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L文学完全読本

2002年に出版された本。文学少女の友から流れてきた。
L文学というのは斉藤美奈子氏が名付けたジャンル名で、コバルトとか少女小説を祖として、

L文学の定義はしにくい。これはたぶんに「気分」の問題だからである。しかし、そうはいっても何も定義しないわけにはいかないので、先に大きな枠だけ設けておきたい。
第一に、作者が女性、主人公も女性、読者層の中心も(おそらく)女性であること、第2に、SF、ファンタジー、ミステリー、ホラーといったジャンル小説を除くリアリズム小説であること(とはいえ、これらの中にもLのテイストを持ったものは多数含まれているのだが)

(P93)

高校生に今好きな本を聞いてみたって言うコーナーがあって、これが2002年だから私と同世代の人が多いのではないかと思うんですがまーみごとに本読み面をしてるんですね。言ってしまえばクラスの中心からは離れたところにいそうな感じの。ところで「高村薫と長野まゆみが好き」って言う女子高生はちょっと腐っぽいオーラが感じられるのですがどうですか。だってその辺の年代って「惚れたって言えよ」が一世を風靡したあたりじゃないんですか。
わたしがあそこにいるとしたら「火村助教授が好きです。最近はフォーチュンクエストとかオーフェンとかも読んでいます」とかいってるんでしょうか。

天国旅行

「心中」をテーマにした短編集。最初の話がいきなり青木ヶ原樹海で死ぬに死ねかったおっさんの話からはじまるので黒っぽい話が多いのかなと思ったら救いのある話が多かった。
かと思ったらきみはポラリスだった。救いがある話もあるとはいえ全体的な雰囲気としては薄暗い。光が指すかそのまま沈んでいくかは話次第。

ほかのひとが「心中がテーマの短編集だしました」っていうなら多分「えっ」って思うんだけど、
まあしをんさん文楽好きだしね。文楽と心中は切っても切り離せない存在だからねと普通に納得した。

好きなのは祖母の初盆にやってきた不思議な男の話「初盆の客」
私は子供のときから夜毎に不思議な夢を見る。江戸時代、私は愛する夫とともに暮らしている「君は夜」
丘の上の高校に通う地味派に類する私・亜利沙と派手グループの頭目初音とある先輩の死。その顛末「炎」

SINKも好きだな。この永遠に埋まらない虚感はよい。

なんだか“文学少女”見習いの、初戀。を思い出す。

スタートライン—始まりをめぐる19の物語 (幻冬舎文庫)

ショートショートです。1編大体10ページ程度。
がっつりと読みたい人には向きませんが色んな味が楽しみたい人にはいいんじゃないかと思います。

執筆者:
光原百合・三羽省吾・金原ひとみ・恒川光太郎・三崎亜記・中田永一・伊藤たかみ・島本理生・橋本紡・宮木あや子・柴崎友香・津村記久子・中島たい子・朝倉かすみ・藤谷治・西加奈子・中島桃果子・万城目学・小川糸

豪華です。

はじまりの物語ということでちょっとええ話系でしめている作品が比較的多い中宮木あや子の「会心幕張」が異彩を放っている。いい意味で。それ以外では津村記久子「バンドTシャツと日差しと水分の日」と中田永一「恋する交差点」と朝倉かすみ「とっぴんぱらりんのぷう」が好きだ。
一番よく分からなかったのは西加奈子「トロフィー」だな。どういうことだ! と思って3回ぐらい読んだ。
バンドと?のはライブの当日、それも行くまでの話なのですがそれがいい! とてもときめく。
6/19が楽しみです。

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)

ビーンズの新人賞受賞作品。
人間が妖精を使役するハイランド王国。一流の銀砂糖師だった母亡き後アンは母と同じ銀砂糖師を目指すことにした。銀砂糖師は聖なる砂糖菓子を作る特別職。王の許可なく銀砂糖師を名乗ることはできない。
危険な道中の用心棒に妖精商人から戦士妖精を買い一路王都を目指す。

ザビで見た「児童文学っぽい」という選評に違わず、確かに既存ビーンズ作品よりは児童文学っぽい内容です。イラストもよい相乗効果。柔らかい雰囲気を作っている。

この世界の人間と妖精は使役する者される者。それもけっして対等な関係などではなく明らかに人間優位。時に殺伐とした支配関係です。ハリポタの屋敷しもべ妖精が近いなあと思いました。
心を許してなるものかと口悪くかつ頑なだったシャルがアンにもう片方の羽根を触らせたときは心を許したよ! 今この人デレたよ!と思いました。

ジョナスがちょー美女と野獣前半のアラン王子っぽいな!1と思いました。
児童文学寄りラノベにまた新たな傑作が誕生、と思います。

ちなみにこれ以外の私が思うところの児童文学寄りラノベというと

世界の終末—必殺お捜し人〈9〉 (富士見ファンタジア文庫)ミミズクと夜の王 (電撃文庫)時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)シュガーダーク  埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫)GOSICK—ゴシック (富士見ミステリー文庫)

この辺りです。

  1. この人の話聞いてない感じが! []

レプリカ・ガーデン 時無しの人形師と人形の女王 (B’s‐LOG文庫)

「人形と人間の恋」な読みきりシリーズ完結。最後に超いいのきたこれ。セレネ好きだ。
好きな順に並べると3>1>2です。読みきりですが1巻アーセル救済ルートともいうよ。
そして好きなカップルと書けと言われたらバラッドセレネというよ。5章がどう見てもご褒美であるよ。
先がないカップルとかとても好きです。いやふつうに幸せな人たちも好きですが破滅前も好きです。
ヴェネツィアなカーニバルがロマンである。

なんというかもう「好きだー」とひとことに凝縮されると思います。

カーデュエイル物語 銀砂の魔王 (B’s‐LOG文庫)

流浪の民の少年ジークフリートと町の権力者の娘シェリルは「君の18歳の誕生日に迎えに来るよ」と結婚の約束をする。それから10数年後、18歳と数ヶ月を過ぎたシェリルはかつて領主の血筋である市長の息子と結婚話が持ち上がる。ジークのことを忘れられないシェリルは家を抜け出し酒場で情報を集めついにジークと再会するのだが、彼は異界カーデュエイルを統べる王となっていた。

話の大筋は割と好きです。大筋は結構シリアスなんですが、魔界は妙なものがいっぱいあってシリアスに徹せられないコメディで溢れている。そしてその笑いがどうしようもなく合わない。笑いのセンスがあわないってこういうことっていう典型例だと思いました。
三角関係になりそうで当て馬に終わったかの人は多分もっと出番が多ければ好きだっただろうなと思った。

とらドラ・スピンオフ〈3!〉—俺の弁当を見てくれ (電撃文庫)

あちらこちらで発表した短編の総集編。
完結してもう1年。もう「完結しました作品箱」に入ってしまっているのと舞台設定がものによっては1?5巻程度だったりするので、ニセとら以外は初読なのに再読したかのような懐かしい感じがした。

「バッドエンド大全」の北村・実乃梨の未来がとてもいやな感じでした。
「高校のときはどんなに万能感溢れてても現実ってこんなもの」感がすごい。あと竜児が歌ってた中国の古代から今に至る国名シリーズのうたがなつかしい。

210ページ付近の「ちょろぎを知らないなんて!」のあの台詞と挿絵はいい仕事をしている。
なんというイリヤの空。タイトルとあとがきをよんでにやにやした。
しかし本当にちょろぎは馴染みがない。ぐぐって現物も見たけど本当にこちらでは見ない。

殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)

ある夏、関東の山林地区。
興味本位で自殺支援サイトに近づいた大学生オカルトサークルのメンバーはある廃墟のことを知る。
一時期騒がれた集団自殺の連鎖、その集団自殺に使われた廃墟が付近にあるという。ニュースでもネット上でもその正確な位置を知ることができなかったがついにそれを発見する。
そして11人は廃墟で目を覚ます。そこは救援を呼ぶことができず時間もよく分からない密室だった。
要するに人狼です。

ハラハラする感じもあるんだけどそれ以上に淡白だなあと思いました。
藍の冷たくって演出ばりばりの作為的な可愛さはよいね。

とりあえずインシテミルが読みたくなった! 5月に文庫になるけど待てない。

インシテミル

キケン

文芸誌1で電撃文庫やってみましたよていう感じが。
電撃文庫っていう指定なのは表紙が既に漫画調なんですが各章扉もこんな感じです。
なんか電撃のカラーページっぽい。
年がら年中お祭り騒ぎみたいな大学の部活で、神様のメモ帳〈4〉のNEET探偵団2を皆男にした感じ。工学部なので主に18歳?21歳男子ばかりです。ラブコメ要素はなくはないですが、今回は刺身のつまです。

しかし有川浩既刊の中でも類を見ない軽さというか、ハイテンションなんて領域は既に通り越しているというか、阪急電車往路のえっちゃんの彼氏の話がずっと続いているような。

学祭の話が2部構成になっているのがとてもおいしい文化祭すきー。
あのラストのあの見開きは非常にGJであるとおもいます。

(現実の)男子中学生は殺伐としているのに男子高校生になるとお前らカップルかっていうぐらい急にイチャイチャしだしますね。微笑ましいぐらいキャッキャウフフしてますね。あんな感じです。
確かキケンは有川さんの旦那さんの話をベースにしているとかで、ある程度は小説になるように誇張されているとはいえすごい大学生時代を送った人もいるものだなあと。
キケン発売辺りに新井素子さんと対談していたのですが、それがいまネット上でも読めます

  1. キケンは小説新潮で連載されていました []
  2. ラーメン屋含む []

ソードアート・オンライン 4 (電撃文庫 か 16-8)

フェアリィダンス後編。ALOもこれでひと段落。
キリトさんぜっこうちょうである。しかしアスナはバリバリとかサービスしすぎである。
コミカライズ化される機会があれば今巻はおおきいおにいさん向けに気合を入れて描かれるな!
しかしこのラスボスの小物感は今まで以上にやべえ!

あとがき曰く次の巻からは「キリトさんパねえっす」路線はそのままに大きく舵を切るということで、間違いなく戸惑う組の人ではないかと思う私である。

昨日(発売日)買いに行った時は30冊ぐらいあったのに今日行ったら3冊になっていた。
売れっ子だなあと思った。

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