「変人揃いの洋館アパートといえば鳥篭荘だな!」といってるときに「変人揃い洋館アパートといえば望楼館」という声があって手を伸ばしてみる。
すごく変だ!(褒めことば) 思ったよりずっと厚かったし、海外モノは不慣れなこともあり読めるかなあといざ読み始めてみるととてもおもしろい。
望楼館は24世帯が暮らせるように設計されていたが、住人を慄かせた「18号室の新しい住人」がやってくるまでは七人のだけだった。ぼく、フランシス・オームはどうにかして新しい住人アンナ・タップを立ち退かせたかったが、アンナ・タップは住人の心に入り込み、住人は追想にふけ語った。凍りついた時間は動き出し館に変化が訪れる。
凄く変なのである。変だけどおもしろい。
望楼館の住人は、少人数の風変わりな仲間だった。いや、ぼくらに共通しているのは同じ建物に住んでいるということだけだったので、仲間という言い方は正しくないかもしれない。ただ、ひとりでいる時間が長くなればなるほど人は気難しくなるものだから、長いあいだ孤独に暮らしてきたぼくらはどこか似通ったところがあったかもしれない。(略)彼らは自分自身から逃れたいと思っている。肉体からだけでなく、その過去、現在、未来から逃れたいと思っている。つまり自分とつながりのあるものはなにもかも、永久に忘れてしまいたいのだ。
(P15?P16)
我慢なんかできない! わたしを自由にさせて! わたしにさわらないで! わたしは生きている! 死にたくなんかない! そんなところに座ってないで、動いてよ! お願い。人間だってところ、見せてよ。フランシス、動いて。話すのよ。だれでもいいから!
(P455)