道ならぬ恋とかたぶんそんなお題だったんだと思う。
- 2014/03/25 23:45
- Posted by minami_hato
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- Tag:嶺二, 那月
道ならぬ恋ー? そうだねえ。例えば後輩ちゃんが翔たんと付き合ってるとするじゃない? でもなっつんも後輩ちゃんのことがすっごい好きなの。でも3人でいるときの居心地もなっつんはすーごい好きなの。でも苦しいの。そういうのをもうちょっと変えればいいんじゃない?
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2014年03月
道ならぬ恋ー? そうだねえ。例えば後輩ちゃんが翔たんと付き合ってるとするじゃない? でもなっつんも後輩ちゃんのことがすっごい好きなの。でも3人でいるときの居心地もなっつんはすーごい好きなの。でも苦しいの。そういうのをもうちょっと変えればいいんじゃない?
「翔ちゃんには秘密にしておいてくださいね。僕ね、本当はあの女の子が翔ちゃんだって知ってました。何でそんな格好してるのかなあって思ったけど、知らない人の振りをしてたし可愛いなあって思ったから騙されちゃいました。レンくんがドッキリ仕掛けるのは真斗くんですよね。OA楽しみにしてますね」
「イッキたち派手に載ってるね」
レンの背後からスマホを覗き込むと人気デュオ不仲説という見出しが飛び込んでくる。
「イッチーとは今そんなに仲悪いの?」
「いつも通りだよ。でも他の人の目を通すとそんな感じに映るんだ」
「イッチーは損な性分だから」
「素のトキヤは俺たちが知ってるからいいよ」
あまりの展開についていけずトキヤはしばらく瞬きもせず音也を見つめていたが
「俺の迫真の演技どうだった? ねえびっくりした?」
などと火に油を注ぐ発言をした音也は一撃必殺のローキックを喰らうこととなる。前回の対真斗とはまた違う一ノ瀬トキヤを垣間見れたと今回も評判のままに放送を終えた。
音也に先導されて昔よく利用したスタジオについた。入るなり何かの知らせのようなアナウンスが入る。
「12年前の3月末、ここでおはやっほーニュースは始まりました。時代が巡っても最前線で走り続けるその魅力を評しここに表彰します。W1のきょうのごはん2時間SPドッキリ企画隊長一十木音也」
「どうするつもりですか? これから撮影ですがまさか放り投げるつもりですか?」
「そこまで来てるらしいし話する。トキヤも同席してくれない? こういうのって誰かがいたほうが冷静になるもんでしょ」
「……構いませんが、本当にあなたって人は」
「俺はそういう面倒なとこも含めて好きなんだけどね」
「相手は何をされている方なのですか。あなたが隠し通せるぐらいですから同業者ではないでしょう」
「えー、あ、ちょっとまって電話だ」
トキヤに背中を向けて電話を始める音也の声が聞こえてくる。その声の優しさに驚いていると音也に腕をつかまれた。
「どうしよう反対されたから駆け落ちしたいって」
「レンと並んで週刊誌を賑わせる男でしたし遊んでばかりで結婚など縁のない話だと思っていました」
正直にそう告げると音也は20代後半にもなって唇を尖らせて不満を口にした。
「今度は本気だから秘密にしてたんだよ。で俺はトキヤに友人挨拶をして欲しいんだよ。ちなみにれいちゃんは乾杯の係ね!」
こんな時さっちゃんならどうしただろうと、いなくなってしまったもうひとりの自分に語りかける。強くなりたいと願ってもどうすればいいのか分からず星を掴むより難しいことだった。見上げれば月が随分と高くまであがっている。どれぐらい歩き続けたのか見当もつかない。波の音以外に帰る音もなかった。
自分の気持ちはどんな道を通ったとしても2万通りの組み合わせでやり直しても最後に到着する場所は一緒だ。でも向こうは?とふと考えて恐ろしくなる。困難を潜り抜けた先にまだ待っていてくれる保障などどこにもないのだ。不在着信を見ながら掛け直す勇気はまだ持てない。初夏の夜はぬるく過ぎていく。
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