田舎の小学校に通うセンリ。6年間クラス替えのないクラスでの毎日。連作短編。
ちゃんと月日が流れている。最初の話は1年生だけど最後の話は6年生になる。
1年でひとつの話というわけではないし入学ではじまって卒業で終わる話でもない。
「ビニールの下の女の子」の夜の不吉さ不安さとか暗闇の得体の知れない怖さとか「ヒナを落とす」のシノのポジションとか「だって星はめぐるから」のなんで一緒にいるんだろうと思うあの感じ、なんで知ってるんだと思うぐらい懐かしい生々しい感覚がそこにある。
五月の虫歯はHERO(冷たい校舎の時は止まる)方向に走るのか砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない方向に走るのか読んでてすごくどきどきした。
初めて見る真夜中の世界は真っ暗じゃなくて少し驚いた。道沿いにぽつぽつとくすんだ街灯が並んでいて、その間の空気は青みがかかった深緑だったり、また、カラスの羽根より濃い黒をしていたりした。窓ガラスにおでこを近づけると、ひんやりとした外の空気が伝わってくる。
(P55)