カテゴリー「 読了 」の記事

1983件の投稿

シスター・ブラックシープII  林檎と堕天使 (角川ビーンズ文庫)

産まれてすぐ「この赤ん坊が16歳になったら我輩の花嫁にする」と悪魔に目をつけられた娘がいた。
悪魔に見つからないように男装して故郷から離れた教会で助祭として過ごしていたコンスタンティンだったが、運命の誕生日に悪魔は現れた。ただし悪魔祓いに力を奪われ猫の姿で。かろうじて地獄行きは免れたもののその手には悪魔との結婚指輪がはめられている。
この指輪を壊すためコンスタンティンは昼間は「男装の助祭」、夜は「伝説の聖女【黒い羊】」の二重生活を送っている。

夏至の祭りとかちょっとケルトっぽいなあと思いつつ、なんだか真夏の夜の夢を読もうぜと言われているような気になる。いきなりむくつけき店主が家族の服を借りたりして女装してて激しく吹く。練り歩きとかちょっと屍鬼の冒頭を思い出す。要するに虫送りだ。

相変わらずコンスタンティンとユリエルと悪魔の3すくみ状態が美味すぎる。
悪魔の猫モード時がマジ猫なのとユリエルがドツボなのが笑える。ユリエルにはそのままもだもだしておいてほしい。
ざくざく血が流れる話はいい! 儀式は燃える。クズ呼ばわりされた鬱憤晴らしに強盗事件を追ったりするのである。

しかし今回はな!

びびるがな。しかしひとつ屋根の下の秘密はもえる。ごはん3杯だ。

コンスタンティンは、ぱりぱりに焼かれた香ばしい皮と、とろける脂身、それにあふれる肉汁が染みこんだパンを十分味わい、飲み下してから、口を開いた。(略)
「……なんで君はそうまでして僕のたまの休暇にケチを付けたいの?」
「つまりその肉を我輩に向かって放り投げることで、そなたは大食の罪を断ち、一つ善行をつむことができるかもしれんだろうが?」

(P24)

嵐に舞う花 クラシカルロマン クラシカルロマン (ルルル文庫)

シュピーツ王国内はまだまだ平和であるが国外では1年前から世界を巻き込んだ戦争が続いている。
中立を貫くシュピーツの王女メリルは戦争をどこか遠くのものだと感じていた。
両親を亡くしたがそれでも明るく伸びやかに育ち、女学院を卒業して王族としても成長段階で今は自分の将来を模索しているところだった。しかしそうしている間にも戦禍と嵐は刻一刻と近づいていた。

シュビーツはスイスかなあと思ったりいやエーデルシュタインだからオーストリアじゃねと思ったりした1いやスイスだよ。
西大陸最北と書かれてたからルッシニアはイギリス? でもなんかおかしいと思ってたらミハイルの名前で分かった。ルッシニアはロシアっぽい気がする……。この方向が正しい気がすると思って読み進める。
ちなみにボレアスはドイツだろうと思ってる。

メインのふたりがとてもいいものですが、フェルディナンドがとてもいいキャラをしていると思います。
わたしは彼のスピンオフがあるならとても読んでみたい。飛行機乗り的にお願いします。
フェルディナンドは所属のあれさえなければピロシキ2と仲良くなれると思う。

さてそのメインふたり。メリルと護衛で幼馴染みのダーツ。いやもう幼馴染みですっていうだけで美味いです。
今回はルチアや薔薇の戴冠と違い、お互い気心知れた中なのですね! 成長して再会ドッキリうめえ!
はじめての舞踏会直前のダーツは可愛い。

「最後くらい唇に口づけたかったが、俺はここで我慢だ。さよなら、メリル。お別れだ」

(P255)
  1. なんというヘタリア脳だろうか []
  2. 天翔けるバカ/須賀しのぶ。同じく第一次大戦中のヨーロッパの物語。ロシア人。陽気 []

シグナル (幻冬舎文庫)

恵介は大学を休学して実家に帰ってきた。体調不良や将来の進路に行き詰ったわけではない。
仕送りなしのため奨学金とバイトを併用してなんとか学費と生活費を捻出していたのだがとうとう経済的に詰まった。
そしてふらりと入った昔懐かしい映画館「銀映館」で破格の時給だった映写技師補助のバイトにつくことになる。
この映画館の映写技師は女性で、映画館から出ることなく映写室を主な寝床して3年間暮らしている。

引きこもりの技師だからといってコミュ不全というわけではない。
ルカはとても魅力的で映画が好きで、映写技師としても優れていて、映写機にフィルムをかける実技指導も行う。ルカの指導はスパルタで、丁寧さと速さを要求し、かけ間違えれば容赦なく後頭部を叩いた。
恵介はバイト面接時に「ルカの過去を詮索してはいけない」などルカに関する不可解な約束に困惑しながら、ゆっくりとルカとの距離を近づけていく。

フィルムを映写機にかけるところの描写が好きです。なんか懐かしい。
今「県庁所在地に映画館がない県」在住なんですが、昔は市内中心部の商店街にいくつも映画館があって家族で映画にいって、しかも入れ替え制じゃなかったので2回とか見てた覚えがあります。今はもう映画館超遠いので年に何回もいきませんが。

レイジは得体の知れない危険な人物だと思ってたんですが、ゆとり乙トルネードみたいな。
でもレイジが一番脳内で音声になりやすかったというか。せめてイケメンに生まれてよかったなみたいな。

しかしことに及ぶと分かっていてルカはなんではじめての日に上下ベージュの下着とかそんな色気がない下着を選んだんだろうか!

闇の中では自分であることを忘れることができた。それでいながら、映画によってほかのお客さんたちと一緒に笑い、驚き、怒り、泣き、感動を共有することができた。闇の中に身を隠しつつ、人とのつながりを感じられたのだ。
予告編と本編をつなぐフィルムの黒味が流れて、スクリーンは黒く染まり、場内が真っ暗になった。
春人は小さくもらす。
「やさしい闇だ」
いい言葉だ。
「そうだな。やさしい闇だ」

(P155)

都会のトム&ソーヤ(8)《怪人は夢に舞う 〈実践編〉》 (YA!ENTERTAINMENT)

ゲーム「怪人は夢に舞う」が完成。創也と内人はテストプレイに栗井栄太を誘う。

裏表紙が笑いを誘う。そのセンスはどうなのか。
内人の脳内キャラなのにナオコさんがいいキャラになってきた。

今回のゲームは「自分の映らない鏡」を見つけるのが勝利条件なんですが、「何故自分の姿が映らないのか」
の謎の内人の推理が実にクラインの壷でありクリス・クロスだった。
確かにあれもリアルRPGなんだけどな!
そしてなんというアカシックレコード! 11章以降の面白さは個人的にすごくやばかった。
自転車レースのシーンとかもすごく好きだ。童心は大事。

はやみねかおるの作品も全部地続きなんだなあと読書メーターの感想を見て思った。
さすがに

二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)

名前探しに夢中だった。
2年4組35人は不良なり秀才なり様々な人間が集まっているけど要するに個性的すぎる人間が隔離されたクラスである。委員長はここにクラス内交換日記をはじめることを宣言する。その交換日記というのが何故か主に異名で記される。ところどころで本名も書かれるけど異名である。誰が誰のことを好きだとか色々書かれる。交換日記の書き手は毎回変わる。

35人もいて好きにやっていて最終的にちゃんと収束しているのがすごいなあと思ったり。
名前当てパズルっぽい要素があるけど「自殺してしまった私たちのクラスメイトの名前を思い出してください」@「冷たい校舎の時は止まる」っぽいのじゃなくて、「初恋素描帖のドミノ割り。名前当てもあるよ」みたいな。

この2年4組表を完成させたときの達成感はすごい。一応埋めたけど三馬鹿2と3がこれでよいかの自信がない。ところで私が好きなのは制裁男とハツラツ娘でな!

登校拒否が3人いるのが懐かしいなあと思った。私が中学校の時はグレて学校に来ない子1名と不登校的に学校に来ない子がペアで各クラス一組はいた。

連想した本。

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)初恋素描帖 (ダ・ヴィンチブックス)ドミノ (角川文庫)

フィンスタニス統治記 夢の楽士と炎の精霊 (B’s‐LOG文庫)

冒頭は死ぬほど微妙だったけど農夫に救われた。後半は面白かった。

「魔物が蔓延る土地」「税の取立てがまったく無理な土地」として厄介な存在扱いをされ領主が任命されても日を置かずに逃げ帰る。王都の貴族から「話の種につきない愉快な土地」として好奇の目を浴びるフィンスタニス。
売り言葉に買い言葉の結果、ルノアリアは1年限定のフィンスタニスの領主となる。

内容的には「女神の娘の恋歌」とか「フリンギーの月の王」1みたいな。
いわくつきの土地に出向いていってみたら「よそ者風情が」とばかりに罵られたり、一部の人には陽気に受け入れられたり、ひと悶着あったりして協力者を得ながら健気に頑張っていく話です。

「冒頭が死ぬほど微妙だった」理由も書いておく。
「魔物が跋扈する」の跋扈がひらがな表記されているのが死ぬほど衝撃的だった。
「魔物がばっこする」とかなにその格好悪い字面。魑魅魍魎がセフセフで跋扈がアウアウとか。
あとルノアリア&フィーの主従コンビが「何故主→従はちゃん付けで従→主は呼び捨てなのだ?」というつまずき。だべだべいってる農夫にいかに和んだことか! ギャグキャラかと思ったら農夫の悲しき過去とか!

  1. 注:これはシリーズ途中の巻です []

紺碧のリアーナ フロレンティアの花嫁 (コバルト文庫)

15世紀イタリア。メディチ家と反メディチ家による陰謀とか陰謀とか友情っぽいのとか変人とかそんな感じ。

「サブタイトルは花嫁か。表紙のこのふたりが最終的に結婚するんだな!」という発想で読むと多分つまんねえええと思うことになると思うので要注意。あとがき曰く「立場の象徴として(花嫁を)付け加えた」とあるけど正直何の象徴で花嫁なのか1よく分からなかった。

10年前謎の大火事で家族を失ったリアーナは、世間的に死んだと思われている由緒ある名門アドルファーティ家の生き残りである。過去を忘れて生きることもできず、適当な相手と結婚することもできず、先は尼僧となって生きるしかないかと思った矢先に転機が訪れる。

「アドルファーティ家襲撃の真相」とか「父の仕事」とか「リアーナの今後」とかが主なところです。

あとがきまで読んで気がついたんですが、これ「始まりの日は空に落ちる」の方だったんですね。
「先読みができる」「空に落ちる人を見た」って何その赤朽葉万葉さんって思ったのはよく覚えてます。
これの選考結果が載っていたのが、宮木あや子の「砂子のなかより青き草」が始まる回でちょっとだけ読んだんだ。今までそんな選評とか読んだことないんだけどあの年はなんか強烈でこえーと思ったのはおぼえてるなあ。
colorful | 本屋徘徊のキロク

  1. 間を取り持つ的な意味で? 花嫁である意味なくねー? と思ったのでこの線は微妙だと思う []

〈運び屋〉リアン&クリス 永遠なんか知らない (新書館ウィングス文庫)

近未来よいバディもの2巻にしてシリーズ終了。

帯にある「預かったのは、禁断のイキモノ。しかもそれが巫女姫」巫女姫、それ単独なら少女小説的になんら不思議ではない単語ではあるけどまさかのカルト教団により生物兵器化された赤ん坊。すげえ!

「永遠なんか知らない」は後に行けばいくほどじわーっとするいいはなしだなー。すごくいいはなしなんだ。
徐々に人間味を覚えていくクリスの行く道がよければいい。
読了後しばらくしてもしんみりとして寂しくて切ない感じがずっと続いた。

アルビオンの夜の女王 -金色の闇と愛の密約- (B’s‐LOG文庫)

3冊完の予定だったけどもうちょっと続けられることになったらしくて、じゃこれからが第2部なのかと思った前巻。
いきなり完結となった今巻。ていうかクライマックス→次巻完結なのかと思えばまじでこれで終わりの模様。
予定にない完結だったのか元々あまり風呂敷たたまない終わり方をする人なのか、終わりの雰囲気がない。これなら3巻のほうがよっぽど完結っぽかったと思う。3巻とは逆に「外側は明らかに終わりなのに内面は終わりそうな気配がどこにもない」だった。

あとあらすじと登場人物紹介に物語のラストで明かされている五番目のフルネームが載っているのでうわぁ(゚д゚;)と思った。

ルーシャスとセシアの過去はこんな4ページ程度のネタではなくふつうに短編ぐらいで読みたかったです。
今までは巻を増すごとに面白かったのだけど、最終巻が一番微妙だったなあ。投げっぱなしジャーマン感あり。
執事の正体は精々チラ見えぐらいで明かされるべきではない派なのですが、話の筋に関わるとなったらまじチートだとしみじみ思った。某ルゥが自己主張しないキャラになるとこうなるのだなあと思った。

死神姫の再婚 -五つの絆の幕間劇- (B’s‐LOG文庫)

短編集。
ティル視点とか愉快なライセン家とかオーデル家とかラグラドールとかの話が収録されている。
ジスカルド・エルティーナの短編がすごく可愛らしいな!
本編では悪役風なジスカルドがちゃんと王子様してる。

「あなたにありがとう」は「地の文に突っ込むセイグラム」的なものが見られて面白い。
ていうかセイグラムはティルになにをおしえたのか。

「今年の俺の誕生日がお前があれをやってくれ」とかいうカシュヴァーン様今巻も残念可愛い。
表紙のカシュヴァーン様ぱっと見隻腕っぽいなーとおもった。P203の挿絵がやばい。
カシュヴァーン様今回も「俺の妻は世界一可愛い」っぷりがパねえ。ワールドイズアリシアである。
暖炉の上の猫魔王を頼りに夢の中の王子様を読みきって、ちょっとイケメンヒーローっぷりを見せたかと思えば猫耳妻を妄想する程度の嫁馬鹿である。

「お詫びの印に、ノーラと比べると物足りないと思いますが、俺の胸でよかったら揉みますか」
「いいよ、そんな余計な気遣いはいいよ!!」

(P66)
PAGE TOP