昨日からファミ通文庫のうちきりの話とライト文芸の話を見かけることがあって、話題の中心は見てないんですけどそれはそれとしてわたしはおすすめのライト文芸の話をするぜ! という話。

おいしいベランダ 竹岡葉月 富士見L文庫

おいしいベランダ。 午前1時のお隣ごはん (富士見L文庫)

ライト文芸ならわたし今イチオシ。
ベランダ菜園でお料理、社畜あがりのデザイナーと女子大生の話。

いとこの期間限定の海外転勤が決まって、物件維持のために大学進学決まったらここに住まないかと言われた。実家も大学も都内、通えない距離でもない距離で一人暮らしをするというのだから両親はいくつかの約束とともにまもり(女子大生)に「ちゃんと野菜をたくさん食べること」と厳命した。
そんなの簡単だよと言ったものの「一人暮らし」と「野菜を食べること」を両立させることは意外と難しい。気が付いたら冷蔵庫で萎びている。ひょんなことからお隣さん(パリッとしたスーツの似合うデザイナー)に危機を救われ夕飯をごちそうになる。彼の人のベランダには所狭しと野菜が育っていた。

チョコレート・コンフュージョン 星奏なつめ メディアワークス文庫

チョコレート・コンフュージョン (メディアワークス文庫)

新人賞受賞作。
すれ違い続ける王道すぎるラブコメ。こわもて35歳×大人ぶりたい27歳だけど恋愛偏差値的に大変初々しい。
バレンタインの夜、ヒールが折れた靴で立ち尽くしている千紗のもとにこれを使ってくださいと龍生がスリッパを差し出し、ではお返しにこれをと間違って本命仕様のチョコレートを渡したことで「おつきあいを申し込まれた」と龍生が勘違いしたことがすべてのはじまり。
思い込みとすれ違いと誤解は恋愛の華。

きょうの日はさようなら 一穂ミチ 集英社オレンジ文庫

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

2025年夏、17歳の明日子・日々人のもとに突如現れたいとこの今日子。
彼女は火事に巻き込まれたことで全身に火傷を負い生死の境をさまよった。さまよった期間は実に28年、そのまま年を重ねれば47歳だった。冷凍睡眠で眠っていた彼女は夜眠って、朝目覚めたままの17歳で止まっている。
影の濃い真夏の、3人の17歳の話。

今日子にとっては突然現れた未来の世界。
未来と言っても別に車がチューブの中を走るわけでもなく、温暖化は相変わらず叫ばれていて、東京タワーは変わらずそこにあって、でも自分が愛したCDも、MDも、ゲームも、漫画も、自分が知っているものと違うもの、よく似ているはずなのに別のものであふれていた。

アンデッドガール・マーダーファルス 青崎有吾 講談社タイガ

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)

異形が蠢く19世紀末のヨーロッパで、人間親和派の吸血鬼が銀の杭に貫かれ殺された。この事件を解決すべく呼ばれた「怪物専門の探偵」輪堂鴉夜と、その弟子真打津軽という東洋人。

噺家のような語り口で煙に巻く津軽と「鳥籠探偵」と呼ばれる所以、共通の目標を探す旅とミステリとコメディのバランスがちょうどいい。
ラストに登場する新キャラは今後に向けてのあおりも忘れない。

雲は湧き、光あふれて  須賀しのぶ 集英社オレンジ文庫

雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)

甲子園を目指した球児たちの話。
超高校級と未来を嘱望されるものの故障で代打でしか試合に出られなくなった少年と、ようやく補欠で代走としてベンチ入りできるようになった少年
強豪校と弱小校を取材する女性記者
戦火が拡大する中中止の憂き目にあう甲子園、それでもこの場所をあきらめられない
これからの季節にちょうどいい1冊。青春スポ根。

2.43 清陰高校男子バレー部 1 壁井ユカコ 集英社文庫

2.43 清陰高校男子バレー部 1 (集英社文庫)

まあそれはそれとして派手マ枠なんですが、これはハイキューが好きな人に。
福井の弱小男子バレー部が春高を目指す物語です。

東京の強豪中学で深刻なトラブルを起こした灰島公誓は幼稚園の頃まで過ごした福井に転居して、幼馴染の黒羽祐仁と再会する。身体能力は高いもののプレッシャーに弱い黒羽とバレーへの情熱と才能に溢れている灰島はたびたび衝突を繰り返し、良いコンビとして成長するも絶縁状態となり清陰高校へ進学する。

少々難易度の高いトスを上げて文句を言われても「黒羽なら打ちます」とさらりという灰島まじ灰島。