コバルト風雲録

コバルトが出来る以前の話や、氷室冴子・新井素子がデビューしたころの話から丘ミキ・MOTHER・ドラクエノベライズの話まで。久美沙織の作家人生について。面白かった……こっちも付箋がびっしりです。

・ハーレクインとアルルカンは同じ単語のイギリス風とフランス風読み

というわけで、小ジュがコバルトに変革していく怒涛の時代を、フロントライナーとして疾走した……というより、むしろ、ブルドーザーのように開拓して、あとから進むものたちのためのコース設定をしてくださったのが氷室さんであり、日本マンガ界ぜんたいが手塚治虫先生ヌキでは語れないように、氷室さんがいなかったら、いろんなことが「こー」はなっていなかっただろうというのが私の感想です(P58)

では、一般大衆娯楽文学と、「そのへん」の違いって、いったいなんなんでしょう?正直わたしにもよーわかりません。でも「もしかすると」コレではないかと思っているものはあります。
それはエロスの質です。
エロスというても、エロとちゃうよ。快楽。快感。官能。そうには違いないんだけど。「美的感動」というと、ちょっとはわかるかな。(P70)

「そのへん」=ラノベ

『おかみき』にウケてくれる読者の大半が、それを未来と朱海くんとの「ラブコメ」だと思ってしまってくれているらしい、ということだったのでした。
(中略)
すみません、わたし、マジ、困惑したんです。
わたしは「とある特殊な境遇にあった清純といえば聞こえはいいが融通のきかないタマシイが、別の(どちらかというと前よりは普通で一般的な)環境に放り込まれた時に、どのような摩擦をうけ、どのように苦しみ、そしてどのように自己変革して適応していくか」という物語を描いているつもりだったのです。いや、そんな壮大なテーマをそうカタクルシイ文章で意識してたってわけじゃないですけど。(P184)