カテゴリー「 読了 」の記事

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このサイトは来月で24周年を迎えるのですが、実は24年前に書かれた日記が現存しているのである。
書いたり書かなかったりする時期があって、「日々を無為に過ごしているような気がして」と書き始めて今は日記を書く媒体を増やしている。

この本は日記の新しい指南書になれば、と担当さんに言われたが正直そうするつもりはない。日記と言い張ればどんなものでも日記であるが実はそれが難しいことなのかもしれない。だからわたしの日記を公開することでなんだそれでいいのかと思ってもらっていろんな日記が読めればいいと思う、という序文で始まる。

わたしがインターネットを始めて間もないころ、ウェブリングやタブブラウザが元気だったころは日記サイトというのがとても多かった。SNSの隆盛とともに個人サイトや個人ブログが少なくなり数年ぐらい前からnoteで日記(ただし毎日更新ではなく、数日分まとめて更新するスタイル)が読めるようになった。人の日記はおもしろい。叙述トリックのようなものを味わうことがある。
くどうさんは同性とルームシェアをされているのかと思ったらのちにその人と結婚していて男性やったんかと新鮮な驚きを得た。
たくさん書いている日があれば1行2行で終わっている日も日付だけの記述の日もあり、日記とはこうでいいんだよと思える本だ。

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綺麗ごとゼロ。別居で80代後半から90代に入った夫の両親の介護が必要になった、というエッセイ的な本である。
わたしは一昨年の11月(実質9月)で15年ぐらいに渡った介護が終わったので実用書としてはもう必要がない本ではありますが、人の苦労を見るとあの時大変だったなあというのが思い出されます。

きれいごとゼロ、というのは

冷たく聞こえるかもしれないが、これが実の子でない人間による介護のリアルだと思う。そのうえ、プロに任せるのがベストであるのは明らかだ。

(P164)

まあこういうところだ。
理子さんご自身の両親は早くに亡くされご兄弟については警察からご遺体が発見されたと電話がかかってきたのを読んだ。

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言ってしまえば他人なのに、すごと思いながら読んだ。私は母は「母」だし、同性だからお風呂に入れるのもトイレの失敗の後始末もできていた。父親はあらゆる意味でできないと常々言っていた。

デイサービスに行ってくれるのいいなあと、思い(カーチャンはコロナ禍以降頑として行ってくれなかった)、男性看護師さんが入ってくることに、の件にあ、覚えがあると思った。もしなんかの気の間違いで結婚して介護案件が発生したとして、またあれをできるかというと、いや無理やでと思う。最後の数か月は3時間程度しか寝られず深夜もトイレ誘導して日中は仕事をしていた。

誰でも通る道を、ゆっくりと進むだけ。横断歩道に差し掛かったら、右を見て、左を見て、安全確認を怠らずに真っ直ぐ渡るだけ。そうやって、ひとつひとつ、しっかりと確認しながら、いつも通りの暮らしを続けていけばいい。いろいろな人の手を借りて、ようやく手に入れた完全に自由な時間を楽しめばいい。なにせ、それが一番大切で、かけがえのないものだから。

(P87)
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高松で日記の練習を買って年始のAmazonセールでも2冊ほど買って、今ちょっと「くどうれいん」という人を知ってみようキャンペーンが行われている。
岩手出身で割と生活に根差したエッセイを書かれている方だ。瓶ウニがおいしそうだった。

「ひとりでごはんが食べられない」が印象に残ったりした。わたしはひとりでも外食ができるが、ひとりだと食事をおろそかにする(しかもお腹が空いてくるとどの店を見ても「コレジャナイ感」に襲われて結局どこにも入れない)ことがある。
でも誰かとおいしさを共有したさはないので、こういうところで他人の見解が見られるのは良い。
いやライブ終わりに西梅田のファミマでサンドイッチとビール買ってハービス大阪で写真撮って食べながら検索するのいいんですけどね。直近ではよしここだと並んでも「ご案内はできますが、キッチンが混んでいて提供に〇分かかります」と言われて高速バス時間的に無理で泣く泣く後にしたこともあり。思えばあれはインフル的にアウトだったのだろうか。

それをあれかが「丁寧な暮らし」だと嘲笑するかもしれないが、うるさい。わたしは大根を面通ししているだけだ。それ以上でも、以下でもない。わたしはわたしの大根を切る。お前はお前の大根を切れ。

(P102)

兼業少女小説家 - 檸檬の木文庫 - BOOTH

同人誌です!

きのうぐらいから「社会人は新人賞を取っても会社を辞めるな」という話題がよく流れている。わたしは本読みなので、フォローしている作家も多い。そういえばそんな本をこの前買って積んでおいた、という本がこれ。

これは少女小説レーベルからデビューした兼業作家(30代)とコピー取りが仕事の中年女性をいかに丁重に扱っていかに仕事を円滑に進めるか、みたいな話の2本立て。
なお2作とも自分(青木さん)を投影して書いているが具体的なモデルはいないとのこと。
先に言うとスカッとするようなする話ではない。どちらかといえば「そんな男とは早く別れろ!!!!」と読みながら思うような、感情の動きが丁寧に描かれている話である。あとがきに「いつもストレスを溜めている」「負のお仕事小説」と書かれているけどまさにその通りである。あかねちゃんも葉奈ちゃんもどうぞ報われますように、と思いました。

カクヨムネクスト連載作品。

異世界に召喚され勇者となった高校生は魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらしました。めでたしめでたし。
の、あとの物語。

京都の弁当屋で働くひばりはアジフライ弁当ばかり買って帰る伊吹と恋に落ちた。長い遠距離恋愛、1度や2度ではないドタキャンを乗り越えてようやく結婚に至りひばりは東京に引っ越した。
とても忙しいらしい伊吹はちょいちょい同僚を連れて帰ってくる。それもいきなり連絡がきて、慌てて客用の食事を用意する。
そして連れてくるのは異国の名前で、日本人ではありえない容姿の人ばかりだ。

そしてひばりは伊吹が忘れたお弁当を届けにいった先で知った。
夫の勤め先「MKL」の正式名称はランズエンド多国籍騎士団。高校生の時留年したのは異世界で勇者をやっていたから。異世界から帰還して自動で騎士団預かりの身分になり東京で大学を出、今も東銀座から異世界へ出入りし剣を振るっている。
給与明細に出張手当と危険手当がついているのはそういうことだった。

いい感じに現代とファンタジーが入り交ざっていて軽めの読み口。軽めといっても大罪を犯したテロリストも親を殺された魔王の娘も出てくる。伊吹が連れてくる異世界人をひばりがもてなす物語。

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時は明治、舞台は金沢。英語を習いたい武良越義信は私塾の門をたたいた。英語の講師は16歳の寄宿生である泉鏡太郎が担当しているという。聞けば受験に備えて数学を習いに来たのに塾長から「英語ができるなら教えてみろ」と言われたからだという。

この泉鏡太郎がのちの泉鏡花である。
泉鏡花は著作はどれも読んでいないが金沢で入った泉鏡花記念館(だったと思う)で見た「俺を選ぶか婦を選ぶか」が忘れられず。もはや誰が誰に向かっていったのかはっきりと覚えていないが、うっかりこの少年がこれを言われる(もしくは言う)ようになるのかと思いながら読んだ。

本作は泉鏡花がのちの著作で手掛ける事件やモデルと遭遇してるかもなあで書かれているので、泉鏡花作品に触れている人ならおっとなるかもしれない。わたしは読んでない側の人間なので、その辺の機微は分からない。
義信は鏡太郎に「私塾の月謝は怪異の噂支払いで結構。噂を教えてもらえれば支払いは待つことにし、本物だったら免除」と言われ仕事柄いろんな話を聞く義信はあれこれ聞かせる。

鏡太郎と義信以外では貸本屋の娘、滝は以前ほどは見なくなった分かりやすいツンデレの子であり、しかしその好意があまり届いていないところもほほえましく読んだ。

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2018年から2022年(主には2020年)の日記。古賀さんと2人の子ども(中学生の兄と小学生の妹)
コロナ禍真っ只中の子どもも書かれているが、そんな悲壮なものはなくよく子どもたちと話をし、戯れ、生活をしている。
小学生の娘にきく「どうやって仲の良い友達を作ったのか」はそういえばこの年代は確かにそうだった、と思う。

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笠倉出版社
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現代もの国家公務員オカルト(荒ぶる土着の神を鎮める系)ファンタジー。
オカルトというと人によって想像するものが違うので例えると「呪術廻戦の最初5冊ぐらいを想像してもらったら大きくは外さない(学園物ではない)」という感じだろうか。男バディで祖父と孫みたいな、栗原さんのいつもの感じで味が違うやつっていうやつ。

津々良相次(つづらそうじ)は警察官だったがとある事件で心身に不調をきたし、国土交通省へ職場を移ることになった。今日が初出勤である。「国土交通省水管理・保全局」の中にある「鎮守指導係」は地下倉庫にひっそりと存在した。
ようやく見つけたが室内にいたのは倉庫番を名乗る神矢良樹のみ。係長と「君の相棒」天崎志津也は不在だという。出張で1週間不在の係長はともかく都内にいるはずの天崎まで帰り時間不明とはどういうことかと言えば事故や災害と聞くと飛び出して行って帰ってこないのだという。
元警察官津々良は現場を手伝おうと天崎の居場所を聞いた。天崎は定年を過ぎて嘱託として勤務している「可愛いお爺ちゃん」とは神矢評だったが、津々良が出会った天崎はどう見ても10代、酒も煙草も深夜徘徊もご法度の年の少年だった。

この天崎がわたしのなかで時々刀剣乱舞の一文字則宗が通り過ぎるので困った(なおビジュアルは全然違う。表紙手前が天崎、奥が津々良である)あとちょっとツボだったのはトンカツサウナ。面白かった。

高校1年生の茜と小学1年生のすみれの姉妹は京都市上七軒の喫茶店で父と3人暮らしだったが、春に父を亡くした。
葬儀の後一時叔父の家へ預けられまた転居することになった。遠い親戚の久我青藍という、26歳の男性絵師が引き取るということだった。人嫌いで平安神宮北側の「月白邸」という広い屋敷に住んでいるが、外にはめったに出てこないということだった。

月白邸にはもうひとり男性がいた。紀伊陽時という青藍の仕事仲間で、絵具屋をしているという。
すみれはあっという間になじみ「青藍」「陽時くん」と呼び、茜は月白邸は「いずれ、例えば高校卒業すれば出ていく家」「他人様にご迷惑はかけられない」と思っているけどじわじわと「月白邸の子」として馴染んでいく様はええですなあと思う。
かつて月白が青藍にしたように、人嫌いの青藍が幼い姉妹を引き取って、積極的に親代わりをするわけではないけど人間的なコミュニケーションを取っていくのもよい。
じんわり、こう、「ええ話や……」ととなる感じの物語でした。

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アンソロ形式の本ではないが、まえがきとあとがきがある。
ちなみに本作は「スペース」以来20年ぶりになる駒子シリーズの続編。まえがきでは「ななつのこから始まる、ストレートな続きではない」と書かれているものの、読んでいるとあーはいはいはいとなる感じだ。ミステリの味は薄く、日常の謎というか日常に存在するちょっとした不思議なことに結末がつく。
基本的には犬が物語の中心にいる。宮部みゆきのパーフェクトブルーぐらい犬と人間の物語である。

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