カテゴリー「 読了 」の記事

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木暮荘物語

築ウン十年、全六世帯、安普請極まりない安アパートに住む人々の短編集。
3年前に消えた恋人・晃生のことを気にしながらも並木を受け入れた繭の元に晃生が戻ってきた。どろどろ感とはあまり縁のない奇妙な3人での生活「シンプリー・ヘヴン」
繭視点では「美容師」設定のニジコの物語「嘘の味」
「喫茶さえき」の若夫婦の最初けだもの→草食へ→そして怪しい行動「黒い飲み物」
死が間近に迫っているにも関わらず性的に盛んな友人の姿を見てワシも一発……と思い出した「心身」
奇妙な柱の出っ張りとトリマー「柱の実り」
間男なう「穴」
穴の続き・よその赤ん坊を世話することになった「ピース」

好きなのは「柱の実り」と「穴」である。出張先ってどう見てもお勤めである。実刑である。高齢者専門は実在するんだろうか。世の中にはすごい産業もあったもんだ。

海が愛したボニー・ブランシェ -聖女が眠る悪の楽園- (B’s‐LOG文庫)

ボニパンまじボニパン。冒頭からかぼちゃである1
コスタバを離れメレアグリナ号は海賊島トルーガへ向かうことにした。トルーガは"先々代ロランの乙女"今は亡きボニーの祖母ルシアが眠っている。シャボンティ諸島編を思いだす。

序盤の新キャラが実に全裸である。
時計王2の読了感もあって自分の中では「最近のビズログは全裸に対して寛容」という感じ。
ルーアはははは馬鹿だなあという点でとても気に入った。
最後の新キャラは明らかに名前の前に「サー」をつけないといけない類である。

個人的に衝撃的だったのはバスカーの退場である。ちょーしょんぼり。

  1. 実に色気のないぱんちらである。 []
  2. 時計王と魔法のドレス。全裸にされたりお風呂に乱入されたりエロさはないものの皮膚接触の多い肌色な話だった []

子守り魔王と姫騎士団長 -神々の祝宴- (B’s‐LOG文庫)

子守り魔王最終巻。ちょうおもしろかった。
弟が周囲に超迷惑をかけつつ自分もぼろぼろになって、兄が尻拭いをしたり走ったりやっぱりぼろぼろになったりという3巻ですね分かります。「『太陽争い』ってなんぞや」にえらいときめいた。やべー。神話はロマン。
《翡翠を纏う貴婦人》が超美形だった。深いスリット! 深いスリット! ほんの二千発!
あと王妃がようやくデレた!

副長の頭を撫でる前振りとか落としどころが「拙者不器用ですから……」感があった。このひとかわいいなあ。
祝・結婚とか思えば一点トラロックをおとすべく狩場に早変わりとかちょうわらった。焼☆鳥!

最後の台詞のあと、脳内では暗転→エンドロールへという感じだったな。とても劇場版。

「肉切り包丁で戦う肉屋の娘」の話が気になった。それミンチミンチミンチ!の系譜だよなあ……。

毒吐姫と星の石 (電撃文庫)

国に捨てられ世界を呪った姫君と、夜の王に祝福され異形の手足を持つ王子の恋のおとぎばなし。
デビュー作ミミズクと夜の王の続編。

占の国ヴィオン。
エルザが生まれた時「彼女の誕生は凶兆である」という天啓に従い産まれてすぐ下町に捨てられることになった。
10数年経ったある日ヴィオンに再び凶兆のしるしが現れ、エルザは下町から罪人を捕らえるようにして連れ戻され再び天啓に従い今度は「ヴィオンの姫君」として聖騎士を擁するレッドアークに嫁がされることになった。
レッドアークの王子クローディアスは、夜の王に祝福された不気味な肌の色とあざやかに彫られた文様の隠すことなくエルザを出迎えた。

エルザをつれまわすオリエッタちょーつよい。オリエッタちょーかっこいい。
オリエッタのために「鳥篭の姫と聖剣の騎士」が掲載されてる電撃文庫マガジンを買おうと思います。
クローディアスとオルデルタの対面、あとエルザの乱入のシーンが好きだ。

著者近影を見てこうぎょくさんとべにたまさんは同一なんだなあとしみじみ思う。ひじつざいこうぎょくさん。

「呪ってやる。呪ってやる呪ってやる呪ってやる! 魂のすべてをもって呪ってやる! この毒吐きの名にかけて!! 星よ落ちろ、光よ消えろ、命よ絶えろ!! 占い狂いのこの国は、業火に焼かれて生きた地獄に成り果てればいい!!」

(P13)

クロノ×セクス×コンプレックス〈3〉 (電撃文庫)

小町はどうにも俺妹の麻奈実っぽい。おばあちゃん女子。「家」っぽい子だなあ。
今回はついに朔太郎とミムラがエンカウント。ミムラが随分とぶっ飛んでいる女子であった。
アシュトンを黒っぽくするとミムラになるのか。

ミムラ×三村も美味しいですが9時間前のオリンピアと9時間後のオリンピアの戦いも素敵です。
「あなただって9時間前に踏み台にしたんでしょ」のあたりはなんかこう、既視感を感じたんだけどこれはあれだ。
実写版タイム・リープの「明日あなたがそう言ったのよ」的なものだ。

タイムトラベルロマンスがごりごりあとがきであげられていたけど、前に出たアンソロジーでは不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫)が面白かったな。

いやしかし小町関連まじ過酷。

お家賃ですけど

個人的なmixi日記を再構成しネット上で連載、さらに加筆を加えて書籍化の流れ。
まだ男だった時から海外で手術して少しあとまでで、時期的には平成14年春から平成19年春まで。
牛込の加寿子荘での日々。この加寿子荘というのがすごい。風呂なし(部屋によってはあり)玄関・ポスト共同。
住所表記は「2階奥」
はじめて能町さんのイラストなし1な本を読みましたがこれはいいなあと。

  1. というかnot漫画 []

“菜々子さん”の戯曲  小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)

スクールカーストな1巻とうってかわって高校生編は青春ミステリの様相。
高校に入学した宮本剛太はある出来事で"菜々子先輩"と出会い、そのまま菜々子先輩所属の映画研究部に入部する。雰囲気は米澤穂信の「古典部シリーズ」に小佐内さん1が混ざっている。みたいな。
映研つながりで愚者のエンドロールを思い出すなどした。
「シー・ムーヴス・シー」はまじ「心当たりのあるものは」っぽい。そして若草ひかるがりせちー2で再生された。
「菜々子さんの陰謀」は絶賛続投中ですが、年相応な可愛げもある女の子になっていました。

  1. 小市民シリーズ []
  2. P4の登場人物。アイドル休業して田舎の祖母宅へ []

氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜 (コバルト文庫)

三浦しをん帯にクマーされたんですがこれは面白かったです。
表紙イラストは種村ありなっち以前の90年代りぼんを思い出す懐かしいあれだけど、中身はふわふわしたものなどなくルチア風だった。

主人公はシュタイン帝国皇帝のエドリックと7番目の妻にと皇后に選ばれた地方伯の娘アイリス。
語り部はふたりが歴史の一部になってから史料上から2人をうかがう350年後ぐらいの人、みたいな感じで。
ディカプリオ主演のタイタニック1を思い出す冒頭である。
結末がまず知らされる→エドリックとアイリスの現在→歴史や側近の手記や手紙上に残る2人の当時、当時より少し未来→2人の現在→歴史に〜→2人の〜の繰り返し。
未来の描写に対してどうしてそうなった(゚д゚)と読み進めるのが楽しかったなあ。

読んでみたい話はルイのその後とヴァイオラかな。
とても面白かった。続編にしろ新作にしろ新しいのが出たらまた読もう。

  1. の冒頭 []

フォーチュン・オブ・ウィッカ2  タロットは初恋を告げる (角川ビーンズ文庫)

相棒最強である。もえた。

七聖守護物対策室の面々は招待を受けてヘヴンリーパレス主催の都市再生式典に出席することになった。
ヘヴンリーパレスはたいした災害を受けたことはない富裕層が屋敷を構える場所だが、「落日の礼拝」など大きな災害を受けた地域への支援活動を行う人々への記念式典が年に1回行われる。設立当初から注目を浴びてきた対策室への興味と、利用できるものなのか邪魔になるのかの判断をつけたい周囲の思惑が今回の招待に繋がっている。

幸運を引き寄せるアイリと凶運を引き寄せるハイヅカ、その吉凶は望む望まざるとは関係なくふたりに降り注ぐ。
相棒なんて聞いてませんよとか人間守護物とか冗談じゃないですよとか言ってたのに、一緒にいるのが当たり前になってるあたり非常に微笑ましい。この辺がじっくり読めたのでわたしとても満足。

フォーチュンオブウィッカ2がもたらした副産物としてはストロボの赤を再読したい。プロミネンスバーストと呼ばれるようになる災害のせいで多数の死者を出した都市で、追悼式典が行われる日の話。

でもやっぱりハイヅカの制服は♂ハイプリっすよね。
あと上条さんキャラらしくちゃんと「不運」にも原因があるということで、アイリの過度の幸運もどこかから来てるんでしょう。幸福量保存の法則とかちらっと思い出しました。

ペンギン・ハイウェイ

小学校4年生の「ぼく1」の街に突然ペンギンが現れた。
ぼくはウチダくんやハマモトさんと一緒にペンギンや歯医者のお姉さんの研究をする。

ペンギンはなんかSF心をくすぐる生き物なのだろうか。不思議生物ペンギン。
ペンギン・サマーとかを思い出す。

そういえば何かのエッセイで「ノートはすごい。いいノートがあればいい小説が書けるような気がする」とかモリミーだったかがasta*でノート愛エッセイを語っていた。「ぼく」もノートを片手に研究内容や知ったことや実験結果をもりもりと書いていた。ノートは強い。

「世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいる」

(P205)

「アオヤマ君はスズキ君にも怒らないんだね。」
「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心が大変平和になるんだ」
「ぼく、アオヤマ君はえらいと思うけども……でも、あまりそういうことを考えるのはよくない」

(P48)
  1. アオヤマ君 []
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