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東京・地震・たんぽぽ

地学科のある大学院に進んだ友人はある日こんなことを言った。
「16日に東京に大地震が来るんだって」
そんな噂はしょっちゅうあるしその話を信じたわけでもない。自分が実家帰ってる間に新幹線に乗っている間に地震が起きて脱線して死ぬかもしれないけど。まあ選択してみると実家に帰ってだらだらと過ごし運命の日、16日。

お昼前、関東地方で地震発生。M6強。死亡者怪我人多数。火災も発生している

200ページぐらいの本に14人の話。1つ1つの話はとても短いです。
怖い話だ…… ホラーという意味ではなく色々と考えさせられる。
私が住んでいるところは南海・東南海地震が起きたらまず被害は免れないだろうなというところです。
その瞬間私はどうしてるんだろうなあ、とか。
この前南海地震が発生、津波がやってくるとしたら水位はどこまでかっていうプレートが貼ってあるのをちょっと前に見ました。その辺は土地が低いし海も近いのでまあ当たり前なんですが、水位は私の胸よりちょっと上ぐらいを指してました。びっくりしたというかそらもう死ぬわーとか思いました。

タイトルの東京・地震はともかくたんぽぽは何かと思ってたんですが……
たんぽぽは根の張り方が凄いから(ちょっとぐらい引っ張っても抜けない)災害が起きても復興させて生きていく強さみたいなものかなと思いました。

でもついのすみかとかどうでもいい子は緩やかに滅びゆく世界って感じだなー

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

久しぶりに再読。

「階段にすりこぎ。裏手の道に油。アー・ユー・オーケー?」
「メイビー。……なんだかなあ」 (P69)

脳内のあの男だ……と前はするっといったところでがっと転ぶ。おお……

メイビー
そのころキムタクが主演していたドラマでこの台詞を連発していた

桜庭一樹日記P118脚注

ぽろぽろドール

誘惑に負けて図書館で借りてしまいました。
借りて10日間ぐらいは表紙で満足してた。

えろい。えろいっつーか淫靡。
人形に魅せられた狂気と紙一重だったり、人形が救いとか手助けとかの人たちの短編。
「手のひらの中のやわらかな星」とかに出てきた「lico」なんですがこれブライスかなあ?
ニュースの特集でやってた「大人のための着せ替え人形」でしか知らなくて、今公式見てる。

licoの特徴

なにしろこの人形はせいぜい5頭身しかない。かなりデフォルメされた体型をしているし、目もやたらと大きい。リカちゃんやバービーと身長は変わらないが、頭がとても重そうだ。マンガの中から出てきたようなつくりになっている。手足はばかみたいに細く、とても自分の力で立てそうにない。(48p)

「手のひらのやわらかな星」の咲子はそのまま冬馬と友達になることはなかったと思いたい。冬馬踏み台にして別方向に歩き出してたらいいなあと思う。友達ではなかったけどきっかけとなった人ポジションでひとつ。

「めざめる五月」よりも「ぽろぽろドール」のほうがえろいのは上だと思う。22?23ページの辺り。
つか「めざめる五月」はどことなく加納朋子/コッペリアだ……

「サナギのままで」は製糸工場・女工とかから産業革命?野麦峠?大正時代?とか思ってて戦争は第一次か日露かその辺と思ったけど英霊とかは何か第二次っぽい雰囲気。
豊島ミホでこんな時代がかった話はちょっと新鮮だと思った。

「きみのいない夜には」は一番予想外の展開をし、予想外の終わり方をした。
これが狂気度一番高いかなあ? でもこれが一番好きだ。

「僕が人形と眠るまで」はタイトル見た時点でラストは死亡エンドかなと思った。ラストはどっちなんだろう。世界が好きだったとか過去形で、走馬灯っぽいし、

これ読んだらコッペリア再読したくなった。同じく人形に恋をした人の話。

コッペリア (講談社文庫)

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「人形」がメインになってる小説なんかあるかなあとか思ったら妙にRoman漫画版が読みたくなったのでUJ公式へ(注意:音楽が鳴ります)
さあ往っておいでとえいえんの冬に抱かれて眠る私の子だけでやばい。
音楽つきだったら多分死んでる……

ハンプティ・ダンプティは塀の中 (ミステリ・フロンティア)

「日常の謎」ただし学校の日常ではなく、会社の日常ではなく、留置所の日常。
連作短編なのですが2話と4話が好きだな。ついで1話。
登場人物の名前が何故か皆カタカナなので(日本人ですが)それが読みにくかったかな。
面白かったけど好みからはちょっと外れる感じ。

片耳うさぎ

配達赤ずきんの人の別シリーズ。
題材は凄い好みなんですがあんまり楽しめなかった。

関東北部。とある村。
小学生の奈津は親の会社が倒産して父方の実家に身を寄せることになった。
父の実家は資産家で、近隣の子どもからはお化け屋敷と言われるほどのでかい家。

父は職探しのため家に寄り付かない。母は手術の付き添いのため週末まで帰らない。
今週は大きな家でただ1人。(味方は、という意味で。同居人はたくさん)
色々あって中学生のさゆり(蔵波屋敷に興味津々)が泊まりに来ることになった。

屋敷探検ツアーである最初80ページぐらいはわくわくしたんですが(隠し階段!屋根裏!屋敷見取り図!)それ以降は全く引っかかるところがなく、ここいい!というシーンもなく終わってしまった。

エバーグリーン

豊島ミホという人は「青春挫折した人の話」だとか「どこにでもいる普通の人の青春話」がめちゃくちゃうまい。エバーグリーンは今まで読んだどれよりも青すぎて(檸檬のころよりも!)死にそうになった。でもこれ好きだー

雪深い田舎の中学校の2人。
俺は他とは違うんだぜとミュージシャンになることを夢見るシン
違うどこかに行きたいけどそんなもの脳内以外のどこにもないという漫画家になりたいアヤコ
いろんな意味で清く正しい中学生の2人は卒業式の帰りに「10年後、またこのあぜ道で会おう」と約束する。

というリアル思春期がぎゅっと詰まったような濃い60ページ少々で始まる。
メインはそれから「約束の日」が近づく9年10ヵ月後の話だ。
片方は夢をかなえた。約束の日を待ち望んでいる。
片方は何者にもなれず、もがきながら日々を過ごす。

とにかく直球で青春の話。とてもきらきらした話。

しかし

視界をシャットアウトして、耳を澄ます。とりあえず自分の脈の音が聞こえる。その背後に、教室じゅうを満たすどうってことない会話の山。でも俺は、ラジオのチューニングのように、その会話の山から情報を拾おうとしている。
「アヤー」
女子の声でその名前が呼ばれる度、俺はうっかり顔を上げてしまいそうになった。肩に力を入れてそれを抑え、ただ聞き取るのに専念する。
「ねー、アヤはやっぱりロック×セリス派だよねー」

(P13)

そこまで生々しく中学生でなくてもいいと思います
私はロック×ティナ派です(゚д゚)ここ読んでてうっかり禁断の10代の扉が開くところであった。

インシテミル

モッテカレター
凄いどきどきしたぜ……面白かった……
「とりあえず館に人を放り込んでみます」とかどっかで見た覚えがあったのでインシテミル=inしてみると思ったら英題:THE INCITE MILL
incite:刺激[扇動,激励]する
mill: 製粉場; 製粉機, 粉砕器; ひき臼(うす); 製造工場;

私はミステリ好きではあるけど、推理する側ではなく(こいつ怪しい?とかはあるけど)古い作品・海外作品はほとんど読んでいない。新本格以降がメインだけどそれでも「おお、ミステリミステリしてる」と思うには十分すぎるほどのはじまりだった。
というか最初のあの見取り図に魂を刈り取られて、いやいやまだ買っても読めないと戻したのに次の日買いに行く。そして次の日読了。

インディアン人形にうおおと思う。1人ずつ消えていくのかと思った。

最初の夜の、読んでいる側までそこにいるような緊張感と監獄のちょっとないぐらいの(監獄なのに!)まったり感の落差が凄い。
444ページのナイフとかなんとかはなんだろう。誰を殺しに行くんだ?

内容的に感想が書きにくいな。

ぐるぐる猿と歌う鳥 (ミステリーランド)

なんだこれは!!!!と叫ぶぐらい素晴らしい。
読んでる間中、心が10歳だった。新刊のはずなのに超懐かしい。これがノスタルジーというやつか!とか思った。それぐらい私がリアル小学生の時にがつがつ読みふけった本と雰囲気が似ている。
方言を脳内で訳して、これって北九州でも通じるのかなあと思いつつ(「ようけ」は私もよく使う)
ギザ10て今流通してるのかな。

もう終わったなと思ったらもうひとつ現実でひっくり返るようなことがあったのでびびった。さすがだ。

密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー

カー作品未読なのについカッとなって借りてきたよ。
最初2つ読んだところで返却日が来たから返してしまったけど。

ジョン・ディスクン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う@芦辺拓
ラジオ放送中の話。これ面白かった。ラジオ放送中のところとかこの雰囲気いい。

少年バンコラン!夜歩く犬@桜庭一樹
ゴシックの愚者を代弁せよのリヴァイアサンパートと青年のための読者クラブの第2章を混ぜた感じ。歌って踊って推理。ムーランルージュにときめいた。逃げ出した僕の背中に焼きついたりはしてませんが。

サイン会はいかが?—成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア 32)

このシリーズはやっぱり短編の方が面白い。
表題作サイン会はいかが?とバイト金森くんの告白が好きだー

ミステリーズでやってる連載(読みきりかも?)の主人公は出版社の営業さんと見た瞬間、私の中で主人公はかーやまさんで決定中であります。

「あとがきって、大切なんでしょ? このごろ有名じゃないですか。あとがきばかり集めた本が売れてるんですもの」
「え? そうだった?」
「やだ、杏子さん、あれですよ、あれ。『あとがきで読む日本の名著』」

(P206)

時雨沢恵一は絶対に入っているに違いないと思った本。
ちなみに正しくはあらすじで読む日本の名著

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