以前刊行された東京ディストピア日記が小説の一部になった感じだ。
2019年9月終わり、茨城県南部を震源とする地震があった。都内では震度3を観測したその日、乳がん治療中の小林波間は通り魔事件と旧友に遭遇した。中川甍(なかがわいらか)は学生時代のよく遊んだうちのひとりで、親友の恋人だったこともある。LINEを交換して別れたあと、中川のことを思い出した。中川はいかにも着慣れた風にスーツを着ていたが、確かいろいろあって今は漫画家になっているはずだった。
後日、また会おうということになり待ち合わせ場所にいったが中川の姿はない。同じ時間同じ場所にいるのにいないのだ。LINEビデオ通話越しに見る2人の世界は一見同じようで建物が違っていた。あの地震の日、何かの拍子でつながった世界で出会ったふたりはもう会えることはないのだろう。それでも別の世界線で暮らす2人はLINEで連絡を取り異なる世界同じ空間同じものを見て食べる。
2つの世界は同じようで違うことがほかにもあった。スクショや映像や音声は送れるがリンクは通らない、様々な歌手が存在するかどうか。
決定的に違うことはほかにもあった。
小林波間の世界は2020年に東京オリンピックが開催された。
中川甍の世界は2020年に新型コロナウィルスの出現で世界、特に都内在住の甍の世界は一変した。
「弱い者達が、夕暮れ、さらに弱い者を、たたく」と歌いだしてるシーンは雷神の系譜が脳内で流れたけど、これTRAIN-TRAINなんだな。そんな歌だったんだと今ググって知る。
読みながら甍側の世界にいるはずのわたしは波間の気分を味わっていた。
何回か書いてる話なんですけど、私が住んでいるところは地方of地方で高齢化と過疎がそこそこ進んでいるところです。
わたしは職業柄コロナ陽性者やそれ以外の感染症陽性者と毎日接近接触している期間が2年ほどあったけど、まだ未感染で済んでいます1。
それのひとつの理由として、5月にマスクが個人の自由とされてからもマスク装着率が9割ぐらいあるからなのでは? とふと先日思いました。本当に10人いたら1人いるかどうかなんですよノーマスク。あっこの10人には乳幼児は含まずで。
近所のスーパーもイオンモールみたいな人が大勢集まる商業施設も職場も図書館もJRもバスも9割マスクしてる。この前イオンモール行ったとき、スタバの男性店員さん2人ともマスクしてなかったな、とかフードコートの唐揚げの店のレジやってる人だけマスクしてなくて、マスクしてないのに声小さくて聞き取りづらかったとか、かなり個人を特定できるレベルでしかいない。
すえひろがり(刀ミュの野外公演)の「ノーマスクで叫んだあと咳エチケットもなく咳きこむのやめてもらっていいですか」的なRTを見ると異世界感はぬぐえない。ハレの日だから説あるけど、首都圏在住の友達は「電車でマスクしてない人めっちゃ多い」って言ってたもんな。
いうてわたしが住んでいるところはすでに県内全域でインフルエンザ注意報が出ていて、感染者数は今年2月のピーク時に追い抜いている状態ではあるんですけど。
病気に関することも多くて癌サバイバーの人が読んだらそれはそれで思うことが多いんじゃないだろうか。
- 無症状感染歴はあるかもしれないけど明確に陽性ですと診断されたことはありません [↩]
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