すげー面白かった。わたしが思うところの良いミステリというのは「うまいことだましてほしい(あわよくば世界がひっくり返るような感覚をあじあわせてほしい)」「そうかあれはそういうことかと膝を叩きたい」という要素がある物語なんですがこの「チュベローズで待ってる」はそれらをいい感じに満たしている。
2015年、就職活動に失敗した僕、光太は30社以上受けたがどこにも採用されなかった。ここが最後の望み、という会社からも不採用通知が届いた。就職浪人するか、バイトをするか。就職浪人するにしては家計が苦しい。母の体調も思わしくない。自分に残された道はどちらも不自由で八方ふさがりだった。光太は新宿の街の片隅で吐いていたところ関西弁の男に声をかけられた。その男が光太の人生を動かすことになるチュベローズのホスト、雫だ。
上下巻で、22歳と32歳。トータルで500ページだけど読みやすいというか物語の引力がかなり強い。ぐいぐい引っ張られていく。ホストって華やかそうな世界で結構湿度は高めな気がする……。割と王道は王道だと思う。けどすごい目まぐるしい展開。
上巻(就職に失敗してホストになった22歳)だけでもかなりすごいんだけど、下巻(32歳、10年後の話)もかなりすごい。上巻ものすごく引いて終わるからな。これ上下巻一緒に買ってよかった。だって23時に読み終わって電書にもなくて続ぎが気になって普通に死ぬぞ! 伏線が綺麗に回収され多可と思ったらもう一回角度が変わるのとかまじごちそうさまだ。
封神演義か! とかポケモンショックみたいだなとか、ブギーポップに出会ったからしょうがないとかいろいろ同じ箱にいれる本を考えながら読んでたけど、読後感的には昨日は彼女も恋してた&明日も彼女は恋をするかなあと思った。
あっちは割と呪いみたいな話だけどチュベローズは祈りみたいな話。
凄い本を読んだ!