カテゴリー「 ライトノベル 」の記事

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フィンスタニス統治記 夢の楽士と炎の精霊 (B’s‐LOG文庫)

冒頭は死ぬほど微妙だったけど農夫に救われた。後半は面白かった。

「魔物が蔓延る土地」「税の取立てがまったく無理な土地」として厄介な存在扱いをされ領主が任命されても日を置かずに逃げ帰る。王都の貴族から「話の種につきない愉快な土地」として好奇の目を浴びるフィンスタニス。
売り言葉に買い言葉の結果、ルノアリアは1年限定のフィンスタニスの領主となる。

内容的には「女神の娘の恋歌」とか「フリンギーの月の王」1みたいな。
いわくつきの土地に出向いていってみたら「よそ者風情が」とばかりに罵られたり、一部の人には陽気に受け入れられたり、ひと悶着あったりして協力者を得ながら健気に頑張っていく話です。

「冒頭が死ぬほど微妙だった」理由も書いておく。
「魔物が跋扈する」の跋扈がひらがな表記されているのが死ぬほど衝撃的だった。
「魔物がばっこする」とかなにその格好悪い字面。魑魅魍魎がセフセフで跋扈がアウアウとか。
あとルノアリア&フィーの主従コンビが「何故主→従はちゃん付けで従→主は呼び捨てなのだ?」というつまずき。だべだべいってる農夫にいかに和んだことか! ギャグキャラかと思ったら農夫の悲しき過去とか!

  1. 注:これはシリーズ途中の巻です []

紺碧のリアーナ フロレンティアの花嫁 (コバルト文庫)

15世紀イタリア。メディチ家と反メディチ家による陰謀とか陰謀とか友情っぽいのとか変人とかそんな感じ。

「サブタイトルは花嫁か。表紙のこのふたりが最終的に結婚するんだな!」という発想で読むと多分つまんねえええと思うことになると思うので要注意。あとがき曰く「立場の象徴として(花嫁を)付け加えた」とあるけど正直何の象徴で花嫁なのか1よく分からなかった。

10年前謎の大火事で家族を失ったリアーナは、世間的に死んだと思われている由緒ある名門アドルファーティ家の生き残りである。過去を忘れて生きることもできず、適当な相手と結婚することもできず、先は尼僧となって生きるしかないかと思った矢先に転機が訪れる。

「アドルファーティ家襲撃の真相」とか「父の仕事」とか「リアーナの今後」とかが主なところです。

あとがきまで読んで気がついたんですが、これ「始まりの日は空に落ちる」の方だったんですね。
「先読みができる」「空に落ちる人を見た」って何その赤朽葉万葉さんって思ったのはよく覚えてます。
これの選考結果が載っていたのが、宮木あや子の「砂子のなかより青き草」が始まる回でちょっとだけ読んだんだ。今までそんな選評とか読んだことないんだけどあの年はなんか強烈でこえーと思ったのはおぼえてるなあ。
colorful | 本屋徘徊のキロク

  1. 間を取り持つ的な意味で? 花嫁である意味なくねー? と思ったのでこの線は微妙だと思う []

〈運び屋〉リアン&クリス 永遠なんか知らない (新書館ウィングス文庫)

近未来よいバディもの2巻にしてシリーズ終了。

帯にある「預かったのは、禁断のイキモノ。しかもそれが巫女姫」巫女姫、それ単独なら少女小説的になんら不思議ではない単語ではあるけどまさかのカルト教団により生物兵器化された赤ん坊。すげえ!

「永遠なんか知らない」は後に行けばいくほどじわーっとするいいはなしだなー。すごくいいはなしなんだ。
徐々に人間味を覚えていくクリスの行く道がよければいい。
読了後しばらくしてもしんみりとして寂しくて切ない感じがずっと続いた。

アルビオンの夜の女王 -金色の闇と愛の密約- (B’s‐LOG文庫)

3冊完の予定だったけどもうちょっと続けられることになったらしくて、じゃこれからが第2部なのかと思った前巻。
いきなり完結となった今巻。ていうかクライマックス→次巻完結なのかと思えばまじでこれで終わりの模様。
予定にない完結だったのか元々あまり風呂敷たたまない終わり方をする人なのか、終わりの雰囲気がない。これなら3巻のほうがよっぽど完結っぽかったと思う。3巻とは逆に「外側は明らかに終わりなのに内面は終わりそうな気配がどこにもない」だった。

あとあらすじと登場人物紹介に物語のラストで明かされている五番目のフルネームが載っているのでうわぁ(゚д゚;)と思った。

ルーシャスとセシアの過去はこんな4ページ程度のネタではなくふつうに短編ぐらいで読みたかったです。
今までは巻を増すごとに面白かったのだけど、最終巻が一番微妙だったなあ。投げっぱなしジャーマン感あり。
執事の正体は精々チラ見えぐらいで明かされるべきではない派なのですが、話の筋に関わるとなったらまじチートだとしみじみ思った。某ルゥが自己主張しないキャラになるとこうなるのだなあと思った。

死神姫の再婚 -五つの絆の幕間劇- (B’s‐LOG文庫)

短編集。
ティル視点とか愉快なライセン家とかオーデル家とかラグラドールとかの話が収録されている。
ジスカルド・エルティーナの短編がすごく可愛らしいな!
本編では悪役風なジスカルドがちゃんと王子様してる。

「あなたにありがとう」は「地の文に突っ込むセイグラム」的なものが見られて面白い。
ていうかセイグラムはティルになにをおしえたのか。

「今年の俺の誕生日がお前があれをやってくれ」とかいうカシュヴァーン様今巻も残念可愛い。
表紙のカシュヴァーン様ぱっと見隻腕っぽいなーとおもった。P203の挿絵がやばい。
カシュヴァーン様今回も「俺の妻は世界一可愛い」っぷりがパねえ。ワールドイズアリシアである。
暖炉の上の猫魔王を頼りに夢の中の王子様を読みきって、ちょっとイケメンヒーローっぷりを見せたかと思えば猫耳妻を妄想する程度の嫁馬鹿である。

「お詫びの印に、ノーラと比べると物足りないと思いますが、俺の胸でよかったら揉みますか」
「いいよ、そんな余計な気遣いはいいよ!!」

(P66)

夜の虹 灰色の幽霊 (コバルト文庫)

オリガは父が姿を消した1週間後に「死者の死ぬ直前の行動が見える」という異能に目覚めた。

帯には「ネコ系女子とイヌ系男子の息もつかせぬロシアンミステリー」とかちょっとふわっとしたアオリがありますが、内容は少々硬めです。
エルツベルガー男爵がある日ナイフでめった刺しにされた後壁に磔にされるという謎の死を遂げる。
男爵は失踪したオリガの父の友人でつい先日屋敷に招待を受け、男爵の飼い犬の絵を描くという依頼を受けたばかりだった。容疑者として浮かんだのは男爵が身元引受人として学費も援助しているヤコフ・ネムツォフというユダヤ人である。男爵の死を巡りオリガは真相を探り始める。

アーサーが普通にいい人になってた。レオニードもいいひとだった。ヘルムートには今のところときめきしかない。
タチアーナの黒さがいい。

ユダヤ人差別とか帝政ロシア当時の陪審員裁判とか昏睡強盗とか謎が謎を呼ぶ展開がとてもときめきです。

キラク堂顛末記 蒼蝶の少年と混沌の女神 (B’s‐LOG文庫)

西暦2011年 煌文21年。21年前から爆発的に増加した霊や魔物に関する事件を解決するため、日夜活躍するのが呪禁師であり、中沢潮(16)は祖母に教えを受けながら見習い呪禁師として修行の身である。

帝ではなく皇帝でもなく天皇が出てきた。「1941年に天皇が霊力を放出したため世界に歪みが走り、今のように人ならざるものによる禍が増えた」という冒頭にびっくりする。世界観的に第2次世界大戦は回避されて科学が発達している。

あらすじの「『脱げ』とか言い出す変人」については「こんな整った顔をしておいてその衣装センスはなんということだ。美的センスを疑うよ! さっさと脱ぎたまえ!」という流れによるものでした。

いろんな設定がちらちらと登場して、物語的にはあまり閉じずに終わった感あり。

ニーナとうさぎと魔法の戦車 (スーパーダッシュ文庫)

SD小説新人賞大賞ということで巻末には受賞時タイトルも載ってた。うさパン! だった。
4文字タイトルだったら多分買ってない気がするなあ。
ラノベる→平和さんのニコ生→店頭BUNBUNマジックである。

ニーナは7歳の時に身売りに出され拾われた先の戦車部隊でも酷使され、2回目の逃亡中に盗みなども何回か働いた。結婚式の料理を盗み食べている最中に女ばかりの私立戦車部隊「首なしラビッツ」に再度拾われ迎えられる。

「女だらけ」ですがいちゃいちゃしてるほうの女だらけです。百合百合です。
戦争が残した災厄”野良戦車”に襲われる人々という悲観的な世界とは対照的にとてものどかです。

ドロシーかっけー!

この世界の魔法は魔法板を噛んで発現させるので、発動中は意思疎通に制限が相当あるんだろうなあと思います。作中ではその辺何故かクリアしてますが瑣末なことです。

「ニーナ、君は信じるんだ。ひたすらに信じるんだ。疑いがあるなら、今はただ恐怖してくれてもいい。けれども、勝利の女神が私たちに微笑むことを私は予言するよ。見事に的中した時は、私立戦車隊ラビッツの実力を信じてもらいたいね!」

(P87)

天翼のジャッジメント 聖女は恋に焦がれる (B’s‐LOG文庫)

天啓が下された。国境地帯で戦火が拡大している。
戦争を終結させるため、戦争の審判者として聖女リュドミラ・カリン・粛正者として聖人キリル・セロフ 救済者として聖人アルカディ・トルストシェインが国境へと向かうことになった。

ポリ黒のマナガとマティア・P3とP4のラスト・光炎のウィザードのヤムセと銃姫のイボリットをぐつぐつ煮込んでみました。味付けはあっさりめです。という感じです。
某キャラはマジP4のラスボスだよ。リュドミラは「わたしは普通の女の子になりたいんです!」と主張している子で、国境の町なんか行きたくない審判なんて無理と言ってるんですが駄々をこねているのではなくて、という風。

作中では審判ではなく「ジャッジ」のほうが使われるんですが1、おかげで「ジャッジメントですの!」って脳内で禁書が再生される。わたしレールガン見てないのに。

イラストをカバー折り返しを見るまでずっと薄葉カゲローさんだとおもってた。

  1. カタカナ英語は結構多い。 []

百億の魔女語り1 オトコが魔女になれるわけないでしょ。 (ファミ通文庫)

竹岡葉月久しぶりのファミ通文庫。
コバルトからの読者的に「男が魔女になる竹岡作品(女装もあるよ!)」というのは既に約10年前に通っている道なわけで、どう調理されるのかが楽しみにしていた本でした。

アルト・グスタフの欲しいもの。それはカイゼル魔術学院の卒業証書。
粘りに粘ったが「出席日数と単位数不足はいかんともしがたくこのままでは除籍もやむえない。せめて卒業実地研修の単位ぐらいは取得してくれ」というのが先生方の最後の救いの手であり要求だった。

この世界の魔術は大きく二つに分かれる。
近代魔術のスタンダード、理論的に司祭がミサなどで起こす奇跡を科学的に証明したことで発展した「甲種魔術」
昔ながらの魔術、呪術師の呪術・死人使いの蘇生術にウィッチクラフトに司祭の奇跡。「乙種魔術」
競争率の高い甲種よりもマイナーな乙種しかもウィッチクラフトを選んだアルト・グスタフは、首都カイゼルの北部・湖水地方ホルグリン村で大魔女リリカの指導を受けることになる。

オクロック氏がちょう萌えキャラだと思うんだ。2足歩行の山羊で執事なんだぜ。
「いいえ、私は純粋たる山羊」なんだぜ。「いいえ私はジョセフ犬」を思い出す。
「魔女っ子パステル、らぶぽっぷん!」は脳内で魔女っ子ランランが高笑いしながら走っていった。
「誰も害せぬかぎり、汝の望むことをなせ。それを魔女の信条という」にばたばたした! ましろ!

アルトが即ばれる女装で実習に赴いたのもなんか変な場面もすべては妹のためか。鎮圧の場面はかっけーな。あとエーマが「アディリシアっていう同い年の女の子が来ると思ったから親友になりたいと思った」っていってるシーンが好きです。ていうか竹岡さん兄妹の話好きだな。
エーマの一人称が「うち」なことにほとんど終盤に差し掛かる頃気がついた。脳内一人称はわたしだった。
「うち」っていうのもみてたけど「家」のうちだとおもってた。
あと私最後までファニーがリリカ様なんだと思ってた。猿はただのお猿。バブルス君@DB的な。
脳筋アルトがいかに体育会系か(薬売りのシーンのエーマとアルト)

P271の挿絵はとてもGJだと思う。続刊があるって素敵だ。できたら3巻もほしい。

冒頭にちょっとだけダナーク魔法村はしあわせ日和を思い出した。

ちなみにもうひとつの「男が魔女になる」作品というのは東方ウィッチクラフトです。
「憧れの人は男なのに『魔女』だった。そして私はその憧れの人の『使い魔』になってしまった」という話です。
ちょーおすすめ!

東方ウィッチクラフト—垣根の上の人 (コバルト文庫)

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