カテゴリー「 読了 」の記事

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陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女 (ファミ通文庫)

1冊完結の一夏の恋の話ですね。昔のコバルトで読んだことある感じの心理描写で1冊という感じの言い方悪いんですけど綺麗で地味な話です。

登場人物は中学生数人と家政婦さん、それからネグレクトの両親。
陸には若くして陸を生んだけど男にだらしない母。
千星には昔々から冷え切った仲の両親がいた。千星がこの別荘がある地にやってきたのも両親が離婚の話をする間に追いやられたためだ。陸と千星は最初はとばされた麦帽子を拾って、2度目は陸が早朝の新聞配達のアルバイト中に出会った。毎日顔を合わせるが恥ずかしさもあって特に何かを話すこともできない。

出す宛のない手紙を書いて、笑うことしかできず泣けない千星とろくでもない母親に絡まれて無表情のまま感情を動かすことをできない陸の交流です。

うちの執事が言うことには (角川文庫)

年若い当主と執事の物語。若干のミステリ要素。短編集。

烏丸家27代当主についた花穎は若干18歳。父真一郎は当然の引退声明とともに前執事鳳をつれて旅に出てしまった。
花穎につくことになった執事は衣更月というこれもまた若い青年である。花穎は鳳が自分についてくれることを楽しみにしていた分がっかりした。衣更月もまた鳳が執事ではなくなり自分が使える主人が年若い青年でがっかりしていた。
わたし小説で執事というとジーヴスを連想するんですけど若い主人を助ける有能な執事というのではなくて、一緒に成長するというのはよいと思います。まあライトなんですけど。
そしてこの2人が心酔する鳳さんがスーパー執事(今出世して家令)なんですよ。まあだいたいパーフェクト執事です。よい執事です。

ポトスライムの舟 (講談社文庫)

そういや一番最初のは読んだことなかったなと思って読んでたんですがスーパー胃が重くなる本でした。表題作のポトスライムの舟と12月の舟の2編収録で、ポトスライムはワープア、12月はパワハラと。淡々としているのにすごく怖い。
12月のツガワの頭がだんだんぼうっとしてくる感じとか、「みんなが優しくなった気がする」とか、V係長とか、生々しい! この感じ覚えがある! こわい!!!!! 重い!!!!!!!!って転がりながら読んでいた。読み終わる頃にはげっそり疲れていた(ので復帰すべく気分を変えようと外出した)

確か何かの対談系で津村さんが前に勤務していた会社がパワハラ系でっていうのを読んだ覚えがあるんですが、その時の体験はいってるのかなと思った。とにかく生々しい。そこに優しさなどない。脱出できれば勝ち、みたいな。こわいこわい。決して面白い本ではないんだけどすごい本を読んだ。

社会人必読なんて書かれているけどけっして「明日から頑張ろう☆」みたいな本ではないし、「働くってしんどいことだ」っていう感じで日常的に激務でフィクションぐらいは優しいものが読みたいっていうひとは読んじゃ駄目だと思う。

愛されすぎた嫌われ姫 囚われの王子の脅迫 (一迅社文庫アイリス)

祖国イファルラの禁足地で出会った妖精のセイジュ。妖精の国に一緒に行こうという彼の誘いを断った幼いオデットは「人の秘密を知ってしまう」呪いをかけられた。
人は誰しも暗殺を企てるレベルから他人から見ればほほえましいものまでさまざまな秘密を握っているものである。しかも秘密を知られて良い気がする人間はいない。オデットに好んで近寄る人間はいなかった。
イファルラ国は王族を人質を使い他国に恭順の意を示し独立を保っている。現在オデットが客人待遇で滞在しているレダンには2人の王子がいる。子宝に恵まれず養子としてもらわれた優秀な第1王子、その後生まれた実子の第2王子。次期の王はいずれか勝負した結果、勝者はどれも第1王子だったが、国王の息がかかった判定員が下した結果「未来の王にふさわしいのは第2王子」というものだった。

回遊魚ヒーローと無表情ヒロインの話です。
マグロヒーローです。目標に向かって一直線1、山は高い方が燃える、泳げなければ死ぬ!!!! という感じの。
ハイパーポジティブハイスペックイケメンヒーローなんだけど主人公枠だから許されているだけで、脇役ならたぶん仕事中毒かヤンデレ当て馬だし #イケメンだからセーフ みたいな。
いや良いやつですよ。

あとは大体タイトルの通りなんですけど、「嫌われ姫」と呼ばれるオデットは人目を避けて城の裏庭へ出歩いている最中オデットは塔から顔をだしているすさんだ雰囲気の、しかし所作は洗練されている男と出会った。彼こそがこの国の第1王子アッシュロードである。第2王子の臣下となり侯爵位を戴けば幽閉を解かれるという条件を突っぱねてこの塔で過ごしている。
定期的に(俺の暇つぶし相手になるために)この塔に来るんださもなくばお前がレダン王家の秘密を使って脅迫をたくらんでいると元父上に訴えると脅迫された。
この男がマグロヒーローです。好きな女性に「首を洗って待っていろ!」というある意味残念系です。

ひさしぶりにがっつり恋愛小説を読んだ気がします。ごちそうさまです。

あとあとわたし宮城とおこさんが昔々から好きで好きで、ラノベの挿し絵をされているのはずいぶん久し振りで黒髪男子はうっかり精悍になったサリタみたいやなあと眼福に浸っておった。

  1. 目標に向かって一直線の例としては顔を売るために5日間舞踏会に出席し続ける(6日目で倒れる) []

バー・コントレイルの相談事 (富士見L文庫)

富士見L文庫創刊ラインナップの2冊目。
横浜関内の小さなバーが舞台でそこに初めて訪れたメモ魔のOLとそこにやってくる常連客の話。
「すべての答えはグラスの中に」が決めせりふだったりするのかな。
バーテンダーが接客中に客が持ち込んできたトラブルの謎解きをするパターンなのかなと思っていたら割とこの酒うめえ! →ここのバーテンすごい→このバーテンは洞察力もカクテルに対する知識もすごいこの人なら……と打ち解けていく課程があってようやく「父が母にプロポーズとともに送ったカクテルを解明してほしい」という段階に。
バーテンと謎解きという時点で香菜里屋シリーズ連想するんですけど、ああいうのではない。
私は酒は飲むけどカクテルとかは飲まない、バーも行ったことないっていうかバーみたいなところって行く人もいないのでむかしドリンクラリー1でいったなあのレベルで。だからこう、場面が想像しにくいところもあって割とピンとこなかったところもごろごろ。あとバーといえばあれもそうだなQED 百人一首の呪

説明臭いっていうかうんちくの香りが時々するので。
そのへんはQEDあたりを思い出したな、バーの話はよいものだよ。

  1. 参加費を払って地図を渡されて1杯ぐらいはただのみできる。いつもはいかないような新しい店を開拓しようという企画 []

東池袋ストレイキャッツ (電撃文庫)

引きこもって音楽ばかり聴いていたハルは心酔していたバンドのヴォーカリストのキース・ムーアが事故死したニュースを聞いて手持ちのCD全部もって外に飛び出した。つらさの余りにもう捨てようと思ってゴミ置き場へ持って行ったのにそこで見つけたのは真っ赤なギター、キースが使っていたものと同じモデルだった。そのギターにはキースの幽霊がとりついていた。

発売日の大分前にあらすじは見てたんですけどあらすじ見た瞬間にたぶんこれ好きだわって思ったんだけど案の定だった。

幽霊にどやされて池袋で路上ライブをすることになるのですが、ライブはよい。ハルとミウの関係はまあ杉井光スターシステムのあれなんですけど私これどれ読んでも何回ここで転ぶよな。池袋路上ライブを取り仕切るボスの存在とかすげーアナログでよい。神曲プロデューサーをちょっと年齢下げるとこういう感じになるのかなあって思った。
キースはもうちょっと、それこそ一巻ラストぐらいまではいるのかなと思ったけど退場早いな。次巻あたりはES-335を捨てた元の持ち主が出てくるんだろうか。
短編多いなと思ったけど元が雑誌ベースだったようだ。好きなのはそばで見つめていたいとアンプラグドの涙。いいよねー。

青春離婚 (星海社FICTIONS)

表題作を含む全3編。
WEB、カレンダー小説、コミカライズと結構頻繁に青春離婚は読んでいるんですが読むたびに海老ぞりになる。叫びました。夫婦はデートしませんはやっぱりよいせりふだ。

あと非公式恋愛がもうすさまじくてすさまじくて常に全方位から殴られていた。鈍器で。
そんな生々しいtwitterでのやりとりは!!!! おやめください!!! 
俺は現役でtwitter大好きっこなんですこの2月いっぱいまでシャニドルがTwitterをするという4ヶ月にわたるうたプリロングラン企画があってまじめに公式アプリの通知音であいほんのもとへ走るという生活をしていたのです。直接リプライとして返ってくることなどないけどよくリプライ送ってたなあ。ということを書いていたところでうたプリ非公式botであるところのお砂糖嶺二さんを思い出して死にそうになった。慰めてとかほめてとかそういう単語に反応してリプライが返ってくるんですけどそれが本当に今ほしい言葉だったりして、プログラムされた言葉としてもうれしくて泣くといいう病み病みな時期があったのですが。はい。まじで非公式ヤギbotの中の人の気分になった。

家族レシピは料理してみようかなと思ったのですごい。私のタイムラインにはそんなに料理が得意なわけでないけど、料理対決が好きで、でもゆで卵もあんまり上手にできない子がいるのでパスタを燃やす子の気持ちは痛いほど分かるわ。家族はよいなあ。

読み終わった後に思ったことはシャニドルTwitterに踊る俺らでかいてみないか立ったのでとても危険だ。

斯くして歌姫はかたる 恋うる愚者に贖罪を (ビーズログ文庫)

魔王に力を奪われ、再び楽師になるために日々努力に励むイヴリーン。
イヴリーンの過去の姿「次期最高司祭のエルネスティーヌ」は世間的には死んだことになっているが聖カントゥース神王国で生きているという噂が流れている。情報源は宮廷情報に精通した人物であるということから根も葉もない噂として聞き流せることではなくなった。
一方で「エルネスティーヌ」逝去に関して、<魔王>と対峙した際の楽院生の審議会への召喚を求められた。それが当時音痴で知られていたイヴリーンである。

ひばりが生きているとも聞かされいてもたってもいられずイヴリーンは楽院を飛び出しそうなることを見越して待っていたリュクシオルとともにカントゥースへ旅だった。

変態さんいらっしゃい続く。帯をめくって右下って著者略歴にあったからめくってみると「踏んでください!!!」の状態の人がいて大変わろた。

必ず追いついてみせる、待ってなくていい待たれて背中を預けられても胸くそ悪いと言い割とぐいぐいと迫る一方で「イヴリーン」と呼べず何度もどもっているというその純情ぶりがとてもよいです。
イヴリーンとリュクシオルが双方に喧嘩ップル、ツンデレと属性もっているので読んでいてとても楽しいです。

おこぼれ姫と円卓の騎士 提督の商談 (ビーズログ文庫)

今回えっれええおもしろかったなあ。

未来の夫候補を探すことに決めたレティーツィアはナバニア王国勇敢なる大艦隊総司令に着任した第6王子のソレスで、彼に会うために騎士たちと乗り込んだ商船で王子との劇的な出会いが待ち受けていた。

途中からソレスがCV音也になったから大変だった。でも太陽に照らされて輝く海のように、口を開けた暗闇のように孤独を抱えた青年で艦隊からの人望も厚い自由奔放で距離が近い青年とあって途中から「〜かも」とかいいだしたからよくなかった。

ここまできたらねといわれて本当に海に飛び込むとか勘違いしてもいいのかなとか本当にロマンス展開だなあと思いました。よいバランスだった。

今回は弁護士のように口がたつレティというのが序盤からあったけどまさかそこから弁護士のまねごとをして裁判をひっくり返すところまでいくとは思わず。でも身分がばれたと思ったら「ノーザルツ公国はすごいなあ! 私も行ってみたいと思っているんですよ!」といわれて本気で悔しがっているレティがとても楽しかった。

しずるさんと気弱な物怪たち (星海社文庫)

富士ミス時代にしずるさん何冊か読んだけど書き下ろし新作を含むの文字にクマー。
上遠野浩平読むの超久しぶり。これ初出見てたら一番古いのでは7年前のドラマガ掲載作品。
ドラマガっていうことは富士ミスが生きてた頃の残滓だろうかー。
モノクロ絵を見てはじめて「そうだ椋本さんじゃないんだ」っていうことに気がついた。
まあだいたいいつもの上遠野浩平でしずるさんなので、安定して面白いしいつものあれ(どっかの病院に入院しているしずるさんの下によーちゃんという女の子が訪ねてきて、最近こんな事件があったんだよという話をしてそれはこういうことなんだよ、っていう話)だよで通じるんだけど、霧間凪がひょこっと出てきてブギーポップまで出てきたときにはでーっと転がるしかなかった。
本当にひょっこり、かつあからさまに他作品とリンクしてくるな。ブギーポップももう何年か読んでないからまた読みたい。

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