夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

実は読んでなかったんだよ乙一デビュー作。

9歳の夏の日だった。木の上にいた五月は弥生に押されて地面に落ちて死んでしまった。弥生とその兄、健は五月の死体を隠そうと奔走する。というのが五月視点で語られる。

しかし私雰囲気もえとしては「優子」のほうが好きだ。
戦争が終わって間もないころ、鳥越家で住み込みで働くようになった清音と主人夫婦の話。

旦那様も奥様も変な方だ。清音は思う。政義も優子も自分の前ではわざと襖を開けないようにしている気がして清音はたまらなかった。自分の廊下を歩く、きゅ、きゅ、という板のこすれあう音に二人耳をすませて警戒でもしていそうで、背筋がぞくりとなった。鳥越家の長く薄暗い湿った廊下は遠くのほうや隅っこのほうに闇が溜まり、その中にたまらなく嫌な視線を感じてしまう瞬間がこの家に来て何度かあった。

(優子 P153)