田中花子、という申込書の見本に書かれてそうな没個性の名前の人が主人公である。
ITベンチャー企業ネット通販フロアで働くかたわら夜は街角で占い師「アンジェリカ」として街角に座っている。占いの売り上げはすべて緑地化へむけて寄付をしている。
占いをしていると時々言葉が降って来ることがある。それは「それっぽいことをいういつもの占い」とは違って、「特に意味があるとは思わないが占われてる当人にとっては非常に重要な、神託のようなもの」だ。これは50人にひとりにあたるようなものだが、彼女たちはお礼を言いに現れアンジェリカの占いは行列をなしている。
そして占いの後ろでキャンドルを売っている誠司となんかちょっといい雰囲気になる。花子は時折落ち着かない気分を抱えたりしつつも、ちょっと親しい顔なじみぐらいにしか思っていない。
で「○○を探してほしい」だったり「妻は浮気をしているのでしょうか」みたいな占い最中に零れ落ちた言葉が事態を収束に向かわせるという類のあれです。人と関わりを持つことで揺れ動いていく花子の物語。
これは続きを読みたい感じで、とりあえずどこかに積んでいるデビュー作を読もうと思いました。
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立て続けに起こった天災は都市に多くの爪痕を残した。特に湾岸部は液状化が酷く、死の土地になることや経済の立ち遅れを危惧した政府は湾岸部を再度埋め立て、湾岸地域を経済特区に指定して公営カジノを建設した。
ギャンブルが許された歓楽街に客寄せとして作られたサーカスは20歳にも満たない少女が集められた。
最初は満足な設備があったわけではなく、少女たちに秀でたなにかがあったわけでもない。それでもカジノ特区の発展でサーカスへ注目度もあがっていった。いま演目を任されるのは文学者の名前を冠したエリートのみ。
曲芸子の舞台に立てる寿命は長くはない。それでも一度舞台に立てば今後が約束されるだけの地位と力があった。
スポットライトと拍手が彼女らのすべてだった。
8代目サン=テクジュペリとしてブランコ乗りだった涙海のかわりに舞台に立つ。周囲から嫉妬と羨望と重圧をもたらされ舞台の上で見るもの、の話。
想像したのはAKB0048とアイドライジングでした。アイドラよりはもっと女子ですが。
同じ母親の腹から、同じ細胞と同じ遺伝子を持って生まれてきたのに。同じ者を食べ、同じ動きをして笑いあったのに。
どうして心は、いつの間に、こんなに遠く、こんなに違うものになってしまったのだろう。(P75)
来栖さんちの双子、というかなっちゃんと翔ちゃんを眺めている薫ちゃんで変換されて、あと「永遠をちょうだい」「永遠をあげよう」はことあるたびにQUARTET★NIGHTが控えめなボリュームで流れてきてまじ自重っておもった。
歌姫アンデルセンは出たーアイドルの伝統枕! とかおもいましたすみません猛獣使いカフカが思いのほか重くて好きだな。あのなんともいえない女! めんどくさ! っていう話が好きです。
世界でも最高レベルのクオーツを生み出す伏桜製作所のメイジ、伏桜団慶が亡くなって1年が経った。
クオーツはメイジの魔法の糧であるため、親王坂にある5つの工房はこの製作所の今後をめぐって虎視眈々と狙っていた。息子の製作所の所有権放棄しており、一周忌を機に製作所をめぐって「伏桜継承戦争」がはじまる。
弱肉強食が常のメイジの世界だが、全面戦争をはじめると親王坂は焼け野原になってしまうためこの魔法戦争にあたってはいくつかのルールが設定されている。レベル一桁のメイジであること、異位相空間での戦争で、戦闘時間は16時からの数時間限定であること。
伏桜三九郎は優秀な魔術師を父に持ったが自身は才能には恵まれず、魔術師の世界も嫌って日常に身をおいていたが、幼馴染ともども継承戦争に巻き込まれる。
こういう学園異能! 魔法バトル! みたいなの久しぶりに読んだなー。面白かった。
ただしねねこの「おにくだいすき」「カロリー制限」「ぽっちゃり系扱い」「でも体重50kg」にはただひたすら解せぬ!!!!!!!!! と叫ぶしかない。
「蜜月呉葉ちゃんがあんたを殺す相手の名前だ」は「貴様を殺す男の名を忘れるな。その男の名こそ、ゲーフェンバウアーだ!」を思い出す。呉葉ちゃんかっこいい。チームを組んだりする関係もあって三九郎の周りには女子がたえないわけですがハーレム! な感じがないところもよいと思います。華夜には幸せになってほしいと思います。ねねこは続きがあったらもう1回ぐらい死ぬね!。
あとがきに「ゆ○○○みたいなものを書いてくれ」って言われたから書いてみたけど、後々考えてみたら参考にした作品が違ったかもしれないという。わたしゆるゆりは「アニサマに出てたやつ」以外の情報は何一つ持っていないので知りませんが。
圧倒的に日常です。何も起こりません。
女子高生ふたりが授業サボって卓球したりして体育館の2階で「昼からは授業出るのー」「たぶんねー」みたいな話をしているところから始まります。まあ宇宙人を自称する小さい人1は出てくるけど日常です。まあ世界的に平和な日常を過ごすだけで、体育館の2階でサボリ仲間として出会った女子2人、安達としまむらの心情の揺れ動きは大変なものです。
体育館の2階で会わなきゃもう会わないのかなー(同じクラスなのに!)とか卓球やってたり、しまむらの友達と一緒に放り込むと安達もしまむらもおとなしくなって、この感覚すごく覚えがある……と思った。
百合といっても別にべたべたしてないし熾烈でもないけど、このぐらいドライな関係で、でも距離を測りかねているというか、プライベートにどこまで踏み込んでいいものか悩んでいる女子の話はいいわーと思いました。
- 青い髪の女の子っていってたから電波女かなー読んでないけどーと思った。これ書いたらコモリさんの感想見に行って答え合わせしてくる [↩]
クルヴァッハ南東部、「高原の民」イル族が治めるティカルへ新婚旅行へ行くことになった。眠らずの蝶の標本が手に入り、その夕輝晶にティカル産の者が使われているようでその調査を兼ねてである。
イル族に子守魔王を思い出した。フェルはそろそろシレイネとの垣根が崩れていることに気がついたほうがいい。読みながら気がついたけどこれもまた「一つ屋根の下の秘密」「片方の秘密を知っていて、知っていることも黙っている」だった1。
限界でごわすとトイレと雑巾は万能すぎる。
シレイネに気を使うフェルとフェルしか見えてないクロウがな!
ジルフォードがまたわかりやすくわたしのツボをついていきました。兄妹でこういうのは割と見たけど男兄弟では割と新鮮な気がする。そして自領警備員と箱庭主義に笑う。劇場用変態VS壮大な引きこもり。
クロウの背景が思ったより壮絶でおいしくいただきました。本物のシレイネはちょっとメリルローズ2っぽい。
スチームパンク。
産業革命はアングリア王国に大きな繁栄と、何百年と続くことになる公害をもたらした。
マスクなしでは暮らせない時代が流れ、5人の発明家によって国土再復興計画が実行された。まず高い塔を立て人々はそちらへ移住させ、今度は不可能と思われた緑の大地《田園》を復興させた。計画は18年で完了したが再汚染防止のため人々の再移住は禁止された。これが塔王国アングリアの始まり。
それは500年たった今も変わらず、5人の発明家はその家名を塔を支配する企業グループへとして遺した。
320階に住む便利屋サイラスと、機械いじりの天才ジョニーの出会いにはじまる塔の物語。
要するにサイラスは「苦労人のお父さん」です。行きつけの《鋼と真鍮》亭で酔いつぶれたジョニーを拾いそのまま居候化し、今度は田園生まれで塔を歩いて上っているナッシュとあともうひとりやってくる。
いい世界だなーと(たぶん暮らしてる人は大変だろうけどさー)読みながら「親方ァ! 空から女の子が!」となる。
あとあと、ここを出て行くときは前もって言ってくれってなんかしょんぼりしている感じのサイラスかわいい。
続き、続きは金星特急の短編が載っている限りは小説ウィングスを買うことにしたのでごろごろと読みます。