちそうさま。

  1. ただし臨時雇用 []
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