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ポップコーン、お財布、迷子

6歳ぐらいだったかな。親と翔ちゃんで映画見に来た時ポップコーンが食べたくて1人で買いに行ったんだよ。でも席までの帰り方も分からなくて売り場の前で泣きそうになってたら翔ちゃんが迎えに来てくれたんだ。手を繋いで戻ったよ。嬉しかった。でもさっき那月さんにも一緒のことしてるところ見て僕は

酒、ストロー、チーズ

「俺たちも飲みたーい」
「音也も翔も子どもみたいにストローくわえてるんじゃありません」
「レンなんかワインだぜ?」
「じゃおチビちゃんには背が伸びるようにチーズをあげよう」
「いらねえ!」
「皆グラスを持ってくださーい」
「我らST☆RISHの念願の1stアルバム発売を祝って」「乾杯!」

降る、角、音

早乙女学園を卒業して準所属の身になった。寮は1人部屋で広いけど何の音もしない。部屋を散らかしても食事をしなくても角を生やしたトキヤの小言が降ってくる事もない。早く自立するためにこの世界で生きていくと決めた。14歳の俺の夢は叶ったけどなにか大事なものが欠けた気がする。

ファイル、つめ、机

この席からは斜め前の春歌の机がよく見える。休み時間だってのに楽譜出してきてよく頑張る奴だな。つかあのファイル俺がプレゼントしたやつ使ってくれてんだな。……俺が昨日塗った爪もそのままだ。もうちょっと触り
「何ジロジロ見てるんだい」
「翔、何考えてるか駄々漏れですよ」

クローゼット、真夜中、箱

私はひっそりとクローゼットに寝かせていた箱を開けた。中からはもう袖を通すことはないと思っていたHAYATOの衣装が姿を見せる。私の可愛い春歌は未だにこのポスターの前で毎朝正座する。すぐ隣には私がいるというのに。全く面白くない。ここはひとつ渾身の寝起きドッキリを明朝敢行する。

蛍光ペン 約束 テープ

聖川さんとやっている「温故知新ふたたび」ですが、多少のハプニングはお約束として存在していますが毎回とても充実した収録ができています。移動中の聖川さんは台本を読み返していることが多く、覗き込むと蛍光ペンでチェックをしていたりご当地の歴史の資料などがテープで貼られてたりしています。

咳 はちみつ ゆびさき

寝室のほうからは相変わらず咳の声が絶えず聞こえてくる。トキヤ君に喉にいい飲み物を聞いて蜂蜜ももらった。お湯を沸かしながら蜂蜜を指ですくって食べる。美味しい。はやく美味しいものが食べれるようになるといいのに。
「早く翔ちゃんがよくなりますように」
願いを込めてマグカップを混ぜた。

夜 突然の雨 暖かい

真夜中に物音がしたからふと顔を上げてみると頭から水をかぶったみたいな那月が立ってて俺の心臓は飛び出るかと思った。翔ちゃんいたんだ、なんて言うからさらにむかついて手を伸ばしたら暖かい毛玉に触れた。もうコートの季節ではない。ということは。
「お前猫拾ってんじゃねえよ! 何匹目だよ!」

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