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アルビオンの夜の女王 -吸血公爵と紅き御曹司- (B’s‐LOG文庫)

なんだかがらっと雰囲気の変わったアルビオンの夜の女王2巻。

今回は主に吸血鬼のターンなので、若干のえろさというか色気はありました。でも何故かあちらこちらに笑いが仕込まれています。題材的に耽美にも退廃的にもなれるんだろうけど、軽さを保ってます。
特にセシアとラゼリオンの会話がなにが決壊したのかと思うぐらい漫才寄せになりました。
1巻はもうちょっと「寄らば斬る!」みたいな緊迫感があったと思うんですが、黒猫さんと様刻1みたいな漫才会話成分ががっと含まれている。

今回はヴェネドシアという魔物が多く棲む島が主な舞台なので、執事はさほど出番はないのですがすごく美味しいところをかっさらっていきますね。ハンドパワーふいた。

そのヴェネドシアに行くことになった理由が「とある事件で押収した美肌クリームを分析したら魔術的に精製必要な成分が含まれていた。あちこちの雑誌に広告が出されており世間に広まりつつある」という新たな依頼がはじまり。資料として同封されていたものが広告を出している雑誌のうちの1冊、「レディ・セブン」という12歳から70歳まで広く楽しめるゴシップと最新流行と平易な文章とイラストが売りの雑誌である。
脳内では女性セブンの姿がちらつく。不思議美肌クリームが40代オーバー御用達化粧品として形作られる。待て、もっとロマンあるものを想像しろ! せめて同名のALBIONにしてください! と思う。

同意するというかそれ以前に分かる人が極少ないと思うのですが、○○すれば××したみたいな表現2がPBCで前超流行った描写を思い出した。懐かしい。

< アリスの箱庭>決着は次回に持ち越される。
個人的に読んでみたい話は「執事密着24時」(←執事を観察するローズグレイハウスの住人の話。)
「昼の女王VS押しかけ悪魔」(←夜の女王は板ばさみで胃を痛めます)
とてもきになります。

「まあ私は魔王になる気はないので、花嫁といわず、あなたの婿養子でもいいのだが」
またしてもさらっと言われ、真面目に思案していたセシアはむせた。
「『夜の女王』の夫。ふむ。花嫁と同じぐらい素敵な響きと思わないか」
「思いません。全然まったくこれっぽっちもです」

(P32)

そしてセシアを見ないまま、今までとは一変した、抑揚の失せた声で言う。
「セシア。私が黒を纏うのは、私の産まれた世界では喪の色は黒とされているからだ。もし仮に喪の色が桃色であったなら、私は羞恥と躊躇いで内心七転八倒しながらも全身桃色で統一していたかもしれない」

(P93)
  1. 西尾維新 []
  2. 誘惑すればなにかがうごめく気配がした、みたいな []

女神の娘の恋歌 暁は伯爵、黄昏は魔王 (B’s‐LOG文庫)

堅実な面白みのシリーズ1作目。

グメーラ伯領に若き司祭ミーナ(本名マライナ)が赴任した。
グメーラ伯領にはパラディール教会がいくら司祭を送り込んでも数ヶ月で逃げ帰ってしまう評判の悪さだった。元々グメーラ伯領は人と妖魔の世界の境界に位置するため怪異が多いことや、15年前に前伯爵に追い返されたとも殺されたともいう司祭の噂から不人気な土地である。
現伯爵ナリスフレイは魔王伯と呼ばれているがミーナが拍子抜けするほど見目麗しい青年貴族だった。
そして赴任翌日からミーナは城で村人を集めた朝の祈りをはじめる。バラディール教会聖職者の朝の祈りは歌うことだ。アルトネリコ的なあれです。

野望のあるミーナ・腹に一物系の青年貴族ナリスフレイ・夜にしか現れない”ナリスフレイの不肖の弟”レイヴェン、そして堅物執事!と。美味しいです。わたしはレイヴェン派です。

欧米方向と同じく聖人あやかり系の名前が多いこの世界では、「光の女神キリヤナ」からつけられた娘は多くてもキリヤナの娘である「光の乙女・穢れた者 マライナ」とつけられる娘は少ない。母は何故この名前をつけたんだろうと思い悩むミーナとか、いずれは魔神ジャイナルに相当するものが出てくるのかとか思うととてもwktkします。

死神姫の再婚—孤高なる悪食大公 (B’s‐LOG文庫)

99ページ!
インパクト大賞でした。雨悪は大変だ。

カシュヴァーン様可愛いよカシュヴァーン様。ていうか表紙のカシュヴァーン様超若い。
冒頭から指輪サイズを測ろうとしているところがとてもにやにやする。

わたしカシュヴァーン様は女になったらプリハーのジルみたいになると思うんだ。(※ただし平静時に限る)
もっとわたしを可愛がりなさいともっと俺だけを特別に扱えは方向が似ていると思うのだ。
(↑白文字はプリハー最新刊1ジルの台詞が沈んでます

アリシアの「カシュヴァーン様はたぶん上手」とか子作り関係がわたしの腹筋超大打撃だった。死ぬ。
あと夫婦べろちゅーしすぎ。ノーラとティルは可愛い。

悪食大公グラネウスは死神姫のなかにおいてかなり真っ当な大人ですね。そして随分多才ですね。
服とかのセンスはあれですが。

あとラグラドールを見るたびにラブラドールと一瞬読み違える私の目はなんとかなりませんか。

「……ああ、そうだぞ。俺より先にあいつにしてはいけないことだったんだぞ。だからといってこれからはしていいという訳じゃないからな。くそ、俺だって本当は仕事なんかせずに、ずっとお前といちゃいちゃしていたいんだからな」

(P152)
  1. 現時点での []

お狐サマの言うとおりッ! (B's-LOG文庫)

パラレル江戸の人情モノ? みたいな感じでした。
既存の作品でいうと「銀魂としゃばけを混ぜて少女小説の型に流し込んで焼きます」みたいな。
パラレル江戸なのは都の名前は江都で徳河将軍家の御世だけど、鎖国してないしもう文明開化してるという点で。

満月の夜に猫を助けたことで桐緒は色々あって狐憑きになった。狐憑きはどっちかというと妖に近い存在だけどこの世界の狐は座敷童的存在だった。主従といえば主従なんだけど、主が使われる側な感じです。
かくして貧乏道場で鷹一郎・桐緒兄妹・お狐様の紗那王とその小姓化丸の同居生活が始まって半月、門下生0の道場に仇討ちのために剣を教えてほしいという千代がやってくる。

ラブコメというほどラブは見当たらないような……。紗那王のそれとなく心配したり見守ったりの距離感は好きですが、保護者的視点で見てしまってました。スレイヤーズのリナとガウリィ(超初期)みたいな。

アルビオンの夜の女王 -青薔薇姫と幻影の悪魔- (B’s‐LOG文庫)

舞台設定は19世紀のイギリス風。
アルビオン王国の< 青の薔薇十字団>を率いる銀髪の少女セシア。彼女は魔術事件や悪魔祓いをしているアルビオンの新しい"夜の女王"である。セシアの元に、双子の妹でありアルビオンの若き"昼の女王"クローディアから週末のハロウィンパーティのドレスが贈られて出席する。
問題はパーティで倒れた令嬢が船で帰宅中忽然と姿を消した。薔薇十字団は魔術事件に巻き込まれたと見て捜査をはじめる。事件の情報を求めてセシアはファントムと名乗る謎の悪魔を訪ね、ファントムは情報の対価に「物語の提供」つまりセシアの半生を語ることを要求する。

セシアは出生とか立場とかが割と複雑な感じですが(現女王の双子の姉であることは極秘事項)普通っぽい女の子です。戦う人なので守られヒロインではないし猪突猛進型でもないと思う。
セシアの契約者として吸血鬼(ルーシャス)とか人狼(アルカイン)とか改造人間(センレッド)とかいるんですが個人的に一番好きなのは(ファントム込みにしても!)執事のクレオヴィスです。ハイパー執事です。
「私は人の子です」と言っているけど< 黒>執事でも驚かないよ!

「神のような、奇跡の執事です。ハンドパワーでお体を癒せますし、真冬に枯れた薔薇園を蘇らせろと仰っても、五千人を呼ぶパーティを開きたいと仰っても、水からワインを作れと仰っても、必ずや実現してみせるでしょう!」

(P20)

という触れ込みで派遣されてきたのである。すごい執事なのである。軽く奇跡を起こせて予算管理も屋敷の手入れも完璧である。

「人狼殿はお嬢様たちと違って、拳一つで戦えるのですからいいではありませんか。文句を仰るなら、白百合姫とお揃いのメイド服を着ていただきますよ」
「ぐおおおおお……! くそ! なんで外れねえんだこの手!! 俺より力あんのか執事!?」
「いいえ単なるハンドパワーの応用です。さ、参りましょう。悔い改めようと努める限り、罪は許されるものですよ」

(P187)

ペルソナ4 Your Affection (B’s‐LOG文庫)

とてもご馳走様でした!
本自体は薄めですが大変濃いです濃いです。読みながらちょー転がった。
菜々子と直斗の話が読めるとか誰が想像したことか!
あいと一条・長瀬がメインの話を読めるとか誰が想像したことか!
校内コミュと堂島家とジュネスは一通り出てきます。女子料理部サバトも健在です。

こういう感じの本なら何冊出てくれても構わない……とか
少女向けレーベルでゲームのノベライズ(notPCゲー)は珍しい気がする……と思った。
ちなみにペルソナ4未プレイだとおそらく読んでも意味が分からないかと思います。最低「今プレイ中、秋ぐらいまでは進めた」ぐらいでないと厳しい。

雛のほそみち ~青葉若葉の恋道中!~ (B’s‐LOG文庫)

幼馴染みラブと聞いて!と買って早4ヶ月。ラノサイ杯があるから!と読んだ。
投票するかしないかはおいといて、積みを崩すきっかけになるのはよいですね。これを逃すと年単位の積みに回ってしまう。

江戸時代、生類憐みの令が出されたり松尾芭蕉が生きてたりするころの江戸。
若くして出家願望のある抹香くさい男子×剣を振り回すやんちゃ女子です。

武家の一人娘である吉村雛は生け花より剣道が好きで道場通いをしている。幼馴染みで出家願望のある鹿之助に勝てないのが最近の悩みだった。
臼井家の次男から縁談がやってくる。雛は両親がそのことについて話していることを偶然聞いてしまう。
吉村家より格上の家柄で臼井家としては既に跡継ぎも生まれている。お金のことにはちょっと細かいと聞くけど雛は大ざっぱだからそのぐらいでもちょうどいいだろう。しかしあの顔を毎日見るのは……と両親でさえも悩むぐらい臼井家の次男は不細工だった。
雛は結婚させられてはたまらない、と師匠と仰ぐ松尾芭蕉・憧れの人曾良の旅に同行しようと追いかけ、鹿之助もまた雛を追いかけ江戸を出る。

1巻らしく登場人物の人となりが分かるエピソードとか旅路の描写とか襲撃されたりとか距離が近づいたり焼き餅を焼いたり恋心を焚きつけたりという王道かつ地味めな話です。
男勝りな性格でで普段男の格好をしているような幼馴染みが急に女の子らしい格好をして、どぎまぎしたあげく「似合ってる」ぐらいしか言えないとか基本ですね。おいしいですね。

ヤンキー巫女逢桜伝 (B’s‐LOG文庫)

ヤンキーで巫女ってなんだと気になって買ってみたらなんだか普通に面白かったです。よいコメディ。
帯のあおりがはぐれ巫女&チェリーな神様が大暴走!で下ネタ方向に想像した。

穂倉梓は生まれ持っての不幸体質で、一家まるごと不幸に見舞われているうちになしくずしにグレていた。
両親が交通事故で亡くなり母方の祖母である穂倉神社宮司の梅に引き取られる。
梓は見た目はヤンキーのまま巫女となり、転校初日に同じクラス染井良信(ヨシノ)に声をかけられる。
梓は喧嘩を売られるものだと思ったがヨシノはその場で土下座をした。
「僕の父親を一緒に探してください」「僕(梓の)神社の神様なんです」
ヨシノは自分が半人半神であり、今は父の代役で神様を勤めているが本当になりたいものは科学者だ。
迷信の極地みたいな立場は父に突き返してやりたい、そのために穂倉神社の巫女の梓に協力してほしいと(梓の不幸体質の理由を述べながら脅し半分に)頼み込んだ。

ヨシノ父を探すために村の伝承を辿ったり7年に一度の奉納舞のことについて調べたり、話の題材的には民俗学方向でそれだけで私としては大変おいしくいただけるのですが、1人称の地の文と笑いのセンスがとてもツボでした。やおろず2のマレビト周辺を思い出します。
神様と巫女の組み合わせですが、神様的万能な能力とか禊とかが武器ではなく「化学と釘バットは正義。トイレのスッポンは恐ろしい拷問道具」です。コメディな部分とシリアスな部分のバランスが絶妙。
ちなみに恋愛方面はないです。男女ですが「俺の背中はお前に預けるぜ!」方向です。

というか私はヒサギが好きすぎます。ルー語使用のとても軽い感じの神さまです。とても笑える。

鞄にはる赤いテープは「喧嘩買います」としるしだということをぐぐって初めて知りました。

レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士 (B’s‐LOG文庫)

人間と生きて動く人形の恋の話2巻。
2巻といっても同じ世界観の別の恋の話なのでこれ単品でも読めます。前巻とのリンクもあります。
廃墟とか主従とか鳥篭はロマン。

15年間円環都市の館から出ずに従者のヴィリと図書館の本とともに過ごすクリステルのもとに、墓守を自称するルカがやってきた。彼が告げたのは30年前に円環都市は滅びて今は廃園都市と呼ばれていることと、ヴィリは人形であること、ヴィリを作った人形師が死期を迎えたためヴィリの破壊を依頼されたこと。
クリステルは滅びの鍵によって壊れかけているヴィリを直せる人を探して水葬都市へ向かう

倒れる→ベッドで目が覚めるののち、「ボタンが掛け違えている! しかしクリステル様の前でボタンを外したり背を向けたりできない! どうすればいいんだ!」とかやってるところにまずきゅんとしました。

コルテーゼの屋敷でのクリステルとヴィリの扱いにファミリーポートレイトを思い出す。

<隠遁者>というのは、十八世紀から十九世紀にかけて、イギリスの若い貴族のあいだで流行したものなんだそうだ。ママとふたりで面接に赴いたとき、主がそう話していた。
そのころ古典的な理想郷を夢見て、自分の庭をちょっとばかり古風な庭園に造りかえる貴族が増えた。庭園を完成させるためには、昔風の<隠遁者>が必要だった。人生の儚さや富のむなしさを瞑想する苦行者たちこそが、風景を完成させるんだそうだ。
だけど本物の隠遁者なんてなかなかみつからない。だから貴族たちは、食い詰めた労働者や、奇人や、詩人を雇っては自分の庭園をうろうろさせたらしい。

ファミリーポートレイト 桜庭一樹 (P214)

この辺。
コルテーゼの屋敷のターンは全体的にときめきの塊。

アーセルは苦労人。(だがそれがいい!

あとがきのネタにもなっていたオートミール、わたしは食べたことないのですが(そしてやっぱり海外児童文学の象徴)脳内検索では大体においてお母さんではなくおばさんが作るもののようです。
だいたい10歳ぐらいの金髪の癖っ毛の女の子が出てきて
「嫌よ! ○○おばさまの作るオートミールは美味しくないわ!」とか言いよるのです。
おまえは どっから はいってきた (゚д゚)

バベルの歌姫 ‐悪霊娘と落ちてきた恋人‐ (B’s‐LOG文庫)

ある日の会話 on twitter
わたし:そろそろ少女小説的に空から男の子が降ってくる話があってもいい (※ただしイケメンに限る)
さり  :それビズログにありましたよ
わたし:ナンダッテー!

という話の結果買ってきて読みました。
そんなわけで私の中では「バベルの歌姫」というより「空からイケメン」という名前で呼ばれてました。
親の借金返済のため村はずれで悪霊を育てながら一人暮らしているルシータはある夜、仕事の悪霊退治もせず女遊びにかまけていた空を翔る月騎士を見る。ルシータは届くわけないと思って憂さ晴らしをかねて矢を射掛ける。次の日畑を見てみれば重傷を負ったイケメンが。という。

ひとことでいうと変な話だった。
シンヒルドが苦手方面の自分が一番の俺様キャラだったので話の最初は相当きつかったんですが、後半はよいロマンでした。ホスト部の伽名月ちゃん(黒魔術部の人)をシリアス対応の主役にして、男にしたら多分シンヒルドに近い感じになるのでは……とちょっと思った。

ところで何で雨降らなかったんですか。

2巻が出たと聞くので、どうやって続けるんだろうと思ってAmazonであらすじを読んでみたところどうも「同じ世界観の別の話」のようだ……続刊予定ではこの二人も出てくるようだけど。

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