フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫 よ 29-1)

何とも不思議な話だ……

吉田君は「世界の果てにあるような食堂に来る人」の話を書きたいと思っていて長く悩んでいる。
そこに奇妙な連作小説を予告して消息不明になったジュールズ・バーンのことを知る。
物語のはじまりのしっぽを掴んだ吉田君は……という話だったのが。

「奇妙な連作小説」というのはフィンガーボウルの話のつづきを言いあらわしてることばでもあるのですが、17の短編が入っています。
たとえばAという短編があるとして、これは吉田君が書いたものなのかバーンの過去作品なのか、それとも何の関係のない話なのかと先を読む。終わる。誰だーと思いつつも次の短編を読む。読んでたら別のBという短編の中で昔は俺もAっていうやつを書いたんだとかいうのが出てきてナンダッテーと叫ぶことになる。リンクが複雑。

物語の重要なキーワードとして出てくるもの
ビートルズ:ホワイトアルバム

「私は殺し屋ではない」と「白鯨詩人」と「ろくろく」が好き。