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2014年03月01日

Twitter企画終わって那月くんはどう思ってるでしょうか

 3月1日、21:00。
 昨日まではこのぐらいの時間はまだ劇場の楽屋にいたのに不思議な気分だ。今日はもう帰りの車の中で1日オフだった。今夜の藍は行く所があるというから昼間に翔と3人で打ち上げをかねてお茶会を開くことにした。マスターコース初期の懇親会をしたあのカフェでだ。藍はあの時みたいにシュークリームの皮を剥くことはなかったけど飲んだことのない紅茶を頼んでいた。
「ナツキが淹れた紅茶の味との差異が興味深い。大部分は同じ味がしているけどボクとしてはナツキが淹れていたほうが若干好ましいかな」
 藍はいつも一番に劇場に到着してよく外を眺めていた。それから那月が来て、大体嶺二が最後だった。準備が整って開演までの少しの時間は那月が紅茶を入れて、藍が「窓から見える景色」のうちいつもと違う箇所の話をして、それを聞いた嶺二が推理小説の探偵のようなことをするのがマスカレイドミラージュの楽屋の日常だった。
 外を眺めるのをやめてポケットから携帯を取り出した。迷わないようにと翔が待ち受け画面に作ってくれたショートカットを押すとこの4ヶ月間何度も眺めたtwitterの画面が開かれた。一番最新の呟きは昨日の日付のままだがリプライはこの瞬間にも届いていた。那月に向けられたことばはどれも暖かさに溢れていた。
「お前また携帯見てんの」
隣から眠気交じりの声がした。大あくびをして目を擦りながら那月のほうを見ている。
「翔ちゃん、まだ着かないし寝ててもいいよ」
「いやもう寝る気しねえな。まさか藍がスケートやりたいなんて言うなんてな。でもさすがに疲れた。まさかアイスダンスの飛ばされるほうまでやらされるとは思わなかった」
「翔ちゃん上手でしたよぉ。あいちゃんもちょっと手を繋いですべったらすぐに上達したしやっぱりあいちゃんは凄いですね」
「俺昔薫と一緒にスケートしてたことあったからちょっと自信あったけど、そういやお前北海道育ちだったよな……できるはずだった。んで、企画終わったししばらくこのアカウントを使うことは出来ねえけど、寂しいか?」
 那月の手の内を覗き込んでくる。携帯の小さな画面は昨日のパーティを遡って表示していた。
「そうだね、とっても楽しかったから。いろんなことがあったね。いろんなおはなしをしたよね。本当なら今日翔ちゃんとあいちゃんと3人でスケートしたこともみんなに言いたいけど」
しゅんと那月の眉が下がる。それを見た翔が那月の背中を優しく叩いた。
「ファンと話すっていう意味では俺より那月のほうがよく使ってたもんな」
「翔ちゃんはよく音也くんとそのまま話し込んでましたね。あとよく那月那月って呼んでくれてました」
「そんなに呼んでたつもりねえんだけど、ラーメンの時はレンとトキヤには突っ込まれた」
「忍者さんチームはいつもラーメン食べてましたもんね。僕も食べたいです」
「トキヤにはすんげ引かれたけどこの時間に食うラーメンすげえ美味いんだって」
「今度皆誘っていきましょうね」
「そうだな」
ふふ、と笑いあって名残惜しそうに画面を見つめると那月はtwitterの画面を閉じた。

askから。

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