カテゴリー「 単行本 」の記事

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壱里島奇譚

宮口翔一は退職願を握りしめていた。大学を卒業後商社に入社し営業として働いたものの実績は残せず、むしろ悪化させた。提出前に常務に呼ばれ熊本出張へ赴くことになった。
出張の内容は物産館で売られていた謎の「おもしろたわし」の正体について。

SFかとおもえばリテイクシックスティーンだった みたいな。いや青春物語ではないけど。
ファンタジーとか地域振興とか。話の着地点がよめない物語を読むのは楽しいなあ。

ツナグ

死者と生者を会わせることができる使者(ツナグ)。彼に依頼した人々の物語。連作短編。
アイドルの心得はリアルタイムに読んでうっかり転がされたわけですが、水城サオリはとても飯島愛だなあと思ったのを覚えている。これが発表された当時はまだ最近の人だったのにもう昔の人になってしまった。

親友の心得が「積荷を燃やして」で笑った。でもこれが一番好きだなあ。

家元探偵マスノくん 県立桜花高校★ぼっち部 (TEENS' ENTERTAINMENT)

これ将来は絶対ピュアフルで刊行されるなという感じの1冊。そんなYA作品。
SKET DANCEとか俺妹とか古典部とか連想した。
倉沢チナツ高校1年、入学早々食中毒で欠席→登校したころには既に出来上がっている人間関係。
いつの間にか「ひとりでいるのが好きな人」扱いされて立派なぼっちが出来上がりました。
昼ご飯をひとり中庭で食べていると優等生風の男子が通り、やたらと気遣い上手のマスノ君という彼は「ぼっちなう」のチナツを非公認サークルのひとり部長1が寄り集まった教室の紹介フライヤーを渡しました。

チナツが行った教室にいたのは全部で3人、チナツをここに誘ったマスノ君(探偵部部長/いけばな雪宝流次期家元) 西園寺さん(第二演劇部) 田尻君(戦士部) あとパソコンから参加の通称スカイプさん(架空生命体という設定)
マスノ君は出歩いては噂を集めて気になった事柄に首を突っ込む。千反田っぽい子なんですよ。

いや西園寺さんと田尻君が俺妹の黒猫を割ったようなキャラでな!
西園寺さんはプライドが高い子で素直じゃない感じで、反りが合わなくて演劇部は退部になる。
田尻君は覇王丸豹牙っていう名前の魔剣の化身設定の邪気眼君。脳内彼女もいます。
「ずっとあたしのターン!」とかちょうわらった。おもしろかったー。

  1. つまりぼっち部 []

木暮荘物語

築ウン十年、全六世帯、安普請極まりない安アパートに住む人々の短編集。
3年前に消えた恋人・晃生のことを気にしながらも並木を受け入れた繭の元に晃生が戻ってきた。どろどろ感とはあまり縁のない奇妙な3人での生活「シンプリー・ヘヴン」
繭視点では「美容師」設定のニジコの物語「嘘の味」
「喫茶さえき」の若夫婦の最初けだもの→草食へ→そして怪しい行動「黒い飲み物」
死が間近に迫っているにも関わらず性的に盛んな友人の姿を見てワシも一発……と思い出した「心身」
奇妙な柱の出っ張りとトリマー「柱の実り」
間男なう「穴」
穴の続き・よその赤ん坊を世話することになった「ピース」

好きなのは「柱の実り」と「穴」である。出張先ってどう見てもお勤めである。実刑である。高齢者専門は実在するんだろうか。世の中にはすごい産業もあったもんだ。

お家賃ですけど

個人的なmixi日記を再構成しネット上で連載、さらに加筆を加えて書籍化の流れ。
まだ男だった時から海外で手術して少しあとまでで、時期的には平成14年春から平成19年春まで。
牛込の加寿子荘での日々。この加寿子荘というのがすごい。風呂なし(部屋によってはあり)玄関・ポスト共同。
住所表記は「2階奥」
はじめて能町さんのイラストなし1な本を読みましたがこれはいいなあと。

  1. というかnot漫画 []

ペンギン・ハイウェイ

小学校4年生の「ぼく1」の街に突然ペンギンが現れた。
ぼくはウチダくんやハマモトさんと一緒にペンギンや歯医者のお姉さんの研究をする。

ペンギンはなんかSF心をくすぐる生き物なのだろうか。不思議生物ペンギン。
ペンギン・サマーとかを思い出す。

そういえば何かのエッセイで「ノートはすごい。いいノートがあればいい小説が書けるような気がする」とかモリミーだったかがasta*でノート愛エッセイを語っていた。「ぼく」もノートを片手に研究内容や知ったことや実験結果をもりもりと書いていた。ノートは強い。

「世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいる」

(P205)

「アオヤマ君はスズキ君にも怒らないんだね。」
「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心が大変平和になるんだ」
「ぼく、アオヤマ君はえらいと思うけども……でも、あまりそういうことを考えるのはよくない」

(P48)
  1. アオヤマ君 []

都会のトム&ソーヤ(8)《怪人は夢に舞う 〈実践編〉》 (YA!ENTERTAINMENT)

ゲーム「怪人は夢に舞う」が完成。創也と内人はテストプレイに栗井栄太を誘う。

裏表紙が笑いを誘う。そのセンスはどうなのか。
内人の脳内キャラなのにナオコさんがいいキャラになってきた。

今回のゲームは「自分の映らない鏡」を見つけるのが勝利条件なんですが、「何故自分の姿が映らないのか」
の謎の内人の推理が実にクラインの壷でありクリス・クロスだった。
確かにあれもリアルRPGなんだけどな!
そしてなんというアカシックレコード! 11章以降の面白さは個人的にすごくやばかった。
自転車レースのシーンとかもすごく好きだ。童心は大事。

はやみねかおるの作品も全部地続きなんだなあと読書メーターの感想を見て思った。
さすがに

ともだち同盟

神戸とかのあたり。電車がよく出てくる。少年とふたりの少女の物語。
弥刀・千里・朝日は「ともだち同盟」を組んでいた。最初は千里と朝日だけで、「同盟」といっても嘘をつくこと・秘密をばらすことを禁じているだけの緩いつながりである。

ある事件のためともだち同盟は終焉となるが、死者からの電話、呪いによりどことも知れない場所に迷い込むことになる。
1章読んでるときはちょっと退屈だなあという感じだったんだけど2章は好きだな!
「断絶した空間に3人以上」というのはときめくな。「死者からの電話」とかやばいな。
千里が好きだなー。
原典回帰ウォーかーズは脱落したがなんかベネズエラ・ビター・マイ・スウィートが再読したくなった……。

「わたしはいろいろなものを傷つけるのが大好きなんです。普通の人は大事なものをいつまでも綺麗な箱に閉じこめて守っていきたいと思うものらしいですが、わたしの場合は逆で、大事なものほど壊したいんです。そして自分以外触れないものにしてやりたいんです(略)」

(P91)

スットコランド日記 深煎り

WEB本の雑誌で連載されていた日記の書籍化第2弾。2009年4月から2010年3月まで。
今回でようやく四国遍路(しかも歩き遍路である。すげえ)満願である。しまなみ海道のほうは面白そうだった。
同じ地方でも西側はとても遠いのでまだ行ったことはない。

たびたび出てくるこの本が気になった。

放っておいても明日は来る— 就職しないで生きる9つの方法

ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算というからホータローと千反田か思った。
ホータローがマラソン大会の間たらたら走りながら「古典部の新入部員は何故急に辞めるとか言い出したんだろう」とかいうことを考えながら、新入生歓迎会から今までを思い出したり人との距離感を考える。
「大日向が辞めるといった理由」の千反田の予想がえらいかわいかった。

話の展開的には「ただ走るには長すぎる」と「とても素敵なお店」が好きだ。
「ただ走るには長すぎる」は遠まわりする雛の「心当たりのあるものは」っぽい。
好きだー。

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