しゃばけよりこっちのほうが好きかも。と思った。
小さな古道具屋兼損料屋の出雲屋を商うお紅と清次の2人。損料屋というのは色んなものを貸し出す店だ。貸すものは鍋釜布団、財布に掛け軸色々である。
時代物だがしゃばけとの違いは
しゃばけ……妖怪あり。若旦那愛してる。ちやほやされまくり。
つくもがみ…妖怪あり。若造が。フルボッコにしてやんよ
付喪神は出雲屋の棚で貸し出された先の話をぺちゃくちゃと喋りあう。お紅と清次は喋ることを知ってるから客前で喋らなければ特に今更何も言わない。
あるときは清次は大馬鹿だよとか。
あるときは屋敷で見た珍しいものとか(これ目当てで道具(付喪神)を無料で貸したりする
あるときは屋敷で付喪神を見たとか。
出雲屋にはそんなわけで付喪神が集まってくる。
付喪神を見たという話をわざわざすることで、清次が現物を見に行く。大体において付喪神になるような古く大切に使い込まれたものはいいものであることが多い。清次は若造だが見る目だけは確かだから気に入ること間違いない。
憎まれ口をたたき、時には叩き割ってやる!と喧嘩することもあるが、清次は一度も付喪神を売ったことはない。共存共栄、持ちつ持たれつだが主導権は我ら付喪神にあり、といった感じ。
秘色と似せ紫最強。
章タイトルが古典の色の名前で、章扉がその色で染まっているのがいい。
「だから蘇芳は、まだ付喪神にはなっちゃあいませんよ。年月が足りませんからね」
清次の話は一見お紅に言ったようで、実は付喪神に向けられたものであった。それを瞬時に承知した棚の上の付喪神達は、人ごときが付喪神の考えを否定することは、承知出来ぬと考えたらしい。一斉に黙り込んだ。しかも邪悪な気を発している。(略)
「聞いたか。清次が我らの話に、文句をつけおったぞ。聞いたか」
「おうおう、聞いた、聞いた。役立たずの若造が、いっぱしに付喪神へ、言いがかりをつけおって。……香炉はまだ付喪神にはなれぬ歳だとな?」
(P137?138)