原作漫画のノベライズですが原作未読です。ただの野梨原花南スキーです。
割と山奥っぽい感じのところにある橘花学園寮の入寮初日の話。どうも女子校のようだった。
異能者が集まる寮ではなく、異世界人が転がり込んでくるわけでもなく、同室者が女装している男というわけでもなく本当にただの「現代学園で普通の家庭に育った女の子が親元を離れて入寮した初日」の物語です。
びっくりするほど普通なんですが、派手とか地味とかそういう基準じゃなくてすーごく「地面に足がついてる」物語。
生活の匂いがする。歓迎の料理を作ったりシャンプーの貸し借りをしたり、普通の生活なんだけど女の子はいるだけで華やかだなあと思いました。
終盤にある「昨日までとは違う、これからしばらくの『自分の家』で眠る最初の夜」の寿々花のモノローグがすごく野梨原さんでうっかり転がるぐらい好きだ。ノベライズとはいえ今どき少女向けレーベルでもこういうのはちょっと読めないんだよねえ。なんで現代もの息してないん。
「盗難とかいじめとかの犯罪行為は遠慮なく持ち込んで。まちがっててもいいから。そんなのあなたの立場が悪くなるだけだけど、別にそんなのどうってこともないし、抑止のほうが大事だからね」
きょとんとして見つめてくる小鳥遊に、ミンチンが続ける。
「盗難とかは普通に無秩序の象徴だし、いじめはあってはならないことだからよ。秩序なく、理不尽が横行する寮に住むこととあなたの立場がちょっと悪くなること、天秤にかけたらどっち?」(P153~154)
そんな野梨原花南スキーは来月はじめてティアラ文庫を読みます。