カテゴリー「 小説 」の記事
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多分初めて読む(Re-bornに載ってたのはなんとなく飛ばした覚えがある)
有村ちさとは大手ネット通販会社のカスタマーサポートセンターでに勤めていた。あるクレーマー撃退の一件から厄介者扱いをされていたが能力を買われ情報システム管理部へ行くこととなった。
有村ちさとにはある能力があった。ローマンアルファベットに並々ならぬ愛着を持っていた。おかしな構文の英文を見たら突っ込まざるをえないし、ただの羅列に見えるアルファベットがある一定の法則をもって浮き上がってくるのだ。幼いころに父から受けた英才教育の結果とも呪いともいえるその能力はちさとを争いに巻き込んでいくのであった。
争いといってもネット通販界を揺るがすようなものではなく、派閥争い的なものと、出来の悪いSEとの戦いと、「誰も気を止めないような飾り的存在の妙な文法の英文」を読んでしまう自分との戦い。
これは面白かった。
事件の顛末は意外というか拍子抜けというか灯台下暗しにも程があるがな!という感じだったけど。
読もうと思った理由はここ見てる人では3人ぐらいにしか分からないことなんだけども。日本全国見ても50人ぐらいしか分からないんだけど。
殺して何が悪い? ——ある大量殺人者の告白
ジェフリー・K・バーンズ著 有村騏一郎訳
タイトルと著者は関係ない。その訳者である。ちさとの父ちゃんの名前が問題なのである。もう随分と記憶も薄れてきたし(私は一期のみの参加で円卓以外はあんまり参加してなかったから特に)どんなキャラだったかぼんやりしてるんだけど名前にはしっかり反応してしまったよ。
9人(うち1人は幽霊)の恋物語。恋の話だけど甘くはないです。ビターです。切ない系です。
ハチクロみたいな片想いスパイラルだ。
謎解き要素もあるけど基本は恋の話だ。
佐緒里は30歳で離婚して独り暮らしをすることになった。子どもはいないがマンションで猫を拾ってしまった。今住んでいるマンションは動物絶対禁止で契約の時点でも念押しされるぐらいのところなのだ。
辞めようと思った仕事もやっぱり続けることにした。離婚してから数ヶ月色んな面が変化していく話。
佐緒里のプチ(雄猫・生まれつき白内障気味)関連のあれこれだけはちょっとないわーと思う。帯の文の「大切なものを守るための戦い」にイラっとした。非は佐緒里にあるはずなのに何を被害者面って話だしラスト付近はいけしゃあしゃあと何を言うとるんだと思った。私はアレルギー持ちではないからどんな症状が出るのか分からないけど、何を言っても聞き入れない人が近所にいたら心安らかではないよなーと近隣住民のほうに同情してしまった。
4月ぐらいについったー界隈を賑わせていた1冊。
ロードレース(自転車競技)の小説。
8章まではつまらない寄りの普通さ加減でした。ロードレースにあんまり興味を持てなかったので。
特にこれはーと思うところは少ないし誰が死ぬかは予想通りだったし。でも投げ出さなかったのはラストは凄い凄いと聞いてたから読む。
確かにラスト2章は凄かった。ここのためだけに読んでよかったかも。
でも近藤史恵作品的にはタルトタタンのほうが好きなのでこっちは随分と落ちる。
「アシストを徹底的に働かせること。それが勝つためには必要だ。自分のために働かせて、苦しめるからこそ、勝つことに責任が生まれるんだ。奴らの分の勝利も、背負って走るんだ。分かるか」(P74)
これを読み終わったので温存してたstory sellerのサクリ番外編を読む。
石尾赤城の新人時代の話である。こんな頃もあったんだ……とか思った。
近刊情報を見ると、タルトタタンの続編が6月に、サクリファイス続編連載が新潮ケータイ文庫であるらしい。
ああ悪魔とはお前たちのことだ!とか一瞬思った。SH脳自重。
淡々とした日常を小説にしてみましたという感じ。本当に何も起きない。なので起伏ある話が好きな人には地雷になると思う。
ちょっとだけ、キリのいいところまで読むつもりが最後まで読んでしまいました……
なんかこう、友達の話を聞いてるみたいな本だ。ほーそれでーそれでー、と話を聞いてるうちに読み終わってしまった。
「時々、怖いんだ」
何がですか、と水面のほうを見たまま聞き返した周の横顔は暗闇の中でわずかに遠く見えた。
「いろんなことが全部、何もかも。翌朝のバイトとか人込みとか、することがない平日や、眠る前とか」
「怖いとき、どうするんですか」
「死んだみたいに目をつむってじっと我慢してる。そうすれば、いつかは通り過ぎるから」(P148)