タグ「 野村美月 」の記事

31件の投稿

晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と (講談社タイガ)

タイガ創刊したはいいもののひまりさんはどこへいっても在庫がなくてこの前ようやく見つけた。
大学生の春近は幼稚園の頃からさかのぼってもずっと決まって好きになる相手は人妻だった。眠れない冬の夜、公園に散歩に出かけて人妻のひまりさんとサモエド犬の有海さんと出会う。
「今日は○○の日です」と恋と日常の謎ミステリ。

3話がすごく良くて、好きで好きでたまらなくなると、あとは飽和してしぼんでいくだけでしょうと語る大学の友達の彼女の話がとても刺さる。

あんなに大好きで、憧れていて、胸をときめかせていたのに、いつからその想いは薄れて消えていったのだろう。
好きでたまらないものへ一途に向けられていた情熱がさめてしまうことは、あたりまえにあることなのだ。
決して、薄情とか移り気というわけではなく、生活してゆく中で、ごく自然に、あたりまえに、それは残酷な事実で。

(P189)

薄れたり壊れたりするかもしれないけど百年分の幸せのために唇を合わせるんだっていうあれな。

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女 (ファミ通文庫)

1冊完結の一夏の恋の話ですね。昔のコバルトで読んだことある感じの心理描写で1冊という感じの言い方悪いんですけど綺麗で地味な話です。

登場人物は中学生数人と家政婦さん、それからネグレクトの両親。
陸には若くして陸を生んだけど男にだらしない母。
千星には昔々から冷え切った仲の両親がいた。千星がこの別荘がある地にやってきたのも両親が離婚の話をする間に追いやられたためだ。陸と千星は最初はとばされた麦帽子を拾って、2度目は陸が早朝の新聞配達のアルバイト中に出会った。毎日顔を合わせるが恥ずかしさもあって特に何かを話すこともできない。

出す宛のない手紙を書いて、笑うことしかできず泣けない千星とろくでもない母親に絡まれて無表情のまま感情を動かすことをできない陸の交流です。

“空蝉

教会で出会った空という女性が身ごもっているのはヒカルの子ではないか。
「子ども」と「母」、ひいなの過去、笑えない是光と泣けないヒカル。あの二人が本当に「親友」してていいなあと思います。自分はもう変われないと思っていたヒカルが変わっている、というかもう死んでいるので本当は変わりようがないんだけど。
ここまで来ると冒頭のお葬式のシーンが本当に。ヒカルは自分では死んでると思ってるけど本当は病院で寝てるだけで生きて再会できることはないんだなあって。こんなに仲良くなったのになあ。

源氏物語とはいえほんまにヒカルと義母関係持ってるのか……

“朝顔

6冊目にしてようやく折り返しとのこと。真夏の話です。

五ノ宮の当主織女が書いた文字には力があるという。織女が贈られた字を飾ることでお墨付きをもらうような、そんな勢力図を塗り替えるような力が。
帝門の当主前妻、一朱の母弘華を支持する薔薇派と後妻藤乃を支持する藤派による帝門後継者問題について、朝衣は織女の字がもらえるように日々朝顔が咲き誇る五ノ宮の屋敷を訪れ孤軍奮闘していた。
朝顔というとサマーウォーズが刷り込まれているあたり映像の力はすごい。

朝ちゃんは本当は可愛い女の子なんだというのが1冊かけて語られるわけですよ。可愛いな!
病弱の人に飲まされるお茶は大抵危ないというのは直感的に思い知る。すごい。ダチュラでガタッとなったわたしの話はやめるんです

これだけ女子に好かれてるのになあ! ハーレムとは思えないあたり一人しか見えてないせいかな。

庭に咲き乱れる、朝顔の花。
誰も目覚め朝のうちから凛と花弁を広げ、少しずつ萎んでゆく。
目にあざやかな青、高貴な紫、官能的な白。
清楚で気高くありながら、どこかいびつで、とげとげしい、グロテスクなものまでそろった、朝顔姫の--------。

(P189)

“朧月夜” ヒカルが地球にいたころ……(4) (ファミ通文庫)

ハーレム皇子ことヒカルが幽霊になってヤンキーキング是光に憑いた話4冊目。
ヒカルの兄の婚約者、月夜子が「ヒカルの大事な花を散らさないように見張っていて」ということばに日舞研に入部する一方で、葵からは彼氏になってくれといわれ、帆夏からは大変に気にされている。
こう書くと是光ただのハーレムの主次期候補だなあ。大丈夫です奴は真面目な子です。
帯では学園ロマンスと銘打たれているものの、重い展開が割とあるのでとても楽しいです。
今回のヤンデレはすごかったな。今までにあんまりない方向だった。
いやでも野村美月だからまだ更新してくれると信じている。

“若紫” ヒカルが地球にいたころ……(3) (ファミ通文庫)

ヒカルの心残り3人目、若木紫織子(9)小学校3年生。
祖父と二人暮らしの紫織子は外見よりもずっとしっかりしていてしたたかな女の子で、是光は油断しているうちに弱みを握られる。渋々彼女の面倒を見ることになったわけだがヤンキーキング是光、今度はロリコンと勘違いされ方々で酷い目に遭う。

じいちゃんと孫とかあかんで! すごく切なくなる。是光とふたりのしーこは超生意気だったのに段々可愛くなって子どもゆえの不自由さで段々切なくなる。うん知ってるヒカルって最初からずっとそういうシリーズ!
帆夏はいっぱいいっぱいで不憫で可愛いねえ可愛いねえ。

“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)

学園の皇子ヒカル、ただし亡くなって現在は幽霊となって是光にとり憑いている。
ヒカルの心残りをはらすと約束したものの、その心残りの相手はひとりかと思えば何人もいるようだ。
ヒカルが次に示したのは古びたアパートに引きこもっている内気な少女夕雨だ。
ろくに太陽を浴びていないせいで体はひどく白くて儚げで毛布をかぶり世界を遮断している。
閉じた世界で「ここにいれば幸福なの」という夕雨。ヒカルは彼女にした約束を是光に教えることなく二人で一緒に考えて欲しいという。

文学少女でいうと蛍。花の名前を高らかにうたいあげるヒカルが好きです。
是光がだんだん恋に落ちていく流れがよいですね。とてもきゅんきゅんする。
ヒカルは是光といるととてもふつうの友達っぽくて忘れがちではあるんですが1いずれはもう喋ることができなくなるひと、もう砂時計は落ちきっている人なんですよねえ。切ない。

  1. 今回はそんなに出番多くなかったように感じますが []

目つきが悪くて姿勢が悪くて可愛げや愛想のないヤンキー面をした是光のこれまでの人生は誤解の連続だった。
高校デビューしようと名門私立に入学できたはいいものの、入学式の日に事故に遭い1ヶ月休んだ。登校した頃にはもう「ヤンキーキング」の噂が広まりきっていた。

それからしばらくして、是光は同級生の告別式に参列していた。学園の皇子と呼ばれていた帝門ヒカル、是光は登校してきた日に彼に頼みごとをされていた。頼みごとの内容を聞く前に彼は亡くなってしまったが、告別式から帰宅すると男の声がどこからともなく聞こえることに気がついた。是光にはヒカルの幽霊がとりついていた。
ヒカルの心残りを解消するために是光はヒカルに協力することにしたが、その対象「葵の上」左乙女葵は是光を不審がり、ヒカルのことを嫌いまったく話を聞こうとしない。

幽霊のくせに実にお気楽なヒカルがいいな! いくつも隠し持ってる感がな! とっかえひっかえやらかしてるのに葵だけは大事に大事に壊さないように扱っててかわええなああとおもった。
是光はヤンキーに間違われてばっかりなのと家庭事情があれなので若干ひねくれてるけど根は素直で、はじめての友達を大事にするとてもいい子だなー。

観覧車でのシーンがちょうせつないなー。しんみりする。

“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)

挿話集もこれで終わりかー。段々終わりが近づいてくるなあと思ってしょんぼりする。
ななせの話と百年後と見習いの発見がよかった!
いろんな味が楽しめるのはよいな。

“文学少女”と恋する挿話集3 (ファミ通文庫)

なんかどれもラスト付近がすごくせつなかったり締め付けられるような痛みを伴う話が多いなあ。好きだ。
炎を上げる牛魔王と恋しはじめの女給はどっちもラスト付近がやべえ! 胸がぎゅっとなるよ。
そして傷ついた紳士と穢れなき歌姫はこの先何が待ち受けてるのかと思うとすごくしょんぼりだ!
仔鹿ちゃんはなにかを思い出すなあと思ってたらあれだな、鳥篭荘のキズナだな。
千愛の未来の話が好きだ。流人がただのヤンデレ→ヘタレのニートなのに格好良かったな。

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