タグ「 島本理生 」の記事

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アンダスタンド・メイビー〈下〉

綾乃は久しぶりに出てくる「女の子」「優しい」「友達みたい」だったので癒されたなー。
相変わらず黒江がなんだか放っておけない感じの危なっかしい子で、あの日送られてきた写真の詳細にわーーー(゚д゚)ってなる。両親共に大概である。
師匠の仁さんはいいやつだ。救われたような気分になる。

アンダスタンド・メイビー〈上〉

あられもない祈りとかよりは大分明るくて、でも明るいといっても壁井ユカコの「NoCall Nolife」ぐらい。
羽場先輩はかっこいい。いや今のところ浦賀氏が気になってるところです。

主人公は黒江という女の子で、話が始まった当時はまだ中学生。茨城が舞台。
でその黒江ちゃんが付き合ったり別れたりしつつ、新しい友達新しい彼氏新しい世界に飛び込んでいく話です。
すごく軽い話に見えますが、じっとり重い。新しい世界に飛び込んでいくというか飛び込まざるをえない。
でも島本作品の中では割と明るいほうだと思う。

「大人になるのなんてやめよう」(P78)とか「本当に、二人で遠くに」「いいよ」(P250)とか好きなんだ。
だが、 \ 賢治ーあうとー! / あの男は駄目だ。人を駄目にする男だ。

空の名前が出てきてびっくりした。

空の名前

空の名前はちょういい。このシリーズはよい。

映っていた体が、樹木の枝よりも頼りなく、左右に揺れた。窓ガラスの上の方まで細い紐の影が伸びていた。
ああ首吊りだ、と思うと同時に、私はもう死んでたんだ、と気づいた。

(P71〜72)

ぶらん子で青髭!

あられもない祈り

「あなた」と「私」、メイン二人の人名が出てこない重めの恋愛小説。幸福感希薄。
2人だけしか登場しないわけではないけど「名前」を持っている登場人物はとても少ない。
「あなた」は妻がいる身で、年も大きく離れている。

「不倫の割に、兄妹みたいだったり初々しい恋愛だったり純愛」だったりしない。結構どろっとしている。妻ある身が手を出しかつそれを受け入れるっていうことはそういうことだよな! と思った。けして明るくはないがよいと思う。
「もっと、絶望しろよ」である。

「土曜ワイド劇場的な不倫」ではなく、かといって「ふつうに恋愛でもいいんじゃないかと思うぐらい配偶者の存在感が希薄」なのでもない境界線というと、これとか三浦しをんの「天国旅行」収録のあれぐらいが私にとってはいいのかも。背徳感とかはいらないけど不安と後ろめたさはほしいよなー。

真綿荘の住人たち

台所風呂トイレ共同の共同生活度の高いあるアパートでの話。語り手が1話ごとに変更する短編集。
爽やか! っていう感じとか青春! みたいな方向ではないです。
真綿荘にはそれなりにややこしい事情を抱えた面倒くさい感じのひとたちしか住んでません。
「真綿荘の恋人たち」の結末はどうしてそうなった! っていう感じなんだがそれがよいハッピーエンドなのだろう。逆から辿る私の男っぽい。あと椿と八重子は百合だと思う。

すぐに呼吸が苦しくなるほどに鼻が詰まって、いそいで数枚の紙ナプキンを引き出して顔を覆いながら、自分でもびっくりするほど溢れて止まらないものに揺さぶられて、嗚咽が、吐き気のように込み上げました。
愛されないことを受け入れるのは、いったんあきらめてしまえば、たやすかった。だけど、こんなにも長い間、持ち続けていた悪い夢が色褪せていくなんて、想像もしていなかった。

(P237)

CHICAライフ

ユヤタン面白かったよな……と思って再度借りてくる。
そしたらその日の夜のついったーがユヤタン祭りだった。何なの予知なのっておもった。
タイムリーで凄くびびった。

笑えるエッセイを好きな人に。あと佐藤友哉ファンにも。だめんず率たかいです。

さらには美術館や映画館に行ってもチケットを買うことができない。待ち合わせ場所が分からなくても交番や通行人に聞けないので、しょっちゅう道に迷う。知らない番号の電話には絶対出ない。美容院などもってのほかで、髪型はすべて自前なため、素人のくせに妙にカットが上手い……等々、その極端さは日常生活に支障をきたす域に達しているのだった。

(P127)

Herstories彼女たちの物語—21世紀女性作家10人インタビュー

小説すばるでやってた(らしい)インタビューが一冊になりました。
10人分あるけど、桜庭一樹・三浦しをん・島本理生を読んだら満足したのでここでやめる。

ちなみにインタビューを受けている人は、綿矢りさ・柴崎友香・島本理生・桜庭一樹・鹿真田真希・三浦しをん・雨宮処凛・本谷有希子・青山七恵・金原ひとみ(掲載順)

島本さんが超ユヤタン似でびっくりした(顔を見たのは多分これが初めて
夫婦だからってそんなに早く似てこないよなあ、ていうことは元々顔の系統が似ているのかしら、とか思ったり(特に最初のページの真正面からの写真が似ていると思うのです。

「桜庭一樹とライトノベル」の話は多分初めてみた(どこで見ても子供向けの小説とかかれてたので)あと続桜庭一樹読書日記に載ってる「写真映りのいい」やつはこれに載ってます)
私には写真映りがいいのかどうか判断つかない(いつも違う顔してるから

——ノベライゼーションだけでなく、ライトノベルは一般小説に比べ規制が多いジャンルですよね。これは必ず入れるとか、これは書いてはいけないというような約束事があるのでしょうか
桜庭 最初その世界に入った時は、何でもありなアングラ空間のような気がしていて(笑)、一般文芸ではあり得ないようなことをやってもいいようなイメージがありました。でも批評がほとんど存在しない場所で、客観的評価ではなく売り上げやアンケート結果がすべてという点において、売れれば正しいし、売れないものは間違っているという、少年マンガ雑誌のような厳しい世界でもありました。
 そのいっぽうで、本屋の片隅に置かれていたので、まったく新しいとんでもないものがぽろっと出てきても気にしないところがあったんです。自由と不自由の両面がありましたね。
(略)
回転が速いので作家がどんどん消えていくんです。ヒット作が出ると、マンガと一緒でコンスタントにシリーズを書き続けることになります。だから年に少なくとも四、五冊は出さないといけない。商業的な速度の中で力を使い潰してしまうのではないかと悩みました。

(P85~P86)

「ラノベはフリーダム」という感じの表現をよく目にしたり聞いたりしてたので「規制の多いジャンル」と見てなんか新鮮なものをおぼえたー。

また自分が読んできた本の世界を現代の日本に甦らせるような書き方をしてきましたが、これからはより世界文学の影響下にある作品を書いていくかもしれません。

(P102)

2段構成24ページあるのでとても読み甲斐があった(*゚∀゚)=3

三浦しをんの月魚のはなしがおもしろかったな。

三浦 『月魚』はBLにしてもよかったんですけど。何をもってBLなのかというのは非常に難しい問題で、ここでは語りきれません。ただ男2人の親密な関係を描けばそれはBL、というふうに考えるのは間違っています。BLって書くのがすごくむずかしいんです。BLとして書ききれなかった作品という言い方が正しいのかもしれません。

(P137)

三浦作品は「男子系小説」と「女子系小説」の2つに分かれるっていってたけどそういえばそうだなあと読みながらおもった。

あなたの呼吸が止まるまで

なんかこう誰かが死ぬ話かと思って敬遠してたら「小学校6年生女子、クラスとか頑張ってみる」話だった。
こっちのほうの展開に行くのか!と思ったので微妙な気分に。読後はあんまりよくない。

「課題曲は、音楽の時間に習った『未知という名の船に乗り』です。これから自由曲を決めましょう。ただし、みんなの前で歌うんだから、下品な歌詞の曲は禁止ですよ」

(P114)

懐かしい(ごろごろ
未知は私トランペットとか吹いてた超歌ってた。

波打ち際の蛍

風邪薬に抗生物質、吐き気止めその他もろもろ70錠強の薬をビールと一緒に飲んでICUに運ばれ、その後カウンセリングのみの相談室に通っていた麻由はある日エレベーター前で麻由に助けられたという男性(蛍)に出会う。

蛍が好きすぎる件。こういう感じいいなあーーー。
蛍の書斎が欲しいだけではないかと脳内で囁く声がするけど気のせいだ 気のせいだ。

「あの、やっぱり年上の人を呼び捨てにするのって、すごく落ち着かないです。戻していいですか」
そう頼むと、彼はからかうように笑って、ダメだよ、と言った。
「俺は年下の子に呼び捨てにされて今ちょっと嬉しいです。だから戻さないで」

(P39)

紗衣子みたいな子もすきだな。唐揚げくいてー。

CHICAライフ

エッセイ。とても面白かった。箇条書きにすると
・島本さんが面白すぎる。ていうか赤裸々すぎる
・島本さんのお母さんが面白すぎる
・ユヤタンwww
※島本理生さんとユヤタンこと佐藤友哉さんは夫婦である

ファウスト部の合コンの話も載っていた。漫画漫画アニメアニメゲームであふれかえったようだ。

途中、私がトイレから戻ってくると、正面にいた西尾さんが
「島本さんは昔、なにか動物を飼った事がありますか?」
と、急に普通の質問をしてくれたのだが
「子供の頃に猫を飼っていたけれど、すぐに死にました」
と即答すると、西尾さんはうっと言葉に詰まってしまい、会話はそこで終了した。

(P65)

「オタク(?)の生態」以降が個人的には「ずっとユヤタンのターン!」である。面白すぎる。座敷童とか同居人とかそんな感じだけど年月日とか〆のあの文とかからほぼユヤタンのことだろうと思われる。つかゲームしすぎである。

「ところで、君がViViに書いたエッセイのことなんだけどね」
彼がゲームをしながらふいに言った。
「僕はオタクじゃなくて、ゲーム脳だと思うんだよね」
ViVi読者の皆さんはおそらくあまり馴染みがないであろう、この用語。
どうも彼の話によると、ゲームばかりしているせいで自分の判断力が低下し、感受性が育たなかったり、現実との区別が希薄になることを言うらしい。
「ああ……それは、とてもぴったりな」
思わず同意してしまった。
それでは、私の元彼のTシャツを平気で着ていたり、私の行動をエロゲーにしかたとえられなくなったり、「君の顔にはなにかが足りないよね」という唐突な暴言を吐いて私を激怒させたりするのは、そうか、すべてゲームのせいだったのか!

(P130)

リトル・バイ・リトル

淡々とした日常を小説にしてみましたという感じ。本当に何も起きない。なので起伏ある話が好きな人には地雷になると思う。

ちょっとだけ、キリのいいところまで読むつもりが最後まで読んでしまいました……
なんかこう、友達の話を聞いてるみたいな本だ。ほーそれでーそれでー、と話を聞いてるうちに読み終わってしまった。

「時々、怖いんだ」
何がですか、と水面のほうを見たまま聞き返した周の横顔は暗闇の中でわずかに遠く見えた。
「いろんなことが全部、何もかも。翌朝のバイトとか人込みとか、することがない平日や、眠る前とか」
「怖いとき、どうするんですか」
「死んだみたいに目をつむってじっと我慢してる。そうすれば、いつかは通り過ぎるから」

(P148)
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