2008年と1995年を行き来しながら語られる物語。
2008年の僕は殺人未遂の容疑で留置場にいた。追憶しつつ話は進んでいく。
13年前・95年、僕は裏山で「セミ」と出会った。セミは裏山でロープ片手に自殺しようとしていた。
セミという名前は僕が名付けた名前で、セミは僕のことをイルカと呼んだ。そして幼馴染みの由利、カバの呪い、野球の勝負、セミと過ごす1週間。
ラストは「どういうことなんだ!」というもやっと感はあるけど、95年の話は確かに「いつまでも読んでいたかった」と思うような物語。
待ち人にイライラしたり、相手の親が出るかもしれないドキドキ感や、テレホンカードの残数にやきもきしたりすることが、全てマイナスだったとは思えないのだ。
擦れ違いは確かに減った。でも、その分、人との摩擦することも減った。僕らは心を不用意に揺り動かされることはなくなったのだ。(P95)
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