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メグとセロン〈4〉エアコ村連続殺人事件 (電撃文庫)

夏休み、新聞部合宿のためジェニーの家のリムジンで富裕層向け保養地エアコ村へ行くことになった6人。
セロンがよくがんばったよ! メグの家に連絡網を回せなくてラリーにお願いしていたあのセロンが2人きりで会話を成立させているよ!
あと今回はニックの出番がちゃんと確保されてたのでニックよかったなーとかおもった。P221から「ホアタァ(゚д゚)」という声がした。ラリーとナータが美味しかった。3年前のジェニーは大変可愛かった。
4巻は多分今までで(メグセロの中では)一番おもしろかったとおもう。

合宿はまだ続きそうな雰囲気だけどあとがきから見ると何か次出るのはメグセロではなくて、謎の新作な気がする……

「バイクだったんで、結構遠くまで行けたんだが……、あのやろう、やれクッキーだアイスだと、店を見つけるたびに後ろから腹を力一杯締め付けて止めさせやがる。そして食べる。いったいあいつの胃袋はどうなってるんだ? 見ているこっちの気分が悪くなった。俺はやっと分かった——。あいつは宇宙人だ」

(P113)

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)

鉄道縛りで怪談話の短編集。中には三途の川を渡るのが列車だったり百物語だったり色々。
表題作の「赤い月、廃駅の上に」が好きだ。赤い月が一番雰囲気がすきなのだ。
次点が黒い車掌。

「ダイダイって……ああ、橙色の橙ですか。鬼月というのは、鬼の月?」
「そうです。恐ろしげな名前でしょう。邪気を招くというて、縁起がよくないとされる月です」
「悪いことの前触れですか?」
「よろしくないものがくるので、家の外に出るなとか言われています。古い迷信ですよ。それでも田舎のことですから、気にする人もおります」

(P205)

しあわせのねだん (新潮文庫)

2回目。軽いエッセイが読みたいときに備えた。
お買い物エッセイというかお金を使うことに関するエッセイ。昼ご飯代とかかばんとか理想の財布の中身とか。

同い年の友人に、何か買う予定のもとくべつないふつうのとき、財布もお金をいくら入れるのが常識か、訊いてみた。彼は、年齢を四捨五入した数×1000と明快な答えを返した。27歳なら四捨五入して1000をかけて30000円。21歳なら20000円。

(P68)

むりだーーー!とおもった。多い時で1万ぐらいだな。
ちょっと多めに入れてると本屋に落としてくるからな。たまに小銭しかなくて焦る。

そうして三十代も後半に近づいた今、思うのは二十代のときに使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである。(略)二十代すべて、私と正反対に、装飾系にお金を使った人がいるとすると、その人は確実に装飾選びがうまいはずである。(略)装飾や映画や美食に比べて、安居酒屋で飲むという行為は、まったく無為である。センスがよくなるわけでも舌が肥えるわけでもない。でもこの無為な時間が、今の私を助けたりもする。そのことをときどき実感する。

(P175)

私本にばっかばっか使ってるけどいつか助けられる日が来るんだろうか。なんかの足しになる日がくればいい……

残される者たちへ

ある日方野葉小学校同窓会の知らせが届いた。
もう既に廃校になっているが、方野葉小生の多くは方野葉団地の住人だった。
川方準一(37)は同じ小学校卒の人間が一同に会するその会に出席することにしたが、幹事「押田明人」という名前にまったく聞き覚えがなかった。別の学年の人物だと思っていたが実際に行ってみて、同級生の話を総合すると自分と押田は(途中で転校したとはいえ)1年半のあいだ一緒のクラスで過ごした、しかも昔の住んでいた家の向かいの住人だという。生まれたときからのお向かいさんだっただろう押田のことをまったく覚えていない。
準一は同じ団地の2階下の住人だった未香(35・精神科医)と一緒になくした記憶を探しに方野葉団地へ向かった。方野葉団地には現在未香の患者である芳野みつきがいるのだ。団地に呼ばれるかのように2人は団地へと向かった。

あらすじは未読でしたが、辻村深月が帯文を書いていた覚えもあったので最初のほうを読んで「冷たい校舎の時は止まる」みたいなミステリなのかなーと思ったらそうじゃなかった。中盤までは不吉な雰囲気がとても好きだったのでえーってなった。
終盤に触れてるので一応隠しします。

なんかこう、超不可能な密室殺人! 犯人はドラえもんのようなものがどこでもドアのようなもので乱入して射殺!これはこういうものなのでこれ以上の説明はしない! みたいな。

もうちょっと不思議な話なりの説明がなされるんだと思ってました。

思い出した。同じ棟の二つ下の階に住んでいた下級生の女の子。僕のことをそう呼んで慕ってくれた女の子。
お世辞抜きできれいになったその顔に、確かに当時の面影を見つけることができた。それなのに。
会場でみんなと談笑している押田明人の顔が浮かんできた。
どうしてあいつが思い出せないんだ。

(P28)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

下巻を手に入れるのを待って読書解禁。確かに上下まとまってから読むので正解だった。
小佐内さんがいいドSです。

とある秋、木良市内で起こる放火事件とそれを追いかける新聞部(瓜野とか堂島健吾とか)
小佐内さんと別れて以来彼女ができて週末ごとにデートを楽しむ小鳩くん
デートそっちのけでバス内で前に座っている二人どっちが先に降りるのかとか推理を楽しむ。
小佐内さんも彼氏ができて甘いものを食べ歩いたり暗躍したりしている。「暗躍している」以外のなにものでもないよなあと思う。マロングラッセと栗きんとんの例えにとても納得した。
よいものを読みました。ごちそうさまでした。

What are little girls made of? (ねえ、小佐内さんって、何でできてるの?)
Sugar and revenge (お砂糖や復讐)
And all that's sweets,(それから甘いものなにもかも)
みたいなものが降ってきたので元ネタはなんだとまず影響元を探して元ネタをみたらマザーグースだった。

小佐内さんは、甘いものと復讐を愛している。小佐内さんに手を出せば必ず噛みつかれる。なぜなら小佐内さんは噛みつくことが好きだから。
だけどその復讐は、セーラー服に機関銃を持って敵を皆殺しにする形では行われない。彼女は罠を張り、敵を落とし穴に誘って、落ちたその上から鉄の蓋をして復讐する。

(上巻P244)

「……あはっ」

(下巻P144)

神様のメモ帳〈3〉 (電撃文庫)

多分これが最終巻。
探偵とその助手、才能の無駄遣いニート集団と、冬の事件から色んなものをなくしたけどそれでも戻ってきた女の子の話。ぎこちないながらも日常に戻りつつあったナルミのもとに園芸部廃部のお達しが生徒会からやってきた。
生徒会長曰く、規約を改正して部活は6人以上とする・現在6人以下の部活はすべて廃部とする
生徒会監査委員3年の香坂ゆかりは生徒会長羽矢野薫子を止めてほしいとNEET探偵事務所を訪れる。
園芸部設立時の経緯と生徒の死亡事件。それに関わっているかもしれないとされたのがニート仲間のテツ。アリスとナルミは事件の捜査をはじめた。

アリスがデレたー!
一番の印象ポイントはここだった。アリス可愛いよアリス。
電柱をはさんだ敬語トライアングルはTRICKの刑事コンビを思い出した。あんな感じのシーンがあったはずだ。平坂組の面々はアホっぽくてとても好きです。あととっくに僕の気力はゼロだよ吹いた。

「たしかに、馬鹿なことなんだろうけど。でもさ、僕そんな風に割り切れないんだ。先輩が自分のことなんにも喋らないって言ったとき、すごく哀しかったし、事件と関係のないとこではこれまで通り楽しく馬鹿笑いして接するなんて、そんな器用なこともできない」

(P156)

生徒会の四散  碧陽学園生徒会議事録4 (富士見ファンタジア文庫)

生徒会的にはいつも通りの展開だったり外側が盛大に動いてたり。
深夏と真冬が可愛かったです。笑えるところは減ってきたけどこのシーンのためだけに読んでたよっておもった。

「じゃあ、人体の感覚機能について、一般的に五感と呼ばれるものを全部言ってみてください」
「そんなの、簡単だよ!」
会長はやっぱり自信満々だ。

「透視、サイコメトリー、テレパシー、予知、霊能力だよ!」

(P179?P180)

オデットと魔王の宝珠 (コバルト文庫)

お人好しの父が騙されて領地を騙し取られ生活の糧を求めて王都へやってきたオデット一家。
なんとか残った別邸と見栄っ張りな母の意向で貴族としての対面は保っているけど内職で生計を立てている。
貧乏貴族オデットのもとに数年に一度開かれるという名門アイゼンテール家の舞踏会への招待状が届く。当家の若様を親切にしていただいた御礼に、とドレスとアクセサリも当日の迎えの馬車も何もかも揃ってのお出迎えだった。
よい華やかさです。ちょっとシンデレラを思い出しました。
しかしオデットが玉の輿に乗っていく話では(今のところは)なくうまい話には裏がある系の物語です。
なんたって帯文からして「あたしの寿命を返して!!」
命の炎とかはちょっと落語っぽいなと。
キャラクター的にはレヴィローズっぽいなあと思いつつ、これは続刊が楽しみです。



「変人揃いの洋館アパートといえば鳥篭荘だな!」といってるときに「変人揃い洋館アパートといえば望楼館」という声があって手を伸ばしてみる。
すごく変だ!(褒めことば) 思ったよりずっと厚かったし、海外モノは不慣れなこともあり読めるかなあといざ読み始めてみるととてもおもしろい。
望楼館は24世帯が暮らせるように設計されていたが、住人を慄かせた「18号室の新しい住人」がやってくるまでは七人のだけだった。ぼく、フランシス・オームはどうにかして新しい住人アンナ・タップを立ち退かせたかったが、アンナ・タップは住人の心に入り込み、住人は追想にふけ語った。凍りついた時間は動き出し館に変化が訪れる。

凄く変なのである。変だけどおもしろい。

望楼館の住人は、少人数の風変わりな仲間だった。いや、ぼくらに共通しているのは同じ建物に住んでいるということだけだったので、仲間という言い方は正しくないかもしれない。ただ、ひとりでいる時間が長くなればなるほど人は気難しくなるものだから、長いあいだ孤独に暮らしてきたぼくらはどこか似通ったところがあったかもしれない。(略)彼らは自分自身から逃れたいと思っている。肉体からだけでなく、その過去、現在、未来から逃れたいと思っている。つまり自分とつながりのあるものはなにもかも、永久に忘れてしまいたいのだ。

(P15?P16)

我慢なんかできない! わたしを自由にさせて! わたしにさわらないで! わたしは生きている! 死にたくなんかない! そんなところに座ってないで、動いてよ! お願い。人間だってところ、見せてよ。フランシス、動いて。話すのよ。だれでもいいから!

(P455)

喋々喃々

食堂かたつむりに続く第2作。かたつむりよりこっちのほうが好き。しかしやっぱり雰囲気重視なんだな。
関係を気にせず読むならほんわかしたいい恋愛と下町の日常話。
実際は何でもっとどろどろしないのか不思議なぐらいの突っ込みどころのある小説だった。
かたつむりもそうだったし、これはもうそういう作風なんですと思うしかないのかも。

舞台は東京谷中。
アンティーク着物の店「ひめまつ屋」を営む横山栞はお正月のある日、父とよく似た声を持つ木下春一郎と出会う。彼は初釜に着ていく着物がほしいということでひめまつ屋を訪れたのであった。左手の薬指に指輪をしている男性だった。
栞は店で一人暮らしをしているが、父母は離婚済みで、父は再婚して山中で自給自足のような生活をしている。母は都営住宅で栞の妹花子と、異父妹楽子と一緒に暮らしている。栞はひめまつ屋営業を終えた後様子を伺いにいったりしている。

食べ物の描写がよいです。とり鍋天丼からあげ黒糖焼酎焼き鳥みつ豆お惣菜、食堂かたつむりよりよっぽど身近な食べ物が増えました。酒飲んでるところが地味に多いですね。「谷中はいいところですよ」みたいな描写もとても多いのでいつか行ってみたいなあと思うところでした。

しかしどうしようもなく気になるのは栞と春一郎の関係。浮気です。妻子ありです。
でも2人とも独身です、ていうか恋なんて初めてですとでも思うような初々しさ。やることはやりますが。
以下一応一応隠します。
春一郎本宅と谷中は別次元の空間みたいに春一郎の嫁の存在感が希薄。栞も春一郎も真面目な割には罪悪感的なものは感じられないし。最初は指輪は一応つけてるだけで嫁は実はもうお亡くなりになっているのかと思うぐらい早々に告白だった。
雪道嫁がはがきを持ってきたシーンで、名乗るまでは「ついに本妻が泥棒猫チェックにきた(゚∀゚)」とときめいたのに。最後は栞が春一郎と完璧に別れて新しい日々を送ることを決めるか、春一郎が離婚を決めるかの二択かと思ったのでえーーーそこで終わるんだ!って思った。

イッセイさんがiPhone使ってたから吹いた。
Twitter上の所持率が半端ないから実際の普及率がよく分からないがiPhone教は確実に存在すると思う今日この頃。ちなみに友達は9割ドコモです。

注文してからわずか数分で、見事な天丼が運ばれてくる。
「すごいボリュームですね」
「若いんだから、いっぱい食べろ」
どんぶりには、どこから食べていいのか途方に暮れるほどに、立派な天麩羅がこぼれ落ちそうになって入っている。海老、穴子、烏賊のかき揚げ、獅子唐。私は海老からかぶりついた。サクサクでカリカリの衣にくるまれた立派な海老からは、活きのよさが伝わってくる。しっかりと甘辛いタレと、とてもよく合う。箸で天麩羅をかき分け、ご飯も口に含む。
「幸せです」

(P157)
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