カテゴリー「 単行本 」の記事

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このサイトは来月で24周年を迎えるのですが、実は24年前に書かれた日記が現存しているのである。
書いたり書かなかったりする時期があって、「日々を無為に過ごしているような気がして」と書き始めて今は日記を書く媒体を増やしている。

この本は日記の新しい指南書になれば、と担当さんに言われたが正直そうするつもりはない。日記と言い張ればどんなものでも日記であるが実はそれが難しいことなのかもしれない。だからわたしの日記を公開することでなんだそれでいいのかと思ってもらっていろんな日記が読めればいいと思う、という序文で始まる。

わたしがインターネットを始めて間もないころ、ウェブリングやタブブラウザが元気だったころは日記サイトというのがとても多かった。SNSの隆盛とともに個人サイトや個人ブログが少なくなり数年ぐらい前からnoteで日記(ただし毎日更新ではなく、数日分まとめて更新するスタイル)が読めるようになった。人の日記はおもしろい。叙述トリックのようなものを味わうことがある。
くどうさんは同性とルームシェアをされているのかと思ったらのちにその人と結婚していて男性やったんかと新鮮な驚きを得た。
たくさん書いている日があれば1行2行で終わっている日も日付だけの記述の日もあり、日記とはこうでいいんだよと思える本だ。

高松で日記の練習を買って年始のAmazonセールでも2冊ほど買って、今ちょっと「くどうれいん」という人を知ってみようキャンペーンが行われている。
岩手出身で割と生活に根差したエッセイを書かれている方だ。瓶ウニがおいしそうだった。

「ひとりでごはんが食べられない」が印象に残ったりした。わたしはひとりでも外食ができるが、ひとりだと食事をおろそかにする(しかもお腹が空いてくるとどの店を見ても「コレジャナイ感」に襲われて結局どこにも入れない)ことがある。
でも誰かとおいしさを共有したさはないので、こういうところで他人の見解が見られるのは良い。
いやライブ終わりに西梅田のファミマでサンドイッチとビール買ってハービス大阪で写真撮って食べながら検索するのいいんですけどね。直近ではよしここだと並んでも「ご案内はできますが、キッチンが混んでいて提供に〇分かかります」と言われて高速バス時間的に無理で泣く泣く後にしたこともあり。思えばあれはインフル的にアウトだったのだろうか。

それをあれかが「丁寧な暮らし」だと嘲笑するかもしれないが、うるさい。わたしは大根を面通ししているだけだ。それ以上でも、以下でもない。わたしはわたしの大根を切る。お前はお前の大根を切れ。

(P102)

2018年から2022年(主には2020年)の日記。古賀さんと2人の子ども(中学生の兄と小学生の妹)
コロナ禍真っ只中の子どもも書かれているが、そんな悲壮なものはなくよく子どもたちと話をし、戯れ、生活をしている。
小学生の娘にきく「どうやって仲の良い友達を作ったのか」はそういえばこの年代は確かにそうだった、と思う。

アンソロ形式の本ではないが、まえがきとあとがきがある。
ちなみに本作は「スペース」以来20年ぶりになる駒子シリーズの続編。まえがきでは「ななつのこから始まる、ストレートな続きではない」と書かれているものの、読んでいるとあーはいはいはいとなる感じだ。ミステリの味は薄く、日常の謎というか日常に存在するちょっとした不思議なことに結末がつく。
基本的には犬が物語の中心にいる。宮部みゆきのパーフェクトブルーぐらい犬と人間の物語である。

今年の賞ランキング系を片っ端から取っていくすごいやつ。短編集。
高校生射守矢 真兎(いもりや・まと)が戦う5つのゲーム。ゲームはどれも誰もが一度はやったことがあるだろう、じゃんけんが2種類、坊主めくりとポーカーとだるまさんが転んだ。しかし今回はどれも特別ルールが追加され論理的なゲームとなっている。
これはネタバレですけど、射守矢は勝ちます。その勝ち方が鮮やかです。

元々はAmazonオーディブル用に書き下ろされた作品の書籍化。

都内にある老舗ホテル、三日月ホテルに勤めている続 力(つづき・ちから)は忙しい日々を送っている。
小ぢんまりとしたホテルがゆえに宴会担当専任とはいかず、ある時はフロントを、ある時は荷物を運び、ある時は夜勤もする。その中のひとつとして招待状作成がある。ここぞというときは手書きによる招待状の需要がある。
とあるお別れの会の筆耕として選ばれたのが遠田書道教室の遠田康春氏であったが、氏は亡くなられており、筆耕は遠慮するという連絡があった。それがサンプルと一緒に送られてきたのが今回選ばれた「教室を継いだお子さん」遠田薫氏であった。
康春が跡を継がせた人間なら間違いはないだろうが、万が一のことがあっては困る。薫氏の腕と人物像を見極めてほしいと力は書道教室を訪れた。

書道教室に通う子供からは若先と慕われ、あらゆる筆跡を駆使し代筆を請われる遠田に巻き込まれる形で力も代筆に協力したり食事を共にしたりすることになる。
元々がオーディブルということは耳で聞いて理解できる内容のためか、あっさりした内容で読みやすく、登場人物も限られている。

「宮木あや子が明治ブルガリアヨーグルトをテーマにお仕事小説ともやしもんぽいもの(さらに入れ子としてPixivで細々連載されている乳酸菌擬人化小説)を書いた」というやつ。
岩手県出身で東日本大震災で被災し、今はとある大手食品会社で勤めている朋太子由寿と「悪魔の創造せし国に忍ぶ矜持の器と刃」(乳酸菌擬人化)と仕事の話である。
というと「ハハーン、B面の宮木あや子ね」と思って読むと震災サバイバー、地方も地方出身女子の大学院進学ほか「女性の権利について」、なんかもういろいろ入っているのである。軽そうに見えてそんなに軽くはない。
アフタヌーンティーのところの流れが好きなんだな。

短歌集である。ちょっと前、TVerであった切り抜き配信で、凪良ゆうさんがこの本をおすすめしていた。
短歌集を読んだのは随分と久しぶりである。

好きな短歌は

人間へ まだ1割の力しか出してないけど? 消費税より
春がまた大人に夢を見せながら叶えないままただ過ぎてゆく
怒らせるという手段でしか人は神とつながることができない
ためらわずきみの頭を撃ち抜けるやさしいぼくでありますように

今Twitterでわたしの視界では爆発的に流行ってる祠壊したんかワレェみたいな短歌があったので笑った。でも初見の攻撃力が一番高かったのは人間への宣戦布告。

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エクスナレッジ

98万円で温泉の出る築75年の家を買った - takadonomadoka - BOOTHとは違ってこっちは商業出版です。
75年前、兵庫県西部に建てられた祖父の家の実家じまいの本である。ちなみに一度ついた売り手も仲介業者も離れていった訳アリ物件である。
わたしの喪主本ことこれで君も喪主だ! 密着相続ドキュメント2023-2024 - はと文庫 - BOOTHも「いずれ行く道だからどういうことがあるのか、人の体験談とはいえ知っておいても邪魔にはならん」本だと思っているが、ゆくゆくは実家じまいという問題が立ちはだかる予定の人はこういうことかと先読みしてもいいかもしれん。
隣の家の高齢者夫婦も徒歩30歩ぐらいのところに実家もしくは旧家があって、「固定資産税を払って物置にしていた」家をようやく潰すことを決めて今大量のゴミと戦っている。毎日とても大変そうだ。

売れない実家問題、どうしてますか?
兄弟もみんな家を出て、自分もそこそこ都会に居を構え、もう戻るつもりはない実家。戻りたいなあと思えるロケーションや条件ならいけど、残念なことに両親は団塊の世代。都会の家賃より田舎の戸建て。庭付き一戸建てガレージ付き、もちろんトヨタか日産の新車、庭には芝生、犬を飼うみたいなアメリカのパッケージドラマをそのまんま輸入したパッケージが家族の幸せであり、スタンダード、と無邪気に信じていた世代です。

(P16)

星野源という人は不思議な人である。私が知っている星野源は志摩一未と四宮春樹をやっていた人で、年に何回か、主に紅白で歌っているところを見る人で、主成分は「星野源のオールナイトニッポン」パーソナリティ星野源だ。とても人に愛されている。時々弱音を吐き、リスナーが作ったジングルにすごいねーと称え下ネタに馬鹿だねーアッハッハッハと笑い、「源ちゃん俺たち友達じゃーん」と送られてきたメールに「友達じゃねえよ(笑)!」と言って時々はトイレにこもっている。
ただ生命体はなぜイントロがないんですか? というリスナーからの質問に対して「人の人生は突然はじまって、終わったら何も残らないからです」といつもより2度ぐらい体温低い感じの声で答えてすっと終わったので、「いつもと別のドアから見る星野源」を感じたけど、この本は「そのいつもとは違うドアから見る星野源」が満載だった。生きづらそうな話を聞いてると愛おしさ的なものが湧いてくる。でもこの愛おしさはLOVEとイコールではなく、「昼休みとかに一回り下の後輩にブラックサンダーをあげる」感じなのである。一回り下の後輩いうても源さんだいたい同世代なんだけども。
ラジオでも妻新垣結衣さんのことはそんなに話さないので、「喜劇」が生まれた日の話はよかった。

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