当時カナダ在住の西加奈子さん、ある日強いかゆみを伴う赤い斑点が足に現れた。ベッドバグ(南京虫)ではないかと言われた西さんは青ざめてウォークインクリニックを訪れた。西さんはもうひとつ病院へ行かなければならない理由があった。
胸にしこりがあるのだ……。
カナダの医療は日本とは違う。ファミリークリニックと呼ばれる総合医をまず受診し、その後専門病院へ紹介される。西さんのようにファミリークリニックを持たない人はウォークインクリニックへ行き、やはり紹介状を書いてもらいその後専門病院へ行く。緊急の病気の場合や緊急を要さないが予約まで待てない人は救急がとても混む。とんでもなく混む。
カナダでは一部の州ではカナダ人も外国人も医療費が無料で、皆の命の重さは等しく、それゆえに救急での優先は症状の重さだ。
日本の医療で慣れているとカナダではとても大変そうだった。
その後西さんは乳がんと診断され、苦痛を伴う抗がん剤治療およびその最中のコロナ陽性診断。遺伝的に乳がんになりやすいということで乳房切除などもされている。
日記(わかりやすく日記日記はしていないが、日々の記録である)の比較的序盤で山本文緒さん(2021年にすい臓がんでこの世を去る)が亡くなり、後半で安倍元首相の襲撃事件が起こる。
なお西加奈子さんは今もご存命であり、死の間際まで書かれていた文章ではないのでその点は安心して読んでほしい。
作家・西加奈子さん 乳がんを乗り越えて ロングインタビュー「自分を見つめ 踏み出す一歩を」 - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス