普段ネタバレ感想が流れてくることがまれなわたしのタイムラインでもドラクエの映画がやばいらしい、俺は実写デビルマンかドラクエかどっちか見ないと死ぬと言われたらデビルマンを見るとか、回避した方が賢明そうとかいろいろ見たんですけど前売り券買っちゃったしまあ行ってみようかと思っていったんですよ。まあtwitterで流れてくる感想は盛られてるかもしれないしな、と思って。

結論としては噂にたがわぬクソ映画でした。
見に来てた層がファミリー層でポップコーンのにおいが充満する劇場というすごいアウェー感を覚える場所だった。

かつてセカイ系作品にざくざく触れた過去の上で天気の子でがつんと殴られてヒャッハーしてたわたしと、かつてスーファミのカセットをふーふーしながら差し込んでビアンカを選んだ過去の上でドラクエ映画でぽかーんとしたわたしの差は何だったんだろう。

ここより下は映画の核心部分にも触れています。

物語がはじまって3秒でスーパーファミコンのゲーム画面がどんと映し出されて、あれよあれよというまにレヌール城をクリアしてゲレゲレと名前を付けてヘンリー王子と出会ってパパスが死んで奴隷生活が始まりました。ここまでだいたい5分。1時間ぐらいの映画を見て体感5分とかいうのではなく、本当に5分ぐらいだった。

なんかこう、編集の腕が悪いダイジェストムービーの連続なので、ドラクエ5未プレイ者は(つまりファミリー層のちびっこは)何が起こっているのかまったくわからなかったと思うんですよ。
前半のほうは荒唐無稽すぎて一周回って面白いわと思ってたんですけど、フローラが出てきたあたりから? となることが多かった。天空の剣抜けると思ったけど抜けませんでしたとか、結局選ばれたのはビアンカでしたとか、でもビアンカは男の子しか産みませんとか、パパスはグランバニア王家の血筋であるとかそういうのはスルーされるとか、ピピンは出てこないとか、その割にサイクロプスの作画は無駄にいいとか、主人公はバギ系しか使わないけどビアンカはメラ系とギラ系を使いまくるとか。

感情移入できる余地がないというか、そこでその選択肢選ぶ? みたいなものの連続で、ストーリーラインが存在しない。点はあるけど線が存在しない。展開が破たんしまくっていて、突然「この世界は実はゲームの世界でした!」という重要な事実が明かされるけど、それドラクエ5を名乗る必要あった? VRドラクエの劇場版でよくなかった? ドラクエ5のユーザーだったわたしが過去を懐かしんで「次はフローラにする」ってあの主人公だった可能性があるけど、もうちょっと序盤にこれはVRだよって伏線まけなかったかな。

唯一在りし日のドラクエを懐かしめるものとして、音楽は最高でした。ビジュアルはなんか、ちがう。ボロンゴ1がすごいもののけ姫のヤックルみたいだった。

最近こうねー「地雷回避」ばっかりしてて、確実に面白いものをよりすぐって触れることが多かったので「クソなものを見て(読んで)しまった」という感覚は久しぶりでした。いやそれでもドラクエを見たいという人は「俺は腹を決めてはずれを引く」という度胸がないと無理だと思う。

ところでスタッフロールから鳥山明の名前が消えていると友達から聞いていたので、スタッフロールめっちゃ見ましたね。
キャラクターデザイン:鳥山明は確認したけど久美沙織はやっぱりなかったですね。そらああなるわ(見に行くことは決めていたので、前情報はできるだけ摂取しないようにして見に行った)

ラジスマでマモが俺ドラクエの映画出たいって言ってたけど、マモがこの映画に携わることがなくて本当によかったと胸をなでおろす勢いだった。マモはドラクエ5の話で延々語り続けるぐらいめちゃくちゃドラクエガチ勢なのだ。

久しぶりに食べた虚無の味でした。

  1. わたしはゲレゲレではなくボロンゴ派です []