夏っぽい小説で好きなやつをヒャッホウと並べてみた。
爽やかさが足りないのは仕様です。

カスタムチャイルド/NO CALL NO LIFE:壁井ユカコ

カスタム・チャイルド (電撃文庫)NO CALL NO LIFE (角川文庫)

ついったで「夏っぽいラノベ募集。ただし***に載っているもの以外」といわれ思いついたのがまずこれ。
たまにふと思うんだけど私は壁井ユカコ作品が自分が思っている以上に好きなようである。

カスタムチャイルドは遺伝子技術がやたらと発達している以外は現代日本風です。どのぐらい発達しているかというと出産前の遺伝子操作で容姿・性格を操作できるようになって、金髪碧眼の日本人が溢れてまた黒髪に人気が戻りつつあるぐらい。青いラブではありませんが、付かず離れずの距離感がよいなあと思うのです。

「NO CALL NO LIFE」はちょっと不思議な要素がある以外は現代の普通の高校生男女の話です。高校生で青春ですが、退廃的で殺伐としてる話です。「病んでる」「刹那的なしあわせ」もごりごり含まれます。

NO CALLの単行本Verはカスチャと同じ鈴木次郎さんが表紙を描いてて、壁井ユカコ公式サイトでNO CALLラフ絵があがったときマドカ風に見えたので次作はカスチャの続編か!と思ったことがありました。

屍鬼/小野不由美

屍鬼〈上〉屍鬼〈下〉屍鬼〈1〉 (新潮文庫)

土葬の習慣のある山間の外場村がひと夏の間に壊滅するまでの話。

視点があちらこちらに移り変わり閉鎖的な村の生活や習慣が描かれる。
田舎なので寺と医者の権力が強い。

閉鎖的な村の変化の最初は小さなことだった。
虫送り、村に移築された洋館、壊された道祖神、引っ越してきた桐敷一家。
2軒を残すのみの過疎集落の山入での不幸な事件。やがて体調を崩す村人が増え始める。
きっとこの猛暑のせい、寝ていれば治ると、そう言っているうちに死者が出た。葬式が葬式を呼ぶ。
村人の死は未知の奇病か、それ以外の要因か。

単行本だと辞書×2だけど、文庫だと全5冊のうち1冊目が舞台と登場人物紹介に終わると思います。
文庫の場合は1巻面白くないな……と思ってもとりあえず2冊目も読んでみてください。
(ただ登場人物がすごく多かったり展開が遅い話が苦手な人はもしかしたら合わないかもしれません。
(わたしはハードカバーで読んだので文庫がどこで区切られているのか分からない

屍鬼はコミカライズもされてます。

屍鬼 1 (ジャンプコミックス)

が、描き手が原作改変に定評のあるフジリューなので、原作を元にフジリューワールドが繰り広げられております。登場人物一覧があったり展開がスピーディだったりしますが私としては原作のほうを推したい。

壷中の天/椹野道流

壷中の天?鬼籍通覧 (講談社ノベルス)壺中の天?鬼籍通覧 (講談社文庫)

シリーズ途中の1冊だけどこれは途中でも読めると思うので……。

近畿地方のある医科大学の法医学教室の一行(教授の都筑・助手のミチル・院生の伊月)がお昼に出ると何やらゲームセンターのほうが騒がしい。
音ゲー(DDR)の台の上で女性が死んでいるということで110番通報がされた。
法医学教室一行はのちほど解剖することになるだろうその遺体の検分をして
昼ご飯を食べに行って、教室で検死に回されるのを待った。
しかし待っても来ない。やがて警部から連絡が入った。「遺体が消えた」と。
極楽袋(遺体を入れる袋。中からは開かない)に残されたのは今死んだと思えないほどの腐臭と土と謎の液体、それからわずかな髪の毛のみ。女性はどこへ消えたのか。

謎解きのような要素はありますがミステリーではありません。
法医学教室という手前死体の解剖描写があります。(描写そのものはグロくないですが想像するとアウアウ)ちなみに解剖シーンを飛ばすと多分意味が分かりません。

夏のくじら/大崎梢

夏のくじら

高知を舞台にしたよさこい踊りの小説。
東京で育った篤史は高知大学への進学を決め祖父母宅へ移り住む。
町内会でよさこいチームを復帰させることになり、篤史はチームに参加することになる。
高知のよさこい祭りはお盆のちょっと前、2009年は8月9日から12日まで開催されます。チームの結成から本番までが描かれてます。

感想:colorful - 夏のくじら/大崎梢

怪談徒然草/怪のはなし:加門七海

怪談徒然草 (角川ホラー文庫)怪のはなし

夏だから実録系怪談も入れないと! と思って。

「怪談徒然草」は淡々とした語り口ながらとても恐ろしい。
「こここここわわい」とかいいながらページをめくるのはやめられないという。
霜島ケイさんのかつての自宅、三角屋敷の話が最恐です。

「怪のはなし」は短い話がたくさん入っている。怪談徒然草よりは気軽に読める。
いくつか収録されている「ほんとうに怖い東京」の話ばかりが印象に残っている。

感想:
colorful - 怪談徒然草/加門七海
colorful - 怪の話/加門七海

宵山万華鏡/森見登美彦

宵山万華鏡

夏祭りシーズンです!
ということで今年のはもう終わってしまいましたが宵山が舞台の小説です。
森見登美彦というと「夜は短し歩けよ乙女」みたいな大学生の阿呆な話がよく知られていると思っているのですが、宵山万華鏡は主に「きつねのはなし」寄りの黒っぽい幻想物語です。さあ皆もお祭りで宵山様モドキを探すんだ!

感想:colorful - 宵山万華鏡/森見登美彦