「お金の増やし方」について書いて欲しいと依頼されて書いた本がこれである。
何故そんな依頼をしたのだろうか、自分はお金を増やした経験などない。庭に線路を敷いて自分が乗れる鉄道を走らせたかった。もっと儲かるバイトはないものか、でも土日も出勤しているし勤務時間の倍ぐらいは仕事をしている。でも夜は空いている。小説を書いてみた。売れた。年収1億超えても普通に出勤して16時間ぐらい勤務していた。印税収入が20億超えてもマックのハンバーガーセットぐらいしか外食をしていない。別荘地を買って自分が乗って鉄道は走らせる夢は実現させた。
と、そういうはじまりをする。そんな人おらんやろと思うけど、書いているのが森博嗣なので、森博嗣ならまあそうなんだろうなと思う。
この本はお金との付き合い方との本だ。

収入に応じた生活のデザインをする(森家は収入の1割はそれぞれ自分のしたいことにお金を使おうという約束をした。)
「どれくらい必要か」ではない「どれくらい欲しいか」だ。これは必要なものだという認識でお金を使い切るのは贅沢だ。
「お金がないから、時間がないからできない」という人は、実は本当にやりたいことが分かっていない。具体的に質問していくと答えられない。本当にやりたい人はなんとか工面している。自分が好きなことをやっている人は時間とお金が潤沢にあるのではない。実際は苦労して生み出している。目的のためには犠牲が必要である。

損を先に、得は後からする。

小説を書いたことに対して、好きなものを仕事にしなかった。小説家には憧れていなかった。パソコンがあればできる仕事だと次の日に書き始めて睡眠時間を半分にして書いた。好きなものは得意になるかもしれないが、僕(森氏)が観察した限り客観性を持て自分を見られている人は少ない。

音楽を聞く・演劇を見る・スポーツを観戦するというのは突き詰めれば簡単な消費である。楽しいし、仲間もできるかもしれない。その時間が終われば何も残らない。そこでもう少し探求・研究という場面に踏み込むと話は違ってくる。消費ではなくなる。自分に何らかの知識を得たりレベルアップする。レベルが高くなると周囲に何かを依頼されたり指導してほしいと頼まれたりするかもしれない。